緘黙相談にスクールカウンセラーが活用された実績(横浜)

更新日:2019年07月22日(投稿日:2019年07月22日)
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横浜市教育総合相談センターによるスクールカウンセラー派遣相談事業


横浜市は約370万の人口を有する巨大自治体です。その人口規模は、四国四県に匹敵します。

その横浜市の教育総合相談センターが、事業実績をインターネット上で公開しています。その中に「スクールカウンセラー活用事業」の記載があります。これは、横浜市ホームページに書かれてある以下の記述のことと思われます。

■ スクールカウンセラー派遣による相談

学校に派遣したスクールカウンセラー(臨床心理士等の資格を持つこころの専門家)が、暴力行為や不登校、いじめ等について、児童生徒・保護者及び教職員の相談に応じます。

  • 配置校:中学校全校と一部の小学校・高等学校

  • 派遣時間:週1回8時間あるいは週2回4時間ずつ

  • https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kosodate-kyoiku/kyoiku/soudan/kyoikusoudan/soudan4000.html

「かんもく」の相談にスクールカウンセラーが活用された実績


そのスクールカウンセラー活用実績の中に、「かんもく」の項目があります。これは、場面緘黙症や全緘黙症への相談に、スクールカウンセラーが活用された実績のことと見て間違いないでしょう。

公開されている活用実績は過去6年間におよびますし、370万人を有する大きな自治体の資料ですので、ちょっと見てみたいと思います。

以下は、その事業実績を示した資料です。資料の2ページ目をご覧ください。いずれもPDFファイルです。ファイルサイズは200~240KBほどです。

◇ 平成24年度・25年度実績
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◇ 平成26年度・27年度実績
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◇ 平成28年度・29年度実績
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この件数が「延べ」数かどうかが気になるところですが、資料にははっきり書かれてありません(これは、大事なことなのですが……)。


上の表をまとめる


せっかく平成24年度から29年度までの実績を集めたので、これらを一つの表にまとめてみました。また、件数の推移を折れ線グラフにしてみました。音声読み上げソフトでご覧の方には申し訳ないのですが、画像形式でお伝えします。

表1 スクールカウンセラー活用実績(年度別、相談者別) 単位:件


表2 スクールカウンセラー活用実績の推移を示した折れ線グラフ 単位:件


※ 画像をクリック/タップすると、画像のみを表示します。

「平成29年度市立学校現況」によると、横浜市の中学校の生徒数は78,586人です。緘黙の小中学校での有病率を仮に大雑把に500人に1人(0.2%)とすると、緘黙の生徒は中学校でおよそ150人いる計算になります。また、小学校の児童数は180,127人で、緘黙児はおよそ360人いる計算です。

お話した通り、スクールカウンセラーの配置校は「中学校全校と一部の小学校・高等学校」でした。その中での、上のスクールカウンセラー活用実績の数字です。ちょっと多すぎるように思います。そうすると、この数字は「延べ」での数字ではないかと思えてくるのですが、資料には記載がないので確かなことは分かりません。

年度にもよるのですが、教職員の件数が最も多いです。次いで、保護者、児童生徒の順です。なお、不登校やいじめなどを合わせた全体の件数も、この順に多いです。横浜市では、緘黙に限らず、スクールカウンセラーは教職員が最も活用しています。

児童生徒の相談件数は、平成27年度までは保護者のそれと同等の水準にありました。緘黙の児童生徒は話せないなどの理由で、相談までのハードルは特に高いのではないかと思うのですが、件数は全体の約24%を占めています。なお、不登校やいじめなどを合わせた全体の件数も、児童生徒については20%台前半の水準です。

ただ、年度によって変動が大きいので、もしかしたら相談対象となった緘黙の児童生徒の数は少なく、そんな中、活用実績を延べ件数で記録したのではないかとも思います。もっとも、これはあくまで推測で、確かなことは分かりません。


全体に占める割合


最後に、全スクールカウンセラー活用実績に占める「かんもく」の割合をまとめてみました。

表3 全スクールカウンセラー活用実績に占める「かんもく」の割合(年度別、相談者別) 単位:%

※ 画像をクリック/タップすると、画像のみを表示します。

児童にしろ、保護者にしろ、教職員にしろ、概ね0.5%前後の割合で推移しています。横浜市のスクールカウンセラーからすれば、緘黙の相談に関わる機会は、200件に1件程度ということになります。

