ポーランドの全国教育プロジェクト

更新日:2022年02月12日(投稿日:2022年02月12日)
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ポーランドで、場面緘黙症の全国教育プロジェクトが実施されました。

このプロジェクトは学校で実施されるもので、ポーランド全土の学校が参加しました。ただし、全土といっても、参加校は一部ではないかと思います。

その肝心の内容がよく分からないのですが、緘黙の知識を広める目的で行われたそうですので、緘黙の理解を促す内容に違いないものと思われます。教師や児童生徒は与えられたタスクをこなし、ポスターを作ったりもします。修了すると、証明書を受け取ることができます。

その他、プロジェクトについては以下の通り。

プロジェクト名:「場面緘黙症-恐怖のない恐怖について-」(MUTYZM WYBIÓRCZY - O LĘKU BEZ LĘKU)
↑ 変な名前ですね……。私はポーランド語が分からないので、間違っているかもしれません。

対象:小学4年生から8年生までの教員と児童生徒

期間:2021年10月~12月20日
↑ 場面緘黙症啓発月間を意識しています。海外では、啓発月間は10月です。

プロジェクトデザイン:Anna Czujak氏(小学校教諭、ポーランド場面緘黙症協会会員)

主催:ポーランド場面緘黙症協会(Polskie Towarzystwo Mutyzmu Wybiórczego)

名誉後援:子どものためのオンブズマン(Rzecznika Praw Dziecka;子どもの権利を保護するための政府機関)

公式サイトhttps://view.genial.ly/614121669cea730de40dc5ef
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プロジェクトをまとめた動画です。9分27秒。


上の動画をYouTubeで直接ご覧になりたい方はこちら。
◇ Podsumowanie MUTYZM WYBIÓRCZY O LĘKU BEZ LĘKU
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児童生徒を巻き込んで、緘黙理解の取り組みが全国の学校(の一部?)で同時に行われたというところが興味深いです。プロジェクトのデザイナーが学校教諭なので、学校で行うのに即した内容となっていたことでしょう。ポーランド特有の事情があるのかもしれませんが、緘黙団体が主催となって、こんなこともできるんですね。

※ 私はポーランド語が分かりません。機械翻訳を使って、情報を仕入れています。ポーランド語が分かれば、もっと詳しく、はっきりとまとめることができたのですが……。


香港教育局が、緘黙支援の小冊子を

更新日:2022年02月06日(投稿日:2022年02月06日)
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香港の教育を所管する「香港特別行政区政府教育局」が、場面緘黙症の子どもを支援するための小冊子を作成・公開しました。インターネット上で公開されていますが、実物として存在するかどうかは未確認です。

↓ その小冊子です。PDF。1.25MB。
◇ 如何幫助有選擇性緘默症的子女
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タイトルを訳すと、「場面緘黙症の子どもの支援法」といったところでしょうか。

この小冊子は、保護者を対象に作られたシリーズものの1つです。緘黙の他にも、不安症、鬱病、トゥレット症候群の子どもを支援するための資料があります。

↓ 小冊子一覧です。
◇ 融合教育及特殊教育資訊網站 - 小冊子
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緘黙の小冊子は、全8ページの構成です(他の小冊子も、ほぼ同じ)。そのうち1ページは表紙、後ろの2ページは香港特別行政区政府教育局のウェブサイトの紹介です。実質的には、残りの5ページが緘黙支援の内容です。

内容は実践的なものです。箇条書きが多用され、分かりやすくまとめられています。あと、親向けの小冊子のはずですが、学校関係者向けと思われる情報も含まれているように思います。ただ、実質5ページですので、分量は物足りません。エッセンスのみをまとめた印象です。

香港では、緘黙支援に関する情報にアクセスできる機会は他にもあります。例えば、香港の図書館の蔵書を少し調べたところ、台湾の緘黙の本が結構置いてあるらしいことが分かりました。今回の小冊子は入門用で、より詳しい情報を求める人は、本読むなり何なりするかたちになるのではないかと思います。

ちょっとした小冊子ですが、国がこうしたものをまとめたことにはインパクトを感じます。日本で例えると、文部科学省が緘黙支援の小冊子をまとめたようなものですので。


調布市教育相談所「かん黙」の相談件数

更新日:2021年07月11日(投稿日:2021年07月11日)
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調布市教育相談所が「かん黙」の相談件数を記録している


東京都調布市の『教育相談所事業報告』が、平成25年度よりインターネット上で公開されています。これには、「かん黙」を主訴とする来所相談の件数が記録されています。「かん黙」とは、おそらく場面緘黙症のことでしょう。

教育相談所における緘黙の相談状況を窺い知れる貴重な資料です。そこで今回は、この相談件数の推移をまとめてみました。

その前に、調布市教育相談所とは、「3歳くらいから18歳くらいまでの、お子さんに関する心配ごとについての相談をお受け」する調布市の施設です(調布市ホームページより)。調布市の人口は令和3年4月1日現在で233,658人、このうち3歳から18歳の年齢層は31,808人でした(調布市ホームページより、住民基本台帳を元にした数字です)。


「かん黙」相談件数の推移


さて、問題の相談件数の推移ですが、以下の表の通りです。

表1 調布市教育相談所における「かん黙」の来所相談件数
年度前年度から新規合計終結次年度へ
R231404
R150523
H3042615
H2942624
H2841514
H2731404
H2613413
H2510101
※ 延べではなく、実件数のようです。

表では略した書き方をしていますが、

「前年度から」は「前年度からの継続」
「次年度へ」は「次年度への継続」

という意味です。こう見ると、新規相談よりも、年度をまたいだ相談の方が多いことが分かります。終結に至った件数と見比べても、緘黙の相談に長期間を要していることが窺えます。

年に1~6件の相談件数というのは、調布市の人口規模を考えるとどうなのでしょう。緘黙児の出現率は小中学校でおおむね500人に1人と言われます。一つの目安として大雑把に計算しますが、調布市の3歳から18歳までの人口31,808人を500で割ると、およそ60人の緘黙児が調布市にいる計算です。その中で、1~6件の相談件数です。


「かん黙」相談件数の割合


それから、調布市教育相談所は、「かん黙」以外にも様々な相談を受け付けています。そこで、全来所相談件数における「かん黙」相談件数の割合を計算してみることにしました。

表2 調布市教育相談所における「かん黙」の来所相談件数の割合(単位%)
年度前年度から新規合計終結次年度へ
R20.81.20.901.2
R11.501.12.20.8
H301.01.81.20.61.5
H290.91.61.01.01.0
H280.90.70.90.90.9
H270.70.70.700.9
H260.31.70.91.50.7
H250.400.200.3
※ 実件数。
※ 小数点第2位以下四捨五入。

大体1%ぐらいです。緘黙は稀な相談と言えそうです。

ただし、今回のお話は、あくまでかん黙を「主訴とする」来所相談の件数です。例えば、不登校を主訴に来所相談があったけれども、その不登校児童生徒が緘黙だったという場合、それは今回の相談件数には含まれないのではないかと思います。