7月1日、名古屋で定員250名の研修講座

更新日:2018年04月30日(投稿日:2018年04月30日)
アイキャッチ画像。

研修講座「場面緘黙の理解と支援」


名古屋市で場面緘黙症の研修講座が開かれるそうです。主催者の「日本緘黙研究会」が、ホームページで情報を公開しています。定員250名と規模が大きいので、ここでお知らせします。

場所:ウインクあいち 小ホール2 (愛知県名古屋市中村区名駅4-4-38)
日時:2018年7月1日(日曜日)
対象:保護者・教員・支援者・当事者・経験者・研究者等(ただし、「高校生以下のご参加はご遠慮ください」とのこと)
主催者:日本緘黙研究会

主催者のホームページには、より詳しい情報があります。また、お申し込みもこちらからできます(5月1日より)。お申し込みは、皆様のご判断でお願いします。

◇ 緘黙研修講座「場面緘黙の理解と支援」開催のお知らせ | 研修会 | 日本緘黙研究会
新しいウィンドウで開く


日本緘黙研究会は、毎年初夏に研修講座を開催


日本緘黙研究会とは何かというと、「場面緘黙の当事者と家族の呼びかけに、学校や病院の先生、大学の先生などが応じて集まり、場面緘黙という問題を調べ、支援を考え、みんなでよりよい解決の道を研究するために集まった会」だそうです。

同会は2016年より、毎年初夏に同様の研修講座を開いています。演者の顔ぶれは毎年大きくは変わりません。定員の規模もほぼ同じです。

ただ、開催地は毎年変わっています。過去2年は東京都、尼崎市(大阪市の近く)で行なわれましたが、今年は名古屋市での開催です。また、参加費用が今年は1,000円から2,000円になりました。あと、過去2年は4月1日の告知となりましたが、今年は4月30日での告知です。

↓ これまでの開催状況。
◇ 研修会 | 日本緘黙研究会
新しいウィンドウで開く


名古屋市近辺で相次ぐ大規模の催し


会場の「ウインクあいち」は、2017年末に行なわれた「かんもくフォーラム2017」という催しの会場と同じです。定員200名の催しで、主催者は「かんもくフォーラム実行委員会」でした。

また、2018年3月10日には、名古屋市のお隣の日進市で、定員250名の講演会「場面緘黙への支援をめぐって」が開催されています。こちらの主催者は「椙山女学園大学心理相談室」ではないかと思われます。

全く違う主催者が、名古屋市で相次いで緘黙の大規模な催しを行なっているのでしょうか。それとも、三者には何らかの関係があるのでしょうか。私は主催者とは何の関わりもないのでよく分からないのですが、とにかく、名古屋市近辺でこのような動きが、ここのところ集中しています。

※ なお、「ウインクあいち」は、名古屋駅の近くです。交通のアクセスはよさそうです。



ノルウェーに注目する理由

更新日:2018年04月25日(投稿日:2018年04月25日)
アイキャッチ画像。

実は、私たちの緘黙理解に影響を与えてきた国の一つ


場面緘黙症の本をお持ちの方。巻末の参考文献一覧に、次の文献が載っていないでしょうか?

◇ Kristensen, H. (2000). Selective mutism and comorbidity with developmental disorder/delay, anxiety disorder, and elimination disorder. Journal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry, 39, 249–256.

場面緘黙Q&A』でも『場面緘黙支援の最前線』でも、どの本でもいいです(ただし、コミックエッセイや絵本、90年代以前の本は除きます)。大抵の緘黙の本では、参考文献に挙げられているはずです。

この文献、実はノルウェーの研究です。著者の Hanne Kristensen 氏は、オスロの Nic Waals Institutt という医療機関の所属です(当時。現在は存じ上げません)。調査対象の緘黙児も、ノルウェーで集められています。

日本の緘黙の本に限らず、この文献は国際的によく引用されます。それだけ影響力が大きいと言えます。その内容は、緘黙児が併せ持つ様々な障害を調べたものです。

ノルウェーの専門家は英語で論文を発表することがあり、そのためか、論文が国際的に引用されます。ノルウェーの研究者では、他にも Oerbeck, B.(Beate Oerbeck氏)や Omdal, H. (Heidi Omdal氏)などがお馴染みです。

↓ Heidi Omdal氏については、この記事で最近取り上げました。同氏の動画もあり。
◇ 「緘黙は社交不安」に異論も
新しいウィンドウで開く

ノルウェーの研究に国際的な影響力があるのは、水準が高いことも理由だろうと思います。例えば、緘黙への認知行動療法の効果を「ランダム化比較試験」という信頼性が高い方法で検証した研究があります(Oerbeck, et al., 2014)。緘黙の研究でランダム化比較試験を行なった例は、当時世界でも稀でした。最近ではそのときに認知行動療法を受けるなどした緘黙児の5年後の調査が出て(Oerbeck, et al., 2018)、日本でもTwitterなどで話題になりました。

