緘黙団体のロゴに込められた思い

更新日:2019年01月14日(投稿日:2019年01月14日)
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かんもくネットには「Knet」という文字のロゴマークがあります。

◇ かんもくネットのロゴ(Twitterアカウントより)
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このロゴ、よく見ると、黄色と水色の輪があります。この2つの輪には、実は意味があるのです。

その意味を、かんもくネット立ち上げの当時、関係者の方からメールでお伺いしたことがあります。ですが、どういう意味かをここでご説明するのは控えます(私信でのやり取りで教えていただいたことなので、ごめんなさい)。

このように、緘黙の団体の中には、その団体の考えが反映されたロゴがある場合があります。そのいくつかをご紹介してみたいと思います。

小さな啓発活動でも、ゆくゆくは社会を動かす!


ノルウェーの緘黙団体 Foreningen for selektiv mutisme のロゴは、蝶を用いています。

◇ そのロゴ(Instagramアカウントより)
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上のリンクに書いてありますが、これは「バタフライ効果」をもとにしたそうです。アマゾンでの蝶のはばたきがシカゴの天気に影響を与える、つまり些細な力が長期的に大きな影響を及ぼすという、カオス理論というものの考え方だそうです。

この団体の主な目的は、緘黙に関する知識を広めることです。団体の規模はまだ小さいものの、この活動を通じて、ゆくゆくは社会に大きな影響を与えたいという思いが込められているのでしょう。


SM(場面緘黙症)の形のハート


台灣選擇性緘默症協會のロゴには、こういう赤いマークのようなものがあります。

◇ そのロゴ(Facebookアカウントより)
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これは、「SM」の文字をハートの形にしたものだそうです。場面緘黙症(正式には選択性緘黙)は英語でSelective Mutism、略してSMと呼ばれます。ハート型には「愛」の意味が込められているのでしょうか。全会員の投票により、このロゴに決まったそうです。

このロゴを使った、こんな可愛いイラストもあります。13歳の緘黙当事者が描いたものだそうです。

↓ Facebookページ「用愛打破沉默,選擇性緘默症」へのリンクです。
◇ そのイラスト(Facebookアカウントより)
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沈黙を破れ


ドイツの団体Mutismus Selbsthilfe Deutschland e.V.のロゴには、Mの字を引き裂いたイラストがあります。

↓ 団体ホームページへのリンクです。
◇ Mutismus Selbsthilfe Deutschland e.V.
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Mの字は、Mutismus(緘黙症)のことでしょう。それを引き裂いているということは、「沈黙を破れ」と言わんとしているのではないかと思います。

「沈黙を破れ」(英語:Break the silence)は、海外では、緘黙に関わる方の間で使われることがある標語です。先ほどの台湾の可愛らしいイラストでご紹介したFacebookページも、「用愛打破沉默」(愛によって沈黙を破る)という名前でした。


言語コミュニケーションへの橋


団体ではないのですが、CommuniCampという緘黙児を対象としたキャンプがアメリカにはあります。このロゴには、橋と蝶が描かれています。

↓ Facebookページ「CommuniCamp for Selective Mutism」へのリンクです。
◇ そのロゴ(Facebookアカウントより)
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ロゴには、"Crossing the Social Communication Bridge"(ソーシャル・コミュニケーション・ブリッジの横断)と書かれてあります。ロゴの橋は、それを表したものと見て間違いなさそうです。

「ソーシャル・コミュニケーション・ブリッジ」は、このキャンプを主催する緘黙の治療センター「SMartセンター」(Selective Mutism Anxiety & Related Disorders Treatment Center)の治療原理を表したものです。これは、緘黙児の状態を次の4段階に分けます。

(1)コミュニケーションがない段階
(2)非言語コミュニケーションの状態
(3)移行期の段階
(4)言語コミュニケーションの状態

そして、緘黙児を少しずつ(4)言語コミュニケーションの段階に持っていくのです。そこへの橋渡しをブリッジ(橋)に例えています。

↓ 「ソーシャル・コミュニケーション・ブリッジ」の説明。英語。PDF(130KB)。
◇ Social Communication Bridge® for selective mutism
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※ PDFを閲覧するには Adobe Reader が必要です。こちら新しいウィンドウで開く)からダウンロードできます。

CommuniCampもSMartセンターの治療原理に基づいたもので、ロゴにはそれが表れています。なお、一緒にロゴに描かれてある蝶の意味は私には分かりません。これもバタフライ効果を表したものなのでしょうか?


