参院予算委員会で緘黙が話題に、TV中継も

更新日:2023年12月08日(投稿日:2023年12月08日)
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単独の質問


参議院予算委員会で12月8日(金曜日)、場面緘黙症が話題になりました。3分弱の短い時間ですが、単独の質問として取り上げられました。

この模様は、NHK総合やNHKラジオ第1の国会中継で、全国放送されたものとみられます。

質問者は河野義博議員(公明党)。それに対して、武見敬三厚生労働大臣が答弁しています。質問の中で、かんもくネットのリーフレット「子どもに関わるみなさんへ」をもとにしたと思われるパネルが提示されています。

この質疑については、しばらくの間、「参議院インターネット審議中継」で見ることができます。

↓ 12月8日(金曜日)の予算委員会。1時間46分10秒頃から1時間49分00秒頃まで。
◇ 参議院インターネット審議中継
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また、後日、「国会会議録検索システム」で読むこともできるようになります。「緘黙」と検索してみてください。

◇ 国会会議録検索システム
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解説


河野議員は、2019年にも参議院厚生労働委員会で緘黙の質問を行いました。厚生労働科学研究で緘黙の研究を行うことに関する内容でした。今回はそれを受けて、厚労省が行う支援、緘黙を知ってもらうための取り組み、今後の支援策について見解を問うています。

武見厚労相の答弁に出てきた研究成果の公表は、以下のページでなされています。

↓ 「国立障害者リハビリテーションセンターホームページ」へのリンクです。
◇ 研究報告(厚生労働科学研究・障害者総合福祉推進事業・AMED) | 国立障害者リハビリテーションセンター
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他の研究成果も多数公表されているので見つけにくいのですが、ブラウザの検索機能を使えばよいです。該当する研究は「吃音、トゥレット、場面緘黙の実態把握と支援のための調査研究」です。



「場面緘黙」検索人気度、やや低調

更新日:2023年12月05日(投稿日:2023年12月05日)
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2022年より低水準で推移


「場面緘黙」の検索キーワードとしての人気度が、2023年はやや低調です。下記ウェブサイトをご覧ください。

↓ まずは、ウェブ検索の人気度。「Googleトレンド」というウェブサイトへのリンクです。
◇ 「場面緘黙」最近5年間の、ウェブ検索での人気度の推移
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2022年よりも明らかに低水準で推移しています。ただし、2019年以前よりは高い水準で推移しています。

また、YouTube検索の人気度についても似た傾向が確認できます。

↓ YouTube検索の人気度。「Googleトレンド」というウェブサイトへのリンクです。
◇ 「場面緘黙」最近5年間の、YouTube検索での人気度の推移
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※ 「場面緘黙症」「緘黙」の検索人気度も、同様の傾向です。


検索人気度は上昇傾向だったのに


もっとも、上の検索結果の期間をより長期に変更すると分かるのですが、まだまだ検索人気度は歴史的に高い水準にあります。最も高かった2022年に次ぐぐらいの水準です。また、2022年に比べると低いとはいえ、低下傾向にあるわけではなく、安定した水準で推移しています。

しかし、検索人気度はここ10年ほどの間ほぼ上昇傾向にありました。それがここまで伸び悩むのは気になります。

検索人気度が伸び悩んだ原因ですが、おそらく今年は、メディアで緘黙が大きく取り上げられる機会が少なかったからではないかと思います。



宮川ひろ『きょうはいい日だね』

更新日:2023年11月28日(投稿日:2023年11月28日)
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場面緘黙症とみられる小学生を主人公とした児童書の存在を知りました。ご紹介します。

本の基本情報


書名:きょうはいい日だね
作:宮川ひろ
絵:藤田ひおこ
発行日:2005年3月
出版社:PHP研究所

宮川ひろ氏は、数多くの児童書を世に出しています。そのうちの1冊『ひいきにかんぱい!』(2013年、童心社)では、緘黙の小学生が主要人物として登場していました。

主な内容


緘黙とみられる小学1年生しゅうへいが、発語ができるまでを描いた本です。しゅうへいの担任教諭も、かつては緘黙児だったとみられます。ただ、作中に「場面緘黙症」といった専門用語は登場しません。より詳しいあらすじは、出版社やAmazon.co.jp等のウェブサイトに書かれてあります。

フィクションっぽい話です。ただ、本書はある小学校の学級の協力を得て作られたことが記されています。実話を元にした話の可能性も考えられます。

感想


しゅうへいは、図工の授業や課外活動を通じて発語に至っています。いずれも言葉を話さずにできる、身体の動きを伴った活動でした。確かに身体を動かすと、緊張は和らぎます。これは、担任教諭の秘策でした。ああいうかたちで緘黙が軽快したのは、しゅうへいがまだ小学1年生だったことも一因かもしれません。

ただ、しゅうへいには行動療法が専門的に行われたわけではありません。医師や心理師といった専門家も話には登場しません。もっとも、行動療法の過程を物語にしても、一般向けの児童書としては味気なくなるような気もします。

緘黙を経験した教諭が全国にどれほどいるか分かりませんが、そういう教諭は緘黙をよく理解していそうです。しかし、緘黙児は多様です。自分の経験に囚われすぎて、かえって目の前の緘黙児を見誤ってもよくありません。今回のお話では上手くいっています。

2005年の本なので、今の子どもの手にとられる機会は少ないかもしれず、そこは残念です。ちなみに2005年といえば、私が今のように緘黙のことをブログで書き始めた時期です。当時は、緘黙を扱った本は今以上に少なく、メディアでも取り上げられず、インターネット上で当事者、経験者、保護者らが細々と情報発信したり、交流したりした時期でしたが、その時期にこんな本が出ていたとは驚きです。

なお、本書はある方のX(旧Twitter)での投稿をきっかけに知りました。