食事や栄養に注目する緘黙関係者がいる

更新日:2019年08月16日(投稿日:2019年08月15日)
アイキャッチ画像。

アメリカのSMartセンター


GABA(ギャバ)は不安を和らげるのに役立つことが知られています。GABAを多く含んだ食物を、家族の食事に取り入れてみましょう。例えば、アーモンド、バナナ、ブロッコリー、玄米、全粒の食物、かんきつ類、ホウレンソウ、クルミなどです。食物についてのさらなるヒントのために、私たちのウェブセミナーをチェックしましょう:https://cutt.ly/aFAXXd

GABA is known to help reduce anxiety. Try incorporating GABA-filled foods into your family’s diet. Some examples are almonds, bananas, broccoli, brown rice, whole grains, citrus fruits, spinach, and walnuts. For more food tips, check out our diet webinar: https://cutt.ly/aFAXXd

出展:https://www.facebook.com/SelectiveMutism.SMartCenter/posts/1357039267753904

いつからか、SMartセンターがたまに食事の話をするようになりました。SMartセンターは、アメリカにある場面緘黙症の研究治療センターで、Selective Mutism Anxiety Research & Treatment Center の略です。かんもくネットのKnet資料でもおなじみです。

上の他にも、SMartセンターは、例えば以下のページやPDFファイルで、食事について取り上げています。

↓ 「食事や栄養が、緘黙にどのように影響するか?」おすすめの栄養素や、注意すべき食物について書かれてあります。
◇ How Does Diet and Nutrition Affect Selective Mutism?
新しいウィンドウで開く

↓ 「食事と緘黙の間に効果はあるのか?」PDFファイルです(229KB)。
◇ Is there an effect between Diet and SM?
新しいウィンドウで開く

上のPDFファイルによると、正式な研究はないものの、緘黙児者の不安を和らげるのに役立つ栄養の取り方があるとSMartセンターは推測しているようです(緘黙児者には、不安を併せ持つ場合が多いです)。「根拠に基づいた」治療を強調するSMartセンターにしては、少しトーンが弱いです。


ニュージーランドの VOICE for Selective Mutism


実際、他の緘黙団体等で、食事や栄養の話題に繰り返し触れているのは、私が知る限り ニュージーランドの VOICE for Selective Mutism ぐらいです。最近、食事やサプリメントで腸内細菌を制御することにより不安が軽減される可能性を示唆するレビュー論文が発表されたのですが、このニュージーランドの団体は、それにいたく感心している様子でした。

↓ 食事について話題にするニュージーランドの緘黙団体。
◇ Yes, yes, yes. Some great studies are ...
新しいウィンドウで開く

↓ 腸内細菌と不安の研究について話題にするニュージーランドの緘黙団体。
◇ Yes, yes, yes. Some great studies are ...
新しいウィンドウで開く

↓ ここでは、「栄養精神医学」の記事を紹介しています。
◇ https://theconversation.com/why-nutrition ...
新しいウィンドウで開く

比較的最近注目されたというか、まだ確証をもって言えないところがあるというか、そういう話題なので、今のところ緘黙関係者の間ではあまり取り上げられていないのかもしれません。今後、研究が進展し、食事や栄養が緘黙に与える影響が明らかになると面白そうです。



ベルギーでも緘黙キャンプが開催

更新日:2019年01月08日(投稿日:2019年01月08日)
アイキャッチ画像。

フランドルの緘黙団体が主催


場面緘黙症のサマーキャンプが、ベルギーで初開催されるそうです。フランドル(フランダース)地方に緘黙の団体があり、ここが主催します。

↓ フランドルの緘黙団体Selectief mutisme Vlaanderenホームページへのリンクです。
◇ Inschrijven voor hét Zomerkamp 2019: voor kinderen en tieners met praatangst
新しいウィンドウで開く

上のページによると、緘黙がある子どもや10代の若者の中にはキャンプに参加できたり、参加したいと思う人がほとんどいないそうです(ベルギーはサマーキャンプが盛んなのでしょうか)。このことから、緘黙があっても楽しめるキャンプの機会を提供しようということのようです。

また、緘黙児者が自信をつけたり、緘黙を改善するための様々な活動(リラクゼーション、ゲーム、クラフト、dappere daden?、 呼吸、発話練習)をしたりもするようです。

キャンプとあってその日程は数日間に及び、7月1日(月曜日)午後4時~7月5日(金曜日)午前10時まで予定されています。4泊5日の計算です。子供は親同伴で、10代の場合は親を同伴するか選択できます。親同士が経験談を交換できる機会も設けられるようです。

今回は初の試みなので小規模の人数で行い、翌年からは人数を増やして行なう予定です。参加者は応募した後、専門家のチームが参加の是非を判断します。


イタリアやアメリカでも行なわれています


緘黙のサマーキャンプといえば、イタリアではVacanzina、アメリカではCommuniCampと題するキャンプがあることを以前お話ししました。今回のベルギーのキャンプも、イタリアとアメリカのキャンプから着想を得たそうです。

