緘黙支援が行き届かない一因:患者数が少ない?

更新日:2020年09月15日(投稿日:2020年09月15日)
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場面緘黙症への理解や支援、研究が必ずしも十分に行き届かない一因は、緘黙児者の数が少ないことではないかと思います。もっと多ければ、緘黙はもっと注目されているはずです。これは当たり前すぎるためか、指摘する人は意外に少ないです。

先日、緘黙が「希少疾患」かどうかというお話をしました。緘黙が希少疾患に入るかどうかはともかく、希少疾患が抱える問題には、緘黙と重なるところがあります。

分かりやすい話として、ASrid (アスリッド)という希少・難治性疾患の団体が指摘する10の「ない(or 少ない)」があります。

○ 患者
○ 医師 関係者
○ 社会福祉関連・日常生活知識
○ 患者同士の横のつながり
○ 医薬品・創薬開発情報
○ 課題解決に向けた専門家が集う機会
○ 疾患を超えた連携(国内 or 海外)
○ ステイクホルダー間のつながり
○ 患者の声を他ステイクホルダーに届ける機会
○ 疾患関連知識

※ 「特定非営利活動法人ASrid」トップページより
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※ 原文(英語)と照らし合わせたところ、2つ目の「医師 関係者」は、「医師や医療スタッフ」と訳した方が分かりやすいかもしれないと思います。

※ また、これまた原文(英語)と照らし合わせたところ、ここで言う「ステイクホルダー」は、患者、家族、医師、患者の世話をする人を指すようです。


患者の少なさが、支援者や知見の蓄積、関係者間のつながりの少なさにつながっているのでしょう。これは緘黙にもある程度重なる問題です。

この他、認知度がない(or少ない)というのも、希少・難治性疾患の考えられる問題として挙げられないだろうかと思います。そして、これも緘黙と重なります。


「発達障害者支援に関する行政評価・監視」

更新日:2020年07月25日(投稿日:2020年07月25日)
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発達障害者への支援が適切に行われているか、総務省が調査


総務省には、行政評価局という組織があります。各府省がきちんと政策を実行しているか把握・分析し、改善方策を提示する機関です。

↓ 総務省ホームページへのリンクです。
◇ 総務省|行政評価|行政評価局調査
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平成27年度には、評価テーマに発達障害が選定され、発達障害者への支援が適切に行われているか調査が行われました。この調査の結果に基づき、平成29年1月20日に、「発達障害者支援に関する行政評価・監視に基づく勧告」が出ました。

↓ 総務省ホームページへのリンクです。
◇ 総務省|発達障害者支援に関する行政評価・監視 <結果に基づく勧告>
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そして、この勧告に基づき、改善措置が講じられています。

↓ 総務省ホームページへのリンクです。PDF。814KB。
◇ 「発達障害者支援に関する行政評価・監視」の勧告に対する改善措置状況
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↓ 総務省ホームページへのリンクです。PDF。1.08MB。
◇ 「発達障害者支援に関する行政評価・監視」の勧告に対する改善措置状況(2回目のフォローアップ)の概要
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緘黙支援の記述も


場面緘黙症は不安症と考えられていますが、発達障害者支援法の対象に含まれています。このため、全くの無関係ではありません。

実際、「発達障害者支援に関する行政評価・監視 結果報告書」では、「場面かん黙」として1度登場します。保育所から小学校への引き継ぎが行われなかった事例が記述されています。

↓ 総務省ホームページへのリンクです。167ページのNo.2に、「場面かん黙」と学習障害を持つ児童の事例があります。PDF。1.28MB。
◇ 発達障害者支援に関する行政評価・監視-発達障害児に関する情報の共有・引継ぎの推進
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なお、調査といっても、行われたのは標本調査のようなもので、例えば小学校なら、23の公立小学校のみを対象に行われています。全国全ての発達障害者や緘黙児者の支援状況が調査されたわけではありません。どうせなら、全ての緘黙児者の支援が適切に行われているか調べてもらいたかったところですが、それはいくらなんでも無理な話です。