ノルウェーの人口は500万人超で、北海道の人口よりも少ないです。ですが、その割りに国際的に影響力がある緘黙の研究が出ていて、日本の緘黙の本でも引用されてきました。そういうわけで、私は緘黙については、ノルウェーには以前から注目しています。


ノルウェーの緘黙団体は、今年リニューアルか


ノルウェーには緘黙の団体もあります。 Foreningen for selektiv mutisme という名前です。私はノルウェー語はよく分からないのですが、Google の機械翻訳を参考にすると、団体名は「場面緘黙症協会」かもしれません。

◇ Foreningen for selektiv mutisme
新しいウィンドウで開く

団体ホームページによると、正式に発足したのは2007年春です。なお、日本のかんもくネットも、同時期の2007年4月に誕生しています。

ノルウェー語がよく読み取れないのですが、団体は今年に入ってリニューアルしたようです。団体の Facebookページも参考にすると、先ほどお話したノルウェーの専門家 Heidi Omdal氏が研究プロジェクトの中で、2017年秋にリニューアルのアイディアを出したそうです。

今年からは、団体の主催で Fagdag selektiv mutisme 2018 i Oslo という催しが始まりました。4月21日のことです。日本語に訳すと、「場面緘黙症アカデミックデー In オスロ2018」だろうかと思うのですが、自信がありません。

◇ Fagdag selektiv mutisme 2018 i Oslo
新しいウィンドウで開く


マルテさん


この催しには、ミス・ノルウェー2018の最終選考に残っていたマルテ・フレドリクセン(Marte Fredriksen)さんも参加されています。ご自身の緘黙の経験をお話されたそうです。

↓ その時の模様。写真付き。マルテさんのブログへのリンク。ノルウェー語と英語の両方で書かれてあります。
◇ Selektiv Mutisme – Foredrag!
新しいウィンドウで開く

マルテさんは、緘黙の認知を高めることを一つの大きな目的に、今年のミス・ノルウェーのコンテストに参加されました。ミス・ノルウェー候補としての活動を通じて、メディアから取材を受けることもありました。

ですが、マルテさんは今月、コンテストから降りられたそうです。ブログの中でお話しされています。緘黙を多くの人に知ってもらいたいという強い思いが、コンテストから離れることにつながったようです。今はもう少し長くノルウェーに滞在し、場面緘黙症についてもっと話をするなどしようと考えていらっしゃるそうです。


今後もノルウェーに注目


リニューアルした団体、緘黙の啓発活動を続けられるマルテさん、そして緘黙研究など、今後もノルウェーの動向には注目したいと思います。このブログで海外の話をしても、正直受けが悪いのですが……。



緘黙の研究に、4度目の科研費

更新日:2018年04月23日(投稿日:2018年04月23日)
アイキャッチ画像。

3年連続4度目


場面緘黙症の研究が新たに1件、科研費に採択されました。

↓ 国立情報学研究所のサービス KAKEN へのリンクです。
◇ 複合的場面緘黙児の実態解明と教育機関と第三者機関の連携した支援の実践と効果の検証
新しいウィンドウで開く

緘黙を主題とした研究が科研費に採択されたのは3年連続4度目です。緘黙の研究史は、日本では1950年代にまで遡りますが、科研費が交付されたのはいずれも2010年度以降です。

これまでに採択された研究は、以下の通りです。

↓  2017年度より継続中の研究。KAKEN へのリンクです。
◇ 場面緘黙児・者のセルフ・エフィカシーが治療への参加意欲に及ぼす影響
新しいウィンドウで開く

↓ 2016年度より継続中の研究。KAKEN へのリンクです。
◇ 選択性緘黙児童生徒の多様な状態像の解明と個に応じた支援方法の検討
新しいウィンドウで開く

↓ 2010-2012年度に行なわれた研究。KAKEN へのリンクです。
◇ 選択性緘黙の内的世界の探究と治療教育的アプローチの開発
新しいウィンドウで開く


科研費とは


科研費は、文部科学省と、その外郭団体である独立行政法人日本学術振興会による研究助成費です。助成対象の研究は、人文・社会科学から自然科学まで全ての分野にわたります。その規模は、平成28年度予算額で2,284億円です。応募件数は平成28年度で約101,234件で、このうち26,674万件が新規採択されています。

科研費には研究種目という区分があり、「特別推進研究」「基盤研究」「若手研究」「新学術領域研究」「挑戦的萌芽研究」等からなります。今回採択された緘黙の研究は「基盤研究(C) 」です。「基盤研究」は科研費の中核となる研究種目で、これまでの蓄積に基づいた学問分野の深化・発展を目指す研究を支援し、学術研究の足場を固めていく研究種目群です。研究期間と研究費総額によってS、A、B、Cのいずれかの区分に分類されます。

科研費の交付を受けるには、申請を行なった上で、審査に通らなければなりません。審査方式は平成30年度助成(平成29年度9月公募)から変わり、「基盤研究(C) 」の場合、2段階の書面審査を通らなければなりません。今回の緘黙の研究も、審査に通ったということになります。