(私が知る範囲で)日本最古の緘黙ロゴ「緘黙の輪」


ロゴはまだまだあるのですが、最後に、私が知る範囲では日本で最も古い緘黙関係のロゴをご紹介します。ウェブリング「緘黙の輪」(2000~2007年)のロゴです。ロゴそのものは、2000年頃に作られたと見られます。

「無言の」を意味するMUTEという字と、駐車停止マークのようなもの(話せないことを意味すると思われる)を重ね合わせたものです。

↓ 中段あたりをご覧ください。
◇ 「緘黙の輪」公式ページ
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国連COP24で、緘黙の診断を過去に受けた少女が演説

更新日:2019年01月03日(投稿日:2019年01月02日)
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15歳の環境活動家


スウェーデンのグレタ・トゥーンベリ(Greta Thunberg)さんは、15歳ながら、環境活動家として有名な方です。

トゥーンベリさんは、気候変動への抗議のため、学校を休んで、国会前で座り込みを行なったことで知られます(学校の課題はこなしていたとのこと)。この活動に対し、日本を含む世界中の国々で同調者が現われました。

↓ BBCニュース(日本版)へのリンクです。
◇ 15歳少女、気候変動に抗議で2週間座り込み スウェーデン
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↓ 12月4日時点の報道では、世界の少なくとも270の街で、2万人以上の生徒が学校ストライキに参加したそうです。イギリスの高級紙The Guardianへのリンク。
◇ 'Our leaders are like children,' school strike founder tells climate summit
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また、12月に開かれた第24回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP24)では、世界のリーダーらに向けて演説を行なっています。

↓ その動画です。英語。3分29秒。


↓ 動画をYouTubeのページでご覧になりたい方はこちら。
◇ Greta Thunberg full speech at UN Climate Change COP24 Conference
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↓ 演説内容について。CNN.co.jp へのリンクです。
◇ 「子どもの未来、奪わないで」 15歳の活動家、COP24で演説
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↓ 国連事務総長とも会ったとか。こんな写真もあります。

※ トゥーンベリさんは、1月3日に16歳になられます。


アスペルガー、強迫性障害、緘黙の診断を受けた過去


このトゥーンベリさんですが、実は鬱を経験し、アスペルガー、強迫性障害、そして場面緘黙症(正式には選択性緘黙)の診断を受けた過去があったことを自ら明かされています。

↓ YouTubeへのリンクです。1分32秒頃から。
◇ School strike for climate - save the world by changing the rules | Greta Thunberg | TEDxStockholm
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↓ この話を記事にしたもの。Common Dreamsという英語ニュースサイトへのリンク。
◇ Depressed and Then Diagnosed With Autism, Greta Thunberg Explains Why Hope Cannot Save Planet But Bold Climate Action Still Can
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アスペルガーがあって特定場面で話せない場合、緘黙とは診断されないはずではないかと思うのですが、私は専門家でもなく、このあたりよく分かりません。ご本人の緘黙の説明も「必要と思った時に話すだけ」(I only speak when I think it's necessary)というのも、ちょっと変わっているかもしれません。どちらにしろ、かつてそういう診断を受けたそうです。

※ 緘黙が軽い人だと、必要性を感じた時にはなんとか少し声を出せるという人も、中にはいるだろうとは思います。

[追記(2019年1月3日)]

