ICD-11新名称案に「場面緘黙」-パブリックコメント開始

更新日:2018年06月10日(投稿日:2018年06月01日)
アイキャッチ画像。

「場面緘黙」に決まるかも


私たちが「場面緘黙(症)」と呼ぶものは、正式には「選択性緘黙」という名称です。その根拠の一つは、WHO(世界保健機関)による「国際疾病分類」の最新版ICD-10での和訳が、「選択(性)かん<緘>黙」だからです。

ところが、それが変わるかもしれません。

日本精神神経学会が2018年6月1日に、ICD-10を改訂したICD-11の新病名案を公表しました。パブリックコメントを行なうためです。その新病名案では「場面緘黙」となっています。

↓ 日本精神神経学会ホームページへのリンクです。PDF9ページに「Selective mutism 場面緘黙」と記されています。
◇ ICD-11新病名案に関するパブリックコメント募集
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補足・DSM-5とICD-11(2018年6月3日)


この件について、少し補足をしたいと思います。

「選択性緘黙」が正式名称と言われるゆえんは、米国精神医学会による精神疾患の分類(DSM-5)と、WHOによる国際疾病分類(ICD-10)にあります。この分類では、「選択性緘黙」等と訳されています。

[現状]

○ 米国精神医学会の分類(DSM-5)
selective mutism (訳語は「選択性緘黙」)

○ WHOの分類(ICD-10)
elective mutism(訳語は「選択(性)かん<緘>黙」)

これが、2018年に予定されているICD改訂版(ICD-11)の公表により、次のように変わるかもしれないということです。

[近い将来?]

○ 米国精神医学会の分類(DSM-5)
selective mutism (訳語は「選択性緘黙」)

○ WHOの分類(ICD-11)
selective mutism(訳語は「場面緘黙」)


この草案のまま決まると、DSM-5の「選択性緘黙」とICD-11「場面緘黙」が並び立つことになります。「場面緘黙」が正式名称となるかと言えるかというと、ちょっと私には分かりません。

ICDについては、確か、公的な文書ではこちらが採用されていたのではないかと思います。


要望書が提出されていた?


これに先立って、「場面緘黙」を新名称にするよう要望書が提出されていたようです。

例えば、「群馬ニーズ教育研究会」ブログには次の記述があります。

↓ 「群馬ニーズ教育研究会」ブログへのリンクです。「場面緘黙」の名称を支持する立場の方のようです。
◇ 選択性緘黙から場面緘黙へ変更
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場面緘黙の子どもや成人の当事者、家族、そして教師や医師、その他の関係者の諸々の団体が、ICD-11の改訂へ向けて連合体(場面緘黙関連団体連合会;金原洋治会長)を作って、関係の学会等へ要望書を出すなど運動してきた成果です。

私、初耳なんですけど……。皆様は、ご存じでしたか?

※ Googleで"場面緘黙関連団体連合会"と囲って完全一致検索すると、今のところ私が書いたこの記事しかヒットしません。(2018年6月2日追記)

また、かんもくネットホームページによると、2018年3月に、かんもくネットが 「ICD-11病名和訳において『場面緘黙』を求める要望書」を関連学会に連名で提出していたそうです(これも後で知った)。「状況依存性緘黙」になるかも、という話題も2018年3月にありました。

↓ 当時のブログ記事へのリンクです。
◇ 「状況依存性緘黙」を正式名称に?
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このように、パブリックコメントが開始される前から、何らかの働きかけが行なわれていたようです。

※ これらの経緯については、新たな情報が入っています。詳しくは、「緘黙関連ニュース」の以下の記事をご覧ください(2018年6月10日追記)。

◇ ICD-11新病名案についての続報
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パブリックコメントは6月30日まで


学会ホームページによると、パブリックコメントの募集は2018年6月1日から2018年6月30日までだそうです。この新名称案や決定プロセスに物申せるかどうかは分かりませんが、何かご意見がある方は回答してみてもよいかもしれません。なお、パブリックコメントへの回答は、皆様のご判断でお願いします。

今後の動向を注視したいと思います。