最近はもしかすると緘黙の認知度が上がり、緘黙の相談がスクールカウンセラーの元に寄せられる例も増えているのではないかとも思ったのですが、少なくとも上の資料では、そうした傾向は確認できません。絶対数で見ても割合で見ても、緘黙の相談は特に増えてはいません。むしろ、減少傾向にあるように思えないでもありません。



狛江市議会で、緘黙について踏み込んだ議論

更新日:2019年06月01日(投稿日:2019年06月01日)
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東京都の狛江(こまえ)市議会で、場面緘黙症に関して、やや踏み込んだ議論があったことを知りました。

平成30年(2018年)3月2日に開催された、平成30年第1回定例会(第3号)でのことです。山本暁子議員(狛江・生活者ネットワーク)と、平林浩一教育部長の質疑答弁が記録されています。

↓ ページ内を「緘黙」と検索してみてください。
◇ chiholog - 地方議会議事録横断検索
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↓ このページでも読めます。「緘黙」と検索してみてください。
◇ トップページ | 狛江市議会会議録
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山本議員の質問内容は、「ディスレクシアや場面緘黙 学びたい気持ちを支える体制を」と題するものです。なお、ディスレクシアとは、知的に遅れがないにも関わらず、読み書きに困難を抱える障害です。

緘黙については、「緘動」も含めた基本的な症状の説明、授業での対応などを質しています。

注目したいのは、今後導入されるアクティブラーニング、英語におけるスピーキング、さらには笑育(わらいく)を重視した授業などでの配慮について要望も行なっている点です。

このうち、笑育とは、狛江市ホームページによると、「松竹芸能株式会社の協力で漫才のネタ作りや発表を通して、想像力・発想力を育み、表現力の育成を図る」事業だそうです。アクティブラーニングや英語とは異なり、一部の学校で行なわれている事業で、狛江市では平成30年5月から始まっています。

↓ 「笑育」が解説されています。
◇ 笑育 |松竹芸能株式会社
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話せない緘黙の児童生徒への配慮となると、やはり話し言葉以外のコミュニケーション手段の保障が考えられる方法の一つなのでしょうか、議会でもそうした案が出ています。緘黙児者も様々で、文字による交流ができる場合もあれば、それもできない場合もあり、答えは一つではないでしょう。いずれにしても、これは大事なテーマで、よく取り上げられたと思います。


言友会が大学入学共通テストで要望書、緘黙も

更新日:2019年05月20日(投稿日:2019年05月20日)
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吃音がある人たちの当事者団体が


吃音がある人たちの当事者団体である「全国言友会連絡協議会」が、文部科学省に対して、「大学入学共通テスト」に関する要望書を提出していたことが明らかになりました。

これは、吃音がある高校生が、大学進学において不利な扱いを受けないための対応の検討を求めるものです。

併せて提出された意見書のうち、菊池良和医師が著したものは、場面緘黙症についても触れています。

↓ 全国言友会連絡協議会ホームページへのリンクです。
◇ 文部科学省に対する大学入学共通テストに関する要望書の提出について
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背景


「大学入学共通テスト」は、従来の大学入試センター試験に代わるものです。2020年度から実施されます。

この新しい共通テストのもとでの英語試験では、これまでの「読む」「聴く」技能に加えて、「話す」「書く」技能も評価されます。この評価を行なうため、各大学には、民間検定試験の活用が認められることになりました。既に多くの国立大学が、民間検定試験を何らかのかたちで活用する方針を示しています。

↓ 2019年3月13現在の情報。『日本経済新聞』電子版へのリンクです。
◇ 英語民間試験、国立大72校が活用 2校は使わず
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「話す」ことに障害がある受験生には、英語を話す能力の評価について合理的配慮が求められます。ですが、民間検定試験のうち、ベネッセの「GTEC」は、吃音者に無配慮だったそうです。

↓ 「大学ジャーナル」へのリンクです。
◇ ベネッセの英語民間試験、吃音者に無配慮と対応を要請
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下記の朝日新聞デジタルの記事によると、GTECは英検とともに高校生に馴染みがあり、受験者が集中すると予想されているそうです。先の要望書でも、「このままでは『共通テストを受けるならば、GTECの成績を使う』ということが、一般的になってしまう可能性があります」と述べられています。

↓ 朝日新聞デジタルへのリンクです。
◇ 朝日新聞デジタル 共通テスト、英語民間試験2強が概要 受験者殺到対策も(2019年5月20日)
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このため、全国言友会連絡協議会が要望書を提出しました。

意見書の中で触れられている通り、これは緘黙がある大学受験志望者にとっても大きな問題です。緘黙について触れていただけたのは本当にありがたいです。