勧告により、緘黙児者の支援状況も改善されたのならよいのですが。


ライフステージ別の支援


それにしても、私には興味深く思われたのが、「発達障害者支援に関する行政評価・監視」で、ライフステージ別に発達障害者の支援の実施状況がまとめられたことです。

各ライフステージにおける支援の実施状況

(1) 発達障害児の早期発見
(2) 発達障害児を発見した後の対応
(3) 発達障害児に関する支援計画及び指導計画の作成の推進
(4) 発達障害児に関する情報の共有・引継ぎの推進
(5) 発達障害児による放課後児童クラブの利用状況
(6) 大学における発達障害者に対する教育上の配慮の状況
(7) 就労支援の状況
(8) 発達障害児の家族に対する支援の実施状況

私は緘黙児者の支援を、このようにライフステージ別に整理して考えたことがありませんでした。これは、緘黙支援を考える上で参考になるかもしれません。ただ、緘黙については、ライフステージ云々よりも、早期に発見して治してしまうのが一番のようには思います。



緘黙のための法律の提案(伯国)

更新日:2020年07月06日(投稿日:2020年07月06日)
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「場面緘黙症患者の権利を保障する法律」


ブラジルで、場面緘黙症のための法律を提案する動きが始まったそうです。この情報は、「ブラジル場面緘黙症協会」(Instituto Mutismo Seletivo Brasil) のFacebookページや、Instagramアカウントで明かされました。

↓ アクセスすると、動画が再生されるかもしれません。
◇ そのFacebookページの投稿1
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↓ これもアクセスすると、動画が再生されるかもしれません。
◇ そのFacebookページの投稿2
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↓ 文章も書かれてあるのですが、閲覧環境によっては読めないかもしれません。画面サイズがある程度あれば、読めます。
◇ そのInstagramの投稿
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このうち、Instagramには「場面緘黙症患者の権利を保障する法律」 (Leis para assegurar os Direitos dos Paciente com Mutismo Seletivo) という文が書かれてあります。


州議会議員と連絡


よく分からないのですが、上のSNSでの書き方では、この計画を行う主体がブラジル場面緘黙症協会とも解釈できます。

上のSNSでの投稿ではまた、州議会議員のMaria Lúcia Amary氏やその顧問と連絡を取り合っているという内容のことも、書かれてあります。Maria Lúcia Amary氏はサンパウロ州の議員です。サンパウロ州議会では、10月31日を「場面緘黙症啓発の日」と制定する法案が通ったことがあるのですが、その法案の起草者がこの方でした。

↓ 2017年末に書いた記事。Maria Lúcia Amary氏についても触れています。
◇ 「緘黙啓発デー」制定の動き、ブラジル自治体で静かに広がる
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さらに、Facebookの2つ目の投稿は、Iolanda Juvencio de Oliveiraさんという緘黙児のお母様?が、法律提案のために頑張っていらっしゃるというようにも解釈できます。

法案の詳細については、上のSNS投稿には書かれてありません。もしかしたら動画に説明があるのかもしれませんが、私はブラジルの言葉(ポルトガル語)を聴き取れないので、分かりません。なお、動画の中で話をしている人物は、臨床心理学者のElisa Neiva Vieira氏とみられます。


今後の展開は?


法律は、どのような内容になるのでしょう。

私には予想できませんが、「場面緘黙症患者の権利を保障する法律」ということであれば、ブラジルも批准している「障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)」が参考にされるのは間違いないだろうと思います。

↓ 障害保健福祉研究情報システム(DINF)ウェブサイトへのリンクです。
◇ 障害者の権利に関する条約(日本政府公定訳)
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あと、サンパウロの州議会議員と連絡をとっているということは、国の法律というより、州法になる展開も予想できます。

ただ、実際に法律が提案され、制定にまで至るかどうかは、まだ分かりません。

なお、私はポルトガル語を読むこともできません。機械翻訳で英訳するなどして読んでいるので、厳密なところで解釈の誤りがあるかもしれません。

※ ブラジルは、漢字で「伯剌西爾」と書くそうです。