高校でも「通級による指導」開始、緘黙支援も

更新日:2018年05月01日(投稿日:2018年05月01日)
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高校でも通級開始


今年度(平成30年度)から、高校でも「通級による指導」が始まりました。場面緘黙症がある高校生も対象です。このあたりは皆様の方がお詳しいかもしれませんが、重要な動きなので、ここで取り上げます。


通級による指導とは


通級による指導とは、特別な支援が必要な比較的軽度の障害を持つ児童生徒を対象に、普通学級に在籍しながら、一部、障害の程度に応じて行う特別な指導を言います。 この指導は、「通級指導教室」という特別な場で行われます。

ここで言う特別な指導とは、障害による学習上または生活上の困難を改善し、または克服することを目的とする指導のことです。特別支援学校で言うところの、「自立活動」というものに相当するそうです。個々の児童生徒の障害の状態等に応じた具体的な目標や内容を定め、学習活動を行います。

緘黙がある児童生徒は、学校教育法施行規則と文科省の通知により、「情緒障害者」として、通級による指導の対象とされています。

↓ 中段に、通級による指導の対象に「情緒障害者」が挙げられていて、それには「選択性かん黙」があるもの等が含まれていることが示されています。文科省ホームページへのリンク。
◇ 障害のある児童生徒等に対する早期からの一貫した支援について(通知)
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高校では、45都道府県と5政令指定都市で導入


林芳正文部科学大臣の話によると、今年度から高校の通級指導が導入されたのは、45都道府県と5政令指定都市だそうです。栃木県と三重県は平成31年度からだそうです。

↓ 文科省ホームページへのリンク。
◇ 林芳正文部科学大臣記者会見録(平成30年4月6日)
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モデル事業では、既に緘黙生徒の指導も


平成26年度にはモデル事業が始まっています。文部科学省の実践事例集には、緘黙がある生徒を指導した事例も、ごく一部にではありますが掲載されています。

↓ PDF(19.8MB)。文科省ホームページへのリンク。報告された高校生に配慮して、何ページに緘黙の事例が載っているかは、敢えてここでは書きません。探してみてください。
◇ 高等学校における「通級による指導」実践事例集
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※ PDFを閲覧するには Adobe Reader が必要です。こちら新しいウィンドウで開く)からダウンロードできます。

上の資料には、緘黙がある生徒らがカフェで来客に挨拶し、コーヒーを提供するといった指導事例が記されています。商業科ではなく、普通科の学校でです。就労支援でしょうか。

緘黙以外の指導事例を見ても、就労を意識したものが記されていて、高校での通級指導ならではと感じます。高校を出てそのまま就職する生徒はもちろん、進学する生徒にしても大学などでアルバイトというかたちで働くことはよくあるでしょう。役立ちそうな支援です。



Bercow: Ten Years On-コミュニケーションへの支援体制

更新日:2018年03月21日(投稿日:2018年03月21日)
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Bercow 10


イギリスで20日、Bercow: Ten Years On (以下 Bercow 10 と略します)と題するリポートが公表されました。

これは SLCN(speech, language and communication needs) と呼ばれる、発話や言語、そしてコミュニケーションに特別なニーズを持つ子どもや若者への支援体制についてまとめたものです。関係者の間で注目されています。

◇ Bercow: Ten Years On
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SLCN はイギリス特有の用語です。イギリスには、140万人以上の SLCN の子どもや若者がいるとされます。場面緘黙症もこれに含まれ、今回のリポートでも、緘黙の若者を持つ母親の声が引用されるなどしています。

リポートでは、SLCN の子どもや若者への理解や資源が不十分な現状が指摘されています。また、こうした現状を踏まえた提言も行なわれています。

Bercow 10は、コミュニケーションの慈善団体 I CAN と英国言語聴覚士協会によりまとめられました。また、『場面緘黙支援の最前線』で序文を執筆したことでもお馴染みの Jean Gross(ジーン・グロス)氏が、有識者委員会の議長として関わっています。


Bercow Review の続編に当たる


今回出た Bercow 10は、10年前の2008年に出た Bercow Review(The Bercow Report)というリポートのいわば続編に当たります。Bercow Review は、SLCN の子どもや若者への支援について、政府への様々な提言をまとめたものでした。

↓ PDF。1.02MB。
◇ The Bercow Report
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※ PDFを閲覧するには Adobe Reader が必要です。こちら新しいウィンドウで開く)からダウンロードできます。

