世界最大の緘黙イベント?SMA総会

更新日:2021年10月03日(投稿日:2021年10月03日)
アイキャッチ画像。

Annual Conference


アメリカの場面緘黙症団体 Selective Mutism Association の年次総会が開催されています。海外では緘黙の啓発月間が10月にあり、それに時期を合わせたものとみられます。

日時:10月2日(土曜日)10時00分~18時20分、10月3日(日曜日)10時00分~17時15分
参加費:会員120ドル、非会員145ドル、学生?65ドル
会場:オンライン

この催しで行われるプログラムは、27件に上ります(2度のポスターセッションも含めると29件。このあたりは数え方による)。これらは一部を除き、専門家向け、保護者向け、当事者向け(17歳以上)に3分類されます。そして、2~3件のプログラムが同時進行する日程です。

基調プレゼンテーションは、コロンビア大学のAnne Marie Albano教授です。


様々なプログラム


当事者向けプログラム


様々なプログラムがありますが、かつて学校で話せなかった身としては、当事者向け(17歳以上)のものが気になります。この当事者向けのプログラム、登壇者はほとんど専門家のようです。演題からして、心理教育をするのかもしれません。

こうしたプログラムが多数用意できるなら、当事者向けの緘黙の本がもっと出てもよさそうです。それがなされていないのは、本にすると採算が取れないとか、書籍化特有の事情でもあるのかもしれません。

様々な国や文化でみられる緘黙


他に興味を引かれたプログラムは、1日目15時からの専門家向けプログラム "SM Across Cultures and Countries: What can we learn from each other?" 。様々な国や文化でみられる緘黙の診断や治療のあり方について論じるもののようです。登壇者にはブラジル出身の専門家、イスラエル在住で台湾など他文化圏の緘黙支援にも関わる専門家、アルゼンチンの緘黙支援者、中国の緘黙コミュニティに関わる元緘黙児の母親など、様々な背景を持った人が名を連ねます。

ですが、日本の関係者はいません。それはまだしも、プログラムの説明文にはアメリカ、イスラエル、ヨーロッパ、中国、ブラジル、アルゼンチンと様々な国や文化圏について触れられているのですが、ここでさえ、日本のことには全く触れられていません。

もともと日本の緘黙事情は、海外の緘黙関係者の間ではほとんど知られていないのではと感じていました。日本の緘黙研究が海外の文献で引用される場面もほとんど見たことがなく、日本で有名な緘黙研究者や支援者も、国際的には無名の存在だろうと思います。加えて、北米の人にとってはブラジルに比べると日本は縁遠そうな国ですし、非欧米圏な上、中国に比べると存在感も感じないでしょう。なにより、アメリカの緘黙団体とのつながりが薄いです。このため、こういう扱いになったのだろうと思います。





23日に投稿した、英語オンライン講座について

更新日:2020年09月24日(投稿日:2020年09月24日)
アイキャッチ画像。
9月23日(水曜日)に、場面緘黙症のオンライン講座(英語)について記事にしました。

しかし、講師の中に似非科学の推進者が含まれているというご指摘を受けました。このため、記事の公開を取りやめました。気づかず取り上げてしまい、申し訳ございませんでした。


コロナ禍の中の、緘黙イベント

更新日:2020年08月18日(投稿日:2020年08月18日)
アイキャッチ画像。

コロナ禍の中の、親の会と当事者会


今から半年前の2月23日、かんもく自助グループ「言の葉の会」が主催する交流会が開かれる予定でした。ですが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、中止になっています。

この時以降、場面緘黙症の親の会や当事者会が、行われなくなっていきました。

あれから半年を経て、現在はどうなっているのでしょうか。

いくつかの団体や会は、zoomやLINEなど、オンライン上で交流会等を催したようです。公式SNSなどで報告があります。

例えば……

○ かんもくネットおしゃべり会(オンライン会議)
○ 「熊本かんもく親の会」ZOOMでお茶会
○ 「あゆみの会(場面緘黙 親の会ひろしま)」ZOOMおはなし会
○ 場面緘黙啓発バー #stayhome
○ zoomで緘黙富山交流会
○ オンライン緘黙交流会
○ 吃音と場面緘黙の人たちのつどい(ZOOM利用)
○ かんもくラボ

一部には、オンラインではなく、現実世界で集まりの場を設けた会もあります。withコロナの時期だと、適切な感染症対策のもと実施することも可能という考え方もあるかもしれません。

一方、新型コロナウイルス感染拡大以降、交流会等を開いたという報告を公式SNS等で行っていない親の会もあります。オンライン交流会も含めて一切の催しを中断しているのかもしれません。ですが、単に報告を行っていないだけかもしれず、そのあたりのところは分かりません。

コロナ禍の中の、講演会等


緘黙関係の催しといえば、かつては緘黙の理解を広めるための講演会や研修会等の開催情報が時折入ってきたものでした。それが、新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、目にしなくなっています。毎年7月頃には、日本緘黙研究会による研修会が数百名規模で行われてきましたが、今年は開催予定が未だに発表されません。

こうした講演会等については、オンラインで開催したという話は少なくとも私は聞きません。強いて言えば、講演会等の範疇に入るかどうか分かりませんが、「かんもくフォーラム」という催しが、オンライン開催が予定されているぐらいです。

このように、講演会等による緘黙の啓発活動が、現在滞っている状態です。講演会等が開催されるとメディアで取り上げられることもありますが、それも無くなっています。

ネット上の交流に回帰したような格好


歴史的には、もともと緘黙の保護者や当事者らは、ほとんどネット上のみで交流を行っていました。河井英子氏が『場面緘黙Q&A』(2008年)に寄せた推薦文の中で指摘したように、緘黙とネットのコミュニケーションは相性がよかったのでしょう。その後、現実世界での催しが増えていったのですが、古い世代の私などは「せっかく、緘黙とネットは相性が良いのに」と納得ができなかったものです。

2014年には、私はこんな記事を書いています。

◇ 増える緘黙関係のイベント
新しいウィンドウで開く

それが、コロナの影響で、結果的にネット上の交流に回帰したような格好になっています。

今後はどうなるのか


新型コロナウイルスの感染拡大はいつ収束するか、誰にも予想できません。今のような状況もいつまで続くか分かりません。また、収束した後、親の会や当事者会、講演会等が以前と同じように開催されるようになるのか、それともオンライン開催が増えるなど何らかの変化があるのか、そこのところも何とも言えません。

私としては、特に地域密着型の親の会の今後が、気になります。今のような状況が短期的に終わるならともかく、あまりにも長期化すると、存在意義に関わりかねないのではないかと思います。地域密着型の親の会は、同じ地域に住む者同士、現実世界で顔を合わせて何らかの活動を行うことに重きを置いていたはずです。今のようにオンラインで集まることもできますが、それだと、わざわざ「富山」とか「ひろしま」といったように、地域を絞る意味が薄れてしまいます。

コロナ対策と経済を回すことの両立の必要性が叫ばれ、「withコロナ」という言葉が浸透しました。ですが、コロナ対策との両立を考えなければならないのは、経済だけではありません。緘黙に関する活動もそうでしょう。オンラインでの開催、感染症対策をとった上での現実世界での開催……今後、どういう道を辿っていくのでしょうか。

蛇足・コロナ禍の場面緘黙症Journal


蛇足ですが、新型コロナウイルスの感染拡大は、場面緘黙症Journalにも全く影響がないわけではありません。私は図書館に出向いて、調べ物をしながらサイトを更新することがあったのです。それが最近できないでいます。

コロナ、早く収束して~!