丸山正樹『龍の耳を君に』

2018年02月22日(木曜日)

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丸山正樹著『龍の耳を君に』というミステリー小説が発売されました。この本に「緘黙症」の少年が登場することが、各種書籍情報サイトで明らかになっています。

この本を私はKindle版で読み終えました。そこで、どういう本だったのか、ここで簡単にご報告したいと思います。ただし、ストーリーの核心に迫ることは書きません。

手短にお話しすると、登場する緘黙の少年は、発達障害を併せ持った子でした。

本の基本情報


○ 著者:丸山正樹
○ 書名:『龍の耳を君に-デフ・ヴォイス新章-』
○ 制作日:2018年2月23日
○ 出版社:東京創元社

Amazon.co.jp では2月21日に発売されたのですが、本には上記の制作日が記されています。


内容


内容は、荒井という手話通訳士の男性を主人公とした三連作です。「荒井を主人公とした手話通訳士の事件簿」(あとがきより)という説明が分かりやすいかもしれません。

副題から窺えるように、この本は、2011年に刊行された『デフ・ヴォイス』(文藝春秋)という本の続編に当たります。前作を知っている方には特に面白く読めるのではないかと思うのですが、そうでない方にも楽しめるよう配慮がなされた書き方です。前作から一貫して、ろう者など聴こえない人に関することが、話の大きな軸です。

登場する緘黙症の少年は、発達障害を併せ持つ子です。後半の表題作「龍の耳を君に」で彼に焦点が当たります。ですが、三つの話は連続していて、最初の話から彼に関する描写があります。

本のメインテーマは聴こえない人に関することですし、登場する少年は発達障害を併せ持つとあってか、緘黙そのものについての話はそう多くはありません。発達に関わる話の方が多いように思います。





琉球放送の動画見られます、放送内容についてコメント

2018年02月20日(火曜日)

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放送内容がYouTubeで公式に公開


RBC琉球放送の夕方のテレビ番組「THE NEWS」が、場面緘黙症を取り上げました。2月20日(火曜日)のことです。

今回は緘黙を扱ったテレビ番組としては珍しく、放送内容がYouTubeで公式に一般公開されています。そこで、その動画をご紹介したいと思います。台湾に近い宮古島の親の会の話も出てくるので、台湾の「選擇性緘默症」に関心をお持ちの方にもご覧になっていただきたいです(言語の壁はありますが)。

↓ その動画。7分33秒。動画は2週間をめどに消去されるそうなので、ご覧になるにはお早めに。


環境作りは必要。だが、それだけで十分か


一つコメントしたいことがあります。これはあくまで私の話で、しかも私は緘黙の診断は正式には受けていないのですが……。

私も動画のさゆりさんと同様、学校で話せなかった頃に、自分を受け入れてくれる同級生に恵まれました。大宜味義夫医師がおっしゃる「安心できる場所 保障できる場所 強いられない場所 "あるがままに"認めてくれる場所」という環境にも恵まれていたと思います。ところが、さゆりさんとは違い、それでもなかなか話せるようにはなりませんでした。

それはどうしてかというと、おそらく第一に、学校で話さない状態が長く続くうちに、緘黙?行動が学習されてしまったからではないかと考えています。緘黙支援で豊富な実績があるアメリカの「場面緘黙症不安研究治療センター」(Selective Mutism Anxiety Research & Treatment Center; SMart Center)によると、緘黙児が快適に感じたり不安が和らいだりしても、それだけでは大抵の場合、非言語コミュニケーションのステージに留まってしまい、言語コミュニケーションのステージに至るには不十分だそうです。特に年齢が上になるほどそうで、それは緘黙行動が学習されているためだといいます(記事最下部、関連記事をご覧ください)。

第二に、私が話さない人物であるという周囲の見方が定着してしまったからではないかと思います。こうなると、それを覆すことは難しくなります。先日お話した、Heidi Omdal准教授(アグデル大学准教授)が強調するforventninge(期待)というものです。

一般に、緘黙児者が話すことができるようにするには、不安を感じさせない環境作りは必要だろうと私も考えています。ですが、それだけでは十分ではない場合も多いのではないかとも考えています。私は国内外の緘黙の本を色々と読んできましたが、環境さえ整えば話せるようになると解説した専門書は見た覚えがありません。

環境作りに加えて、最後の島袋彩子キャスターがかんもくネットを引用してつけ加えた「楽しく、自信をつけながら、コミュニケーションの場数を踏むこと」が必要なのではないかと思います。

ただ、一般視聴者が緘黙児者にできることは環境作りです。そうした視聴者層を意識して環境を強調した構成にしたのであれば、納得がいきます。


敬意と感謝


最後に、番組の取材を受けることを快諾した皆様には敬意を表したいと思います。また、琉球放送には緘黙を取り上げていただけて感謝です。



緘黙経験者がミス・ノルウェーの候補に、緘黙啓発も

2018年02月18日(日曜日)

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場面緘黙症を経験したMarte Fredriksenさんという方が、ミス・ノルウェーのセミファイナリストに残っています!お名前はおそらく「マルテ・フレドリクセン」さんと読むのではないかと思います。

マルテさんは現在21歳で、17歳の頃からモデルとして活動されています。コンテストへの参加を通じて、緘黙やメンタルヘルスの問題を多くの人に知ってもらいたいと考えていらっしゃいます。

セミファイナルに残ったのは、150人の中から選ばれた11人。ファイナリストは3月に決まるそうです。ミス・ノルウェーは、ノルウェーを代表して、ミス・ユニバースなどの国際大会に出場します。

緘黙とミスコンテストと言えば、Kirsty Rose Heslewood(カースティ・ローズ・ヘイズルウッド)さんが思い出されます。緘黙を経験された方ですが、ミス・イングランド2013、さらに、ミス・イギリス2013に輝きました。緘黙の認知度向上に貢献されています。

マルテさんも、カースティさんのように飛躍されることを願っています。

※ マルテさんのYouTube動画の1つ。結構ひょうきんな動画を公開されています。