ロボットと話す緘黙児者

更新日:2021年02月20日(投稿日:2021年02月20日)
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英語学習AIロボットが、緘黙生徒の発語の練習相手に


「Musio」という英語学習AIロボットが、2021年エジソン賞のファイナリストに選ばれました。これには、和光市立大和中学校の特別支援学級で、場面緘黙症の生徒に活用できたことも評価されたようです(아카에, 2021年2月17日)。

↓ 情報源。韓国語サイトNewsWireへのリンク。
◇ AI 스타트업 아카, 에디슨 어워드 2021 파이널리스트 최종 선정
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エジソン賞(Edison Awards)は、新しい製品やサービスの開発、マーケティング、人間中心設計、イノベーションに対して与えられる権威ある賞です。

Musioが、緘黙の生徒の発語の練習相手として活用できたという話は、かつて開発元のAKA株式会社のプレスリリースで配信され、各メディアで取り上げられていました(AKA Corp. , 2020年4月28日)。ただ、さらっと書かれていただけで、詳細は不明です。

↓ PR TIMESへのリンク。
◇ AKA株式会社、和光市立大和中学校の特別支援学級で英語学習AIロボット「Musio」(ミュージオ)による学習支援の実証実験を実施しました|AKA Corp.のプレスリリース
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ロボットの方が話しやすい?


似たような話は過去にも読んだことがあります。大阪大学の石黒浩教授(栄誉教授)の話です(石黒, 2017, p. 143)。

緘黙症(かんもくしょう)という、家庭の外など特定の環境で話せなくなる症例の子どもも、ロボットに対してであればどこでも積極的に会話をするようになります。ある子どものご両親は、「うちの子がこんなに楽しそうに話しているのを初めて見た」と涙を流して喜んでいました。

もっとも、緘黙児者とロボットの会話については、学術的検証は進んでいないのではないかと思います。上の話も、石黒教授が関わった事例に限ったことではないかと思います。

緘黙の研究ではないのですが、対人不安傾向が大きい者は、コミュニケーション相手に人よりもロボットを選好し、場面によっては同じロボットであっても人間に近いが金属・機械の見た目のロボットを選択したという研究結果があります(鈴木ら, 2019)。

私個人の経験ですが、「はま寿司」という回転寿司で、pepper(ペッパー)というロボットが接客している場面に出くわしたことがあります。私は元緘黙?ゆえか、人と関わることに不安を感じることがあるのですが、ロボットが相手だと、その点楽でした。

もしかすると、ロボットだと、人と関わるときよりも不安がないのかもしれません。モノの方が、人よりも関わりやすいとか。ただ、このあたりのところは、私もよく知りません。





緘黙団体が性に関する教育、なぜ?(台湾)

更新日:2021年02月25日(投稿日:2021年02月08日)
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親子ワークショップ開催


台湾の場面緘黙症の団体「台灣選擇性緘默症協會」が、性に関する親子ワークショップを開きます。緘黙団体がこのようなイベントを開催するのは、極めて珍しいです。少なくとも私は、初めて聞きました。

日時:4月10・11日(土・日曜日)14時00分~16時00分
主催:台灣選擇性緘默症協會、The Genderest Showman
場所:台北医学大学
定員:1回毎に親子12ペアまで
参加費:会員無料、非会員は1回毎に200ニュー台湾ドル(約760円)
対象年齢:4~9歳

↓ 情報源。台灣選擇性緘默症協會ブログへのリンクです。
◇ 台灣選擇性緘默症協會: 【會員活動通知】
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台灣選擇性緘默症協會と共催するThe Genderest Showmanは、台湾の大学生のグループです。公式Facebookページによると、このグループは性的平和を主張し、性暴力の防止に重点的に取り組んでいるそうです。また、公式YouTubeページによると、演劇活動を通じたジェンダー教育を行っているそうです。

今回の親子ワークショップでも、演劇による教育が行われます。

↓ The Genderest Showman の紹介動画です。


※ 上の動画のYouTubeへの直接リンクはこちら。
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なぜ緘黙の団体が


それにしても、なぜ緘黙の団体が、このようなイベントを催すのでしょう。

先ほどの台灣選擇性緘默症協會ブログの記事には、緘黙児は多くの場合、学校では大声で助けを求めることができないと書かれてあります。また、緘黙児に自分の身体についてや、自分自身を守る方法を教えるとも書かれてあります。

話せない緘黙児が性被害に遭うのを防ぐ狙いがあるのでしょう。それならば、The Genderest Showmanが共催するのも辻褄が合います。お話ししたように、この団体は性暴力の防止に取り組んでいるためです。

先月、台湾で性被害のニュースがあった


そういえば先月、台湾で、緘黙の女子高校生が性暴力を受け、裁判になったニュースがありました。あくまで推測ですが、もしかすると、今回のイベントはそれを受けたものかもしれません。

↓ そのニュースの記事です。台湾のYahoo!へのリンク。
◇ 女學生患「選擇性緘默症」一受驚就呆若木雞 校工竟趁機性侵免坐牢
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大人の緘黙サークル(英)

更新日:2021年02月03日(投稿日:2021年02月02日)
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SM Talking Circles


場面緘黙症の成人のトーキングサークルが、イギリスにあるそうです。SM Talking Circlesというピアサポートグループです。

このサークルですが、インターネットで検索しても、あまり情報が見つかりません。公式ホームページやSNSページなどもありません。私自身、このサークルの話を耳にしたことは、そうありません。ひっそり活動を行うサークルなのか、規模が小さなサークルなのかもしれません。

このサークルの比較的まとまった情報が、意外にも日本語のブログにあります。イギリスにお住まいの元緘黙児の保護者Mikuさんが書かれたブログの記事です。

↓ そのブログ記事へのリンクです。サークルの創設者ジェーン・サラザー(Jane Salazar)さんの講演。
◇ 2018年SMiRAコンファレンス(その7) | SM Notes
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また、サークルの方たちが作った紹介動画(英語)があります。これによると、サークルの集まりでは話すことへのプレッシャーがない一方、会員がサークル内で少しずつ話せるようになるよう計画されたアプローチが用いられているそうです。



また、下記の記事では、会員が話さなくても意見を表明できるよう、独自の投票システムを作ったことが書かれてあります。

↓ その記事です。英文。Ideas Allianceというイギリスの団体のサイトへのリンク。
◇ Selective Mutism and the power of peer support - Ideas Alliance
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興味深く思ったのは、就労や大学進学等の際に、緘黙を説明したり、合理的配慮を求めたりするのに役立つ文書のひな形を作っていることです。大人の緘黙サークルならではです。

↓ そのひな型です。英文。PDF。240KB。
◇ letter-template-teens-adults-applications-jobs-etc.pdf
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コロナ禍での活動


対面式のサークルでしたが、最近では新型コロナウイルス感染拡大の影響により、活動の場がオンライン、具体的にはZoomに移行しているそうです。このコロナ禍での活動の記事が、2020年10月頃、「全国サバイバーネットワーク」(National Survivor User Network)のウェブサイトに掲載されました。

↓ その記事です。英文。
◇ SM Talking Circles and COVID-19 | National Survivor User Network
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興味深いのは、MiroやGoogle Jamboardというオンラインホワイトボード、ないし電子ホワイトボードの利用の計画を始めているということです。こういう非言語でのコミュニケーション手段があるんですね。

なお、ホワイトボードの利用は全国サバイバーネットワークの基金によるものです。この基金はコロナウイルス精神保健対応基金(Coronavirus Mental Health Response Fund)というものの一部で、英国保健省の支援を受けているそうです。