◇ イタリアの緘黙治療キャンプVacanzina
新しいウィンドウで開く

◇ 世界6カ国から参加者が集った緘黙キャンプCommuniCamp
新しいウィンドウで開く

なお、先日「緘黙関連ニュース」でお伝えしたように、アメリカではまた新たなサマーキャンプの計画があるそうです。

◇ 米国で新たな緘黙キャンプの計画
新しいウィンドウで開く

また、アメリカなど複数の国で緘黙の集中プログラムが行なわれていますが(ニューヨークChild Mind InsituteのBrave Buddiesなど)、それと今回のキャンプが同類と見てよいかは分かりません。どちらにしろ、緘黙児者を多数集め、連続的に長期にわたって症状の改善を図る試みである点は同様で、こうした試みが世界でさらに広まっていると見ることもできるかもしれません。

私個人の経験をお話しすると、学校行事で合宿をした経験があります。当時は学校で最も話せない時期でしたが、この種の行事はすこぶる苦手でした。合宿は緘黙?(未診断)の私のみを対象としたものでは当然なかったので、私には非常に高い活動能力が要求されたのです。合宿の狙いは「生きる力」を育むとか、そんなところだったのでしょうが、私にはその力がどの程度育めたか疑問でした。それを思うと、緘黙児者でも楽しめるキャンプには興味を引かれます。

「ベルギー子育て奮闘記」というリポートによると、ベルギーの夏休みは7月初旬から8月末までの2か月間あるそうです。それだけ長いと、緘黙児者とその親にとっても、夏休みの過ごし方は考えどころだろうと思います。このサマーキャンプは、その一つの答えを示すことができるのでしょうか。注目されます。

↓ Child Research Netホームページへのリンクです。
◇ 【ベルギー子育て奮闘記】 第10回 夏休みの過ごし方~ベルギーのサマースクール~ - 論文・レポート
新しいウィンドウで開く

※ 私はオランダ語のページを英語に機械翻訳して読んでいます。私の解釈には不正確な部分もあるかもしれません。



シアトル子ども病院のグループプログラム

更新日:2018年10月07日(投稿日:2018年10月07日)
アイキャッチ画像。
シアトル子ども病院(Seattle Children’s Hospital)のホームページに9月7日、場面緘黙症の記事が掲載されました。緘黙がある6歳の少女と、その母親の記事です。

↓ その記事です。
◇ April Discovers Power in Her Voice Through Selective Mutism Program
新しいウィンドウで開く

8週間のグループプログラム


記事の後段に、病院によるグループプログラムの実践が書かれてあり、興味深く読みました。上の記事などから簡単にまとめると、次のような内容です。

○ 8週間のプログラムで、毎週90分実施
○ 保護者グループと子どもグループに分かれる(第1回は保護者グループのみ)
○ 保護者グループは、緘黙の原因、維持要因、緘黙の負の連鎖を破るための戦略を学ぶ
○ 子どもグループは、セラピストや他のメンバーと、スモールステップで発話(ただし、発話練習ばかりするわけではない)
○ 毎週最後に、保護者と子どもが、発話への暴露(エクスポージャー)の練習を、臨床家の助けのもと行なう
○ 実施場所は、"During the group, your child will practice speaking around the hospital..." とあることから、病院やその周辺か?

↓ 記事にもリンクがあった、シアトルの緘黙グループの概要。PDF(39.6KB)。
◇ Selective Mutism Group
新しいウィンドウで開く

※ PDFを閲覧するには Adobe Reader が必要です。こちら新しいウィンドウで開く)からダウンロードできます。

コメント


私は専門家ではないのでよく分からないのですが、保護者と緘黙児に別々のプログラムを行なう点は、アメリカに多い集中プログラムと共通しているように思います。緘黙児にスモールステップの取り組みを実践するのみならず、保護者への教育も行なうわけです。

保護者への教育の内容は詳しくは書かれてありませんが、上の資料やアメリカの傾向から推察するに、緘黙の概要に加えて、子どもの緘黙を維持強化させない接し方、スモールステップの取り組み方などが考えられます。病院によるプログラムが終了しても、次につなげるための教育です。

例えば、以下は全て一定の条件での話ですが、緘黙児が質問を受けた時に、親が代わりに答えてはならないとか(発話せずに済む→不安が減る→緘黙行動が強化される)、緘黙児への問いかけは発話を要する「○○ですか、それとも××ですか」型で行なうとか、返事には5秒待つとか、そうしたことを教えていそうです。あくまで推測ですが。

↓ 例えばこの動画は、最近の北米に特徴的な内容です。カナダの慈善団体 Anxiety BC の動画。
◇ Understanding and Managing Selective Mutism
新しいウィンドウで開く

保護者への教育はグループ形式で行なうことから、同じ悩みを持つ保護者同士の出会いの場にもなっているようです。

あと、子どもへのスモールステップの取り組みですが、学校園でも模擬教室でもない場で行う点が少し気になります。病院での発話を、学校や幼稚園にどうつなげるかが、プログラム終了後のポイントになりそうです。