上のYouTube動画のお話を聞いていると、気候変動の問題に対して疑問を抱いたことが原因で、鬱になり、話すことも食べることも止めたと解釈できます。トゥーンベリさんはアスペルガーの診断を受けていますが、白黒はっきりさせて考えるため、二酸化炭素排出量ははっきり減らすべきと考えているそうです(私なりの要約)。


それにしても、大変な方ですね。動画を見る限り、演説もプレゼンも立派にこなしています。





厚生労働科学研究、緘黙等の研究の公募開始

更新日:2018年12月21日(投稿日:2018年12月21日)
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吃音、トゥレット症候群、緘黙


平成31年度(2019年度)の厚生労働科学研究費補助金の第一次公募研究課題が、12月21日に発表されました。その中の一つに、次のものがあります。

「言語を用いるコミュニケーションに困難さを持つ発達障害児者(吃音、トゥレット症候群、場面緘黙)の実態把握と支援のための研究 (19GC0101)」

※ 太字は私が施したものです。

求められる成果には次の二つが挙げられています。当事者や保護者としては、多少の期待も湧いてくるかもしれません。

「吃音症、トゥレット症候群、場面緘黙における生活の困難さと医療、福祉、就労等日常生活での有効な支援に関する調査結果」

「吃音、トゥレット症候群、場面緘黙の困難さを示す指標・尺度及び測定方法やその支援手法についてのガイドラインの作成」

研究費の規模は1課題当たり年間3,500~5,000千円程度だそうです。少なくとも、金額面では大規模な研究ではないようです。

↓ 115ページに書かれてあります。PDF(1,353KB)。厚労省ホームページへのリンクです。
◇ 2019年度第一次公募要項
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※ PDFを閲覧するには Adobe Reader が必要です。こちら新しいウィンドウで開く)からダウンロードできます。

↓ 今回の厚生労働科学研究公募全体については、こちら。厚労省ホームページへのリンクです。
◇ 2019年度 厚生労働科学研究費補助金公募要項(1次)
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当事者や家族、支援の実施者の意見が反映されるはず


今回公募される研究費補助金は、これまで何度かお話してきた「科研費」とは異なります。「科研費」は、文部科学省と、その外郭団体である独立行政法人日本学術振興会による研究助成費で、全ての学問分野にわたる「競争的研究資金」です。今回公募が行なわれた厚生労働科学研究では、緘黙に関わる研究が行なわれたことはありません(科研費はあります)。

↓ 科研費に採択された緘黙に関わる研究。国立情報学研究所のサービスKAKENへのリンク。
◇ KAKEN - 研究課題をさがす | 緘黙
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今回の公募の採択条件には次のように書かれてあるので、私たちにも何らかの関わりが出てくることも予想されます。

「吃音症、トゥレット症候群、場面緘黙等の当事者や家族、支援の実施者(専門家、行政、関係団体等)の意見が反映される体制が整備されていること(研究計画書の「2 研究計画・方法」において意見聴取の機会等が記載されていること)」

それから、診断名称の「選択性緘黙」ではなく、「場面緘黙」という名称で厚労省が公募を行っているのが気になります。「選択性緘黙」という名称だと話さないことを本人が選択しているという誤解を与えかねないとして、「場面緘黙」という名称を推す声が緘黙関係団体などの間にあります。ただ、正式な診断名称は「選択性緘黙」ですし、「症」をつけた「場面緘黙症」という呼び方も当事者や経験者らの間で根強いです。「場面緘黙」とした意図はどこにあるのでしょうか。

また、細かいことですが、緘黙が発達障害として扱われています。確かに緘黙は法律上発達障害とされることがありますが、緘黙は発達障害者支援法の対象から近い将来外れる可能性があるという観測もありました。今回の研究実施機関は最長2年間が予定されていますが、このあたり、問題になることはないだろうかと思います。

◇ 緘黙が、発達障害者支援法の対象から外される?
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なお、厚生労働科学研究は成果がまとまれば、下記のページで閲覧できます。

◇ 厚生労働科学研究成果データベース MHLW GRANTS SYSTEM
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