十周年を迎えた世界唯一?の緘黙雑誌に、転機

更新日:2019年08月04日(投稿日:2019年08月03日)
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ドイツの緘黙雑誌が今年で十周年


場面緘黙症の雑誌が、ドイツにはあります。mutismus.de という名称です。もしかすると、世界でも唯一の緘黙の雑誌かもしれません(かつてはイギリスで、緘黙のウェブ雑誌を発行した方もいました)。

2009年4月に第1号が出て、ほぼ毎年4月と10月に発行されてきました。2018年10月には第20号が発行され、今年4月には10周年を迎えています。

雑誌の内容はよく分からないのですが、項目を見る限り、やや専門的な内容かもしれません。ページ数についてもよく分からないのですが、第20号は52ページからなるそうです。

◇ 雑誌のウェブサイトへのリンク
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号によっては、特集が組まれています。以下の通りです。

第6号:緘黙と学校
第9号:大人の緘黙
第12号:緘黙インターナショナル
第19号:緘黙と子育て

このうち第12号の「緘黙インターナショナル」は、世界10ヶ国、14の支援者が寄稿する豪華な内容でした。この時のことは、当時、場面緘黙症Journalでも取り上げています。

↓ その記事です。
◇ 世界10カ国の緘黙支援者らが…
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8月より、出版社から出版


さて、この雑誌が、ここにきて一つの転機を迎えています。これまで雑誌の出版は独自に行なわれてきたのですが、2019年8月1日からは、Schulz-Kirchner Verlagという出版社から出版されることになりました。同社は作業療法や言語療法に関する本などを出版しています。

緘黙の雑誌が、一般の出版社から出版される意味は大きいです。さらなる飛躍に期待したいです。

◇ 情報源
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◇ 出版社・第20号販売ページへのリンク
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◇ 出版社・第21号出版のニュースへのリンク
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新しい人を受け入れる緘黙関係者

更新日:2019年07月28日(投稿日:2019年07月28日)
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露骨なよそ者扱いなどは、ない


「お前、新入りのくせに誰の許可でそんなことやってるんだ!!」

長く場面緘黙症に関わってきた人が、新しく活動を始めた人をいびる。「新人いじめ」をしたり、露骨によそ者扱いをしたりする。

こういう話、少なくとも私は聞いたことがありません(私が知らないだけなら、ごめんなさい)。

緘黙関係者の間では、新しく入ってきた人を排除せずに、わりと受け入れる土壌があると感じています。オンライン、オフライン問わず、新しい人が面白い活動をしていると、素直に評価する傾向があります。

先輩後輩といった意識も薄く、分け隔てはあまりありません。長く緘黙に携わってきた人がふんぞり返って偉そうにしているといったこともありません。

どうしてこうした土壌があるのかは分かりません。もしかしたら、緘黙に関する活動を行う人には若い人が多いことや、こうした活動の歴史があまりないことなどが要因かもしれないと漠然と思います。


昔からそうだった


実は、私がこのブログを始めた13~14年前には、既にそうした土壌があることを感じていました。私は唐突にこんなブログを始めて注目されたのですが、当時の緘黙サイトの先輩方から見て、私は生意気なことをしているのではないかと思ったことがあります。ですが、私は皆様から受け入れてもらえました。

私は長くブログを書き続ける中で、新しくこの界隈に入ってきた人をたくさん見てきましたが、私も先輩方を見習い、心広く受け入れようと心がけてきたつもりです。


新たな人が新たな活動を初め、発展してきた


このように、新しい人が現れてもそれを受け入れる伝統が、緘黙関係者の間ではあります。そしてこのことが、緘黙に関する新たな活動が次々と生まれ、発展していったことの背景にあったものと考えています。緘黙に関する革新的な活動は、こうした、新たに参入した人が担ってきたところが大きいです。

反面、新しい人ばかりでなく、先輩方の活動実績にもう少し光が当たってもよいような気もします。

とはいえ、こうした伝統はやはりこれからも大事にしたいです。長く緘黙に関わってきた人ばかりが偉そうにして、新たな人が活躍できなくなると、緘黙に関する活動はマンネリ化が進み、停滞の道をたどるでしょう。



