Twitterの「緘黙」を含む投稿数は、年間3万件台

更新日:2019年04月16日(投稿日:2019年04月16日)
アイキャッチ画像。
Yahoo!リアルタイム検索で「緘黙」と検索すると、1日に何件ヒットするかーー

こんなことを、実は3年前からずっと調べていました。

Yahoo!リアルタイム検索は、Twitterの投稿(「ツイート」と呼びます)をリアルタイムで検索できるサービスです。

Twitterでは、緘黙に関係する人が多く投稿しています。特に、当事者や経験者の利用が多いです。ブログやInstagramよりもよく使われています(FacebookやLINEはよく知りません)。このため、Twitterの動向を調べることには意義があります。

というわけで、私がこれまで調べた「緘黙」ツイート数の推移を、今回まとめてみたいと思います。3年間にわたる調査をまとめた力作です!

方法


Yahoo!リアルタイムで検索を行うと、検索結果に「○○の分析グラフ」と「ツイート数の推移」が出ます。そのグラフの「30日間」を参照し、「緘黙」を含むツイート数を毎月まとめて集計しました。

このツイート数の集計は、Yahoo!リアルタイム検索のアプリ版ではなく、全てウェブページ版で行いました。

1日のツイート数は、検索時期によって微妙に変わります。私の場合、月の始めから中頃にかけての適当な時期(アバウトな……)に1回集計し、翌月の始め頃に改めて再集計するというかたちをとっていました。このように、厳密なやり方ではありません。1日毎に平均してだいたい数件程度の誤差のようなものがあると感じています。

また、場面緘黙症ではない、単に押し黙ることを意味する「緘黙」の投稿も含めて集計しています。いちいち分けるのが面倒くさいからです(ひどい)。ですが、場面緘黙症ではない「緘黙」の投稿はそう多くはなく、大雑把な集計ならこれでもよいと思います。

さらに、Yahoo!リアルタイム検索では、2018年4月頃まではFacebookやInstagramの投稿も横断検索できました。ですが、実際に「緘黙」と検索してもFacebookや、ましてやInstagramの投稿が見つかることはほとんどありませんでした。このため、これも気にせずに含めて集計しています(ひどい)。

このように、厳密には行っていません(どこが力作やねん!?)。あくまで大雑把な集計です。

集計期間は、2016年2月1日以降です。今回はきりよく、2018年12月31日までの集計結果をお見せしたいと思います。2019年1月1日以降は、また別の機会に。


結果


2016年


2016年は2月1日からしか集計していないのですが、以下の通りです。

総ヒット数:28,870件
1日平均:86.2件(小数点第2位以下四捨五入)
最も多い日:9月20日(346件)
最も少ない日:5月30日(36件)※集計上の関係で少ない2月1日は除く
2016年全集計(xlsxファイル)

表1 2016年の「緘黙」ツイート数の推移
「緘黙」を含むツイート数の推移を示す折れ線グラフ
総ヒット数は28,870件でしたが、集計しなかった1月分を含めると、3万件は超えていたものと思われます。

「緘黙」の文字を含むツイート数が最も多いのは9月20日(346件)ですが、この数日前の9月17日からツイート数の顕著な増加が見られます。2016年9月17日といえば、緘黙などを扱った映画『校庭に東風吹いて』が公開された日です。当時Twitter上にはこの映画作品に関係する投稿が見られました。ただ、それとの関係はもう一つ分かりません。

ツイート数が急増する日が年の後半に集中していますが、これはたまたまTwitterで緘黙関係者を騒がせる出来事がこの時期に続いただけのようです。例えば……

○ 9月29日(239件)
27日夜にLINEでトラブル発生(ある保護者が緘黙を甘えだと主張し、登録者をグループから次々に退会させた?)。この影響か。

○ 10月14日(283件)
この日、Yahoo!ニュース特集に「兵庫労働局、発達障害の非常勤女性に『いじめ』『虐待』 〜前局長ら5人処分 障害者雇用推進の役所がなぜ?」と題する記事が掲載。場面緘黙症がある広汎性発達障害の女性が受けた不適切対応の記事。

○ 11月7日(227件)
前夜に、モリナガアメさんのかんもく漫画書籍化のニュースが発表。この影響か。


2017年


総ヒット数:36,093件
1日平均:98.9件(小数点第2位以下四捨五入)
最も多い日:3月2日(2,671件)
最も少ない日:1月3日(32件)
2017年全集計(xlsxファイル)

表2 2017年の「緘黙」ツイート数の推移
「緘黙」を含むツイート数の推移を示す折れ線グラフ
なんですか、この折れ線グラフは!

3月2日に2,671件という、1ヶ月分に匹敵するツイート数を記録しています。これは前夜に、日本テレビ系『ザ!世界仰天ニュース』の「子供の心に潜む闇スペシャル」の中で、緘黙が扱われた影響です。これはもう断言できます。

10月16日(696件)にも小さな山がありますが。これは前夜にNHK Eテレ『バリバラ』が、「知られざる場面緘黙(かんもく)の世界」と題し、緘黙を初めて正面から扱った影響です。


2018年


総ヒット数:33,476件
1日平均:91.7件(小数点第2位以下四捨五入)
最も多い日:11月27日(719件)
最も少ない日:12月14日(27件)
2018年全集計(xlsxファイル)

表3 2018年の「緘黙」ツイート数の推移
「緘黙」を含むツイート数の推移を示す折れ線グラフ
11月26日に670件、翌27日に719件と、飛び抜けたツイート数を記録しています。これについて調べたところ、26日にある方が緘黙に関する投稿を行い、これに異例の反響があったことが分かりました。この投稿には、26日6時44分現在で1,900件近いリツイート(拡散)、4,800件近い「いいね」を記録しています。この影響と見られます。

また、この年にもテレビ番組『バリバラ』で緘黙が扱われ、ツイート数に影響を与えています。吃音とセットで扱われた1月21日と28日の放送分(どきどきコテージ)では、翌22日と29日に284件と316件を記録しています。そして、緘黙が正面から扱われた9月9日放送分(緘黙当事者の大阪一人旅)では、翌10日に273件という数字を記録しています。

それから、上の折れ線グラフをよく見ると、5月だけ線がこんもりと盛り上がっていることが分かります。実際計算したところ、この月には4,001件(1日平均129.1件)を記録しており、月別では最多です(2位が11月の3,426件)。もともと5月は緘黙の啓発月間である上、この年の5月には『読売新聞』や共同通信の記事で緘黙が取り上げられたといったことが重なっています。


考察


2016年から2018年にかけて、毎年3万件台、1日平均90件前後といったところです。

全国放送のテレビ番組で緘黙が扱われると、ツイート数への影響が大きいです。ただし、『バリバラ』に関しては、最初は一定の影響があったものの、2回目の放送以降は影響が薄れています。

テレビ番組への影響を除けば、「緘黙」を含むツイート数はここ3年さほど大きな変動はないように見えます。3年では、まあ、大きな変化はないでしょう。