Bercow とは、イギリスの国会議員 John Bercow氏(ジョン・バーコウ、現・下院議長、保守党)のことです。同氏は2007年、SLCN の子どもや若者へのサービスについてレビューするよう、子ども・学校・家庭相から指示を受け、2008年に最終報告 Bercow Review を出しました。Bercow Review の諮問グループのメンバーには、イギリスの緘黙団体 SMIRA の Alice Sluckin(アリス・スルーキン)会長も含まれていました。

昨年、SMIRA ホームページの重要な箇所に「コミュニケーションは基本的人権」という一文が引用されているというお話をこのブログでしましたが、この引用元は Bercow Review でした。


国会議事堂で催し


Bercow 10の公表に合わせ、教育省提携のもと、イギリスの国会議事堂(ウェストミンスター宮殿)で何らかの催しが行なわれたそうです。催しの中では、John Bercow下院議長や、Nadhim Zahawi子ども・家庭政務次官がスピーチするなどしています。

※ いずれも Twitter へのリンクです。Twitter に登録していない方でもご覧になれます。

◇ John Bercow下院議長のスピーチ
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◇ Nadhim Zahawi子ども・家庭政務次官のスピーチ
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◇ 国会議事堂に来たという方
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思うところ


今回の Bercow 10 を通読して感じたのですが、必ずしも理解が得られていないとか、適切な支援が受けられないといった問題は、緘黙に限ったことではなさそうです。SLCN の子どもや若者に、概ね共通した問題のようでした。

また、今回のリポートは支援体制という制度面を分析したものですが、緘黙支援ではこうした分析は意外にあまりないので、興味深く読みました。社会福祉の分野ではミクロ、メゾ、マクロという概念があるそうですが、個別の緘黙児者をどう支援するかというミクロレベルの議論は多くても、地域や国レベルでどのような支援体制を整えるかといった議論は少ないような気もします。

今回のリポートは本格的なものですが、このようなリポートをまとめることができたのは、SLCN という大きな括りで扱ったからでしょう。お話したように、SLCNの子どもや若者は、イギリスで140万人以上もいると見られています。これが緘黙だと、マイナーな問題ゆえ、ここまではできなかったはずです。

ですが、無茶を承知で言うと、緘黙の支援体制についてもこのような緻密な分析が行なわれて欲しいという思いはあります。緘黙についても適切な理解や支援が必ずしも得られないという話は聞くことがあるのですが、詳細な分析はあまり行なわれていないのではないかと思います。



発達障害者支援法、組織的に要望書提出を目指す動き

更新日:2018年05月01日(投稿日:2018年03月12日)
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[追記(2018年5月1日)]

かんもくネットは4月、 「『発達障害者支援法』に場面緘黙を残すことに関する要望書」を厚労省と関連の会に連名で提出したそうです。

◇ かんもくネット~これまでの活動~
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(追記ここまで)


発達障害者支援法の対象から、場面緘黙症が外される可能性がある問題についての続報です。「かんもくの声」や「群馬ニーズ研究会」によると、この問題に関して、組織的に要望書の提出を目指す動きがあるようです。

↓ 「かんもくの声」Facebookページへのリンクです。Facebookに登録されていない方でもご覧になれます。
◇ 【お知らせ:発達障害者支援法についての要望】
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↓ 群馬ニーズ研究会ブログへのリンクです。
◇ 発達障害者支援法から場面緘黙や吃音が外される? その2
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この問題は、ICD(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)が2018年に改訂されることに端を発したものです。新しいICDでは、緘黙は「不安症群」に移動するものとみられるのですが、これにより発達障害者支援法の対象から外される可能性が考えられます。

↓ 詳細について。群馬ニーズ研究会ブログへのリンクです。
◇ 発達障害者支援法から場面緘黙や吃音が外される?
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緘黙が同法の対象から外れると、これまで受けられた支援の一部が受けられなくなることが予想されます。

「かんもくの声」によると、現在、当事者、研究者、保護者、支援者などで準備委員会を作り、要望書提出のため緘黙関連団体へと呼びかけているそうです。要望書の提出先は分からないのですが、これまでにない動きが起こり始めているのかもしれません。私は緘黙について15年ほど情報を集めてきましたが、緘黙関連団体が組織的に行政などに何らかの働きかけを行なったことは、私が知る限り今までありません。

なお、私は準備委員会の会員ではありませんし、緘黙関連団体にも入っていません。このため、今回の動きとは今のところ全く関わりがありません。詳しい内部事情も知りません。