緘黙の研究に、科研費過去最大2,561万円

更新日:2019年07月05日(投稿日:2019年07月05日)
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研究機関は5年で過去最長タイ


今年度から始まった、ある場面緘黙症の研究に、科研費として2,561万円が交付予定であることが明らかになりました。

↓ 国立情報学研究所のサービス KAKEN へのリンクです。
◇ 場面緘黙児の早期発見・早期支援・経過把握の方法開発 
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科研費に採択された緘黙の研究としては、交付額は過去最大です。研究期間も5年と、これまでの中で最長タイです。

交付額が全てではないかもしれませんが、2,561万円とはそれなりに大きな金額です。私はひきこもり問題にも関心を持っているのですが、ひきこもり研究で、今年度科研費交付額が最大だったものの金額は624万円(2年間)でした。今回の研究の交付額は、総額で見ても、一年あたりで見ても、それよりも大きいです。

ところで、先日、似たようなお話をしたのを覚えていらっしゃるでしょうか。今年度採択された他の研究に「縦断的調査による場面緘黙の実態解明と効果的な介入手法の確立」があり、これが過去最大・最長であると先日このブログでお話したのでした。この研究に交付された科研費は1,573万円、期間は同じ5年間でした。それが昨日、今回の研究がKAKENで追加公表され、交付額過去最大の研究がこちらに変わったのでした。

↓ 1,573万円交付の研究。国立情報学研究所のサービス KAKEN へのリンクです。
◇ 縦断的調査による場面緘黙の実態解明と効果的な介入手法の確立
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科研費とは


科研費こと科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金/科学研究費補助金)は、文部科学省と、その外郭団体である独立行政法人日本学術振興会による研究助成事業です。助成対象の研究は、人文・社会科学から自然科学まで全ての分野にわたります。その規模は、2018年度予算額で2,286億円です。

科研費は「競争的研究資金」であり、その交付を受けるには、応募を行なった上で、審査に通らなければなりません。応募件数は平成2017年度で約101,247件で、このうち25,313万件が新規採択されています。

科研費には研究種目という区分があり、「特別推進研究」「新学術領域研究」「基盤研究」「挑戦的研究」「若手研究」「研究活動スタート支援」「奨励研究」からなります。

今回採択された緘黙の研究は「挑戦的研究(開拓) 」です。「挑戦的研究」は1人または複数の研究者で組織する研究計画であって、これまでの学術の体系や方向を大きく変革・転換させることを志向し、飛躍的に発展する潜在性を有する研究です。このうち(開拓)は、研究機関3~6年で500万円以上2,000万円以下のものを指します。その一方、挑戦的研究には(萌芽)という区分もあり、こちらは2~3年間で500万円以下のものを指します。


緘黙と科研費


100年を超える科研費の歴史の中で、緘黙の研究が科研費に採択されるようになったのは、KAKEN で確認できる限り、ごく最近のことです。最初の採択例は2010年度から12年度にかけて行なわれた「選択性緘黙の内的世界の探究と治療教育的アプローチの開発」でした。2016年度からは、毎年何らかの研究が採択されています。

なぜ採択数や金額がここにきて急増しているのかは、相変わらず私には分かりません。科研費全体で採択件数が増加傾向にあり、緘黙の研究ももしかすると採択されやすくなっているのかもしれません。ですが、それにしても、不自然なぐらい急増していると思います。

今年度に至っては金額が大型化し、先ほどお話した2つの研究を合わせただけでも約4,000万円(5年間)に達します。

多額の助成をもとにしたこれらの研究ですが、果たして期待できるのでしょうか。これには、過去の研究実績が参考になると思います。下記の研究には実績報告書が出ているので、ご紹介します。私がどの程度期待しているかについては、書かないことにします。

◇ 場面緘黙児・者のセルフ・エフィカシーが治療への参加意欲に及ぼす影響
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◇ 選択性緘黙児童生徒の多様な状態像の解明と個に応じた支援方法の検討
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◇ 選択性緘黙の内的世界の探究と治療教育的アプローチの開発
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