筋トレの喩え

更新日:2021年01月07日(投稿日:2021年01月07日)
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私が働いている職場から、新型コロナウイルスの感染者が出ました。私は濃厚接触者ではなかったものの、コロナは他人事ではないと改めて感じました。皆様もお気をつけください。

「勇敢な筋肉」?


さて、本題です。北米の場面緘黙症の情報に接していたところ、brave muscles という言葉に出くわしたことが何度もあります。直訳すると「勇敢な筋肉」です。全く意味が分かりません。例えば、Building brave muscles(勇敢な筋肉を作る)などと使います。

別に変な人が使っている言葉ではありません。ニューヨークを拠点に緘黙の治療に実績のあるChild Mind Instituteなどが使ったことがある言葉です。邦訳書『場面緘黙の子どものアセスメントと支援』でも、「勇気の力」(68ページ)などの訳で登場します。


スモールステップの取り組みを、筋トレに喩える


これは、いわゆる「スモールステップの取り組み」に関して使われる言葉です。スモールステップの取り組みは、緘黙児者を段階的に発話に持っていく取り組みです。

私たちはよく「スモールステップ……」と言いますが、専門用語だと実は「シェイピング」(Shaping)などと言います。Shape とは、形作ることです。望ましい行動へと、少しずつ形作るということなのでしょう。そのためには、適切なかたちで実践を重ねる必要があります。

brave muscles とは、こうした取り組みを筋トレに喩えたもののようです。先程お話しした邦訳書『場面緘黙の子どものアセスメントと支援』では、「勇気の力」と訳して musclesを「筋肉」ではなく「力」としていますが、実はその言葉が出る前後の文章では筋肉の話が出てくるのです(68~69ページ)。

スモールステップの取り組みを筋トレに喩えるのは私にはしっくりこないのですが(筋トレには縁薄いので)、人によっては合うかもしれません。



「診断より先に支援」という考え方

更新日:2020年11月05日(投稿日:2020年11月05日)
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場面緘黙症の支援をいかに得るか--

イギリスの緘黙団体SMIRAが、これをフローチャートでまとめています。

↓ そのフローチャートが掲載されたページです。英語ページ。
◇ Info: Where to Get Help with Selective Mutism - SMIRA
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このフローチャートが、Twitterで、ごく小さな話題になりました。英語圏の緘黙関係者はTwitterをあまりしないのですが、その割には話題になっています。

↓ その話題になっているTwitter投稿。児童言語聴覚士の投稿です。

この方、何をおっしゃっているのかというと、フローチャートの最初の部分が気に入っているとのことです。つまり、緘黙の疑いのある子/人の支援を始めるのに診断は必要ないというのがフローチャートの記述で、そこが気に入っているというのです。フローチャートでは、まずは自身が緘黙について学び、次いで、無意識のうちに緘黙を維持させている大人の行動を変えるという順番で、専門家の出番はそれより後とされています。

イギリスの緘黙治療で定番のマニュアルThe Selective Mutism Resource Manual第2版によると、イギリスにおいても、緘黙を適切にアセスメント、診断できる専門家を見つけるのは簡単ではないそうです(56ページ)。フローチャートの記述には、そうした事情が関係しているのかもしれません。

なお、そのマニュアルは、素人が緘黙を診断することを、条件付きですすめてさえいます(57、58ページ)。診断できる専門家を探すのが遅れるばかりに、緘黙児者への介入まで不必要に遅れてはならないということのようです。このあたりは議論が分かれるかもしれません(同書もそれは認めています)。

イギリスの緘黙団体SMIRAにしても、イギリスで定番の緘黙マニュアルにしても、早期支援に強い意識を持っていることが感じられます。


青年期の緘黙治療、課題の一つに動機?

更新日:2020年08月01日(投稿日:2020年08月01日)
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大人の場面緘黙症の情報が少ないと言う声もありますが、青年期[思春期]の緘黙の情報も少ないのではないかと思います。

この青年期の緘黙の治療についての無料ウェブセミナーを、7月24日、アメリカのSelective Mutism Associationが開催しました。その時の動画がYouTubeに公開されています。

↓ そのYouTube動画です。1時間1分29秒。
Practical Applications to Enhance Motivation in the Treatment of Adolescents with Selective


※ 動画をYouTubeのページでご覧になりたい方は、こちらをクリックしてみてください。
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◇ ウェブセミナー開催情報1
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◇ ウェブセミナー開催情報2 プレゼン資料がダウンロードできます
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プレゼンターは、臨床心理学者のShelley Avny氏。この方はWeSpeakという、ティーンやその少し前の年齢の緘黙児のための初の集中プログラムを開発された方です。

この年齢層の緘黙特有の問題として、様々なことが指摘されていますが、Avny氏は治療における動機付けの問題を挙げており、これがウェブセミナーのテーマとなっています。ここはちょっと目新しいかなと思うのですが、それにしてもセミナーのテーマとしては随分と専門的です。

なお、このウェブセミナーは、Gordon and Marilyn Macklin Foundationの助成を受けて行われたものです。Gordon Macklin氏(故人)はNASDAQの最初のプレジデント兼CEO。Marilyn Macklin氏(故人)はその妻。お子さんが川崎病にかかったことが財団設立のきっかけだったそうです。

Selective Mutism Associationは、この他にも、無料で見られる緘黙のウェブセミナーを3つ公開しています。