2002年の「緘黙症」検索結果が残っていた

更新日:2019年08月09日(投稿日:2019年08月09日)
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2002年7月11日当時に、インターネットで「緘黙症」と検索した時の検索結果が、アーカイブサイトWayBack Machineで見ることができることが分かりました。

↓ その検索結果です。クリックすると、ご覧になることができます。
◇ Lycos - 「緘黙症」の検索結果
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これは珍しい記録です。というのも、Wayback Machineは世界中のウェブサイトを保存していますが、ロボット型検索エンジンの検索結果を保存した例はあまりないからです。

検索結果で閲覧できるのは上位10件です。このうち5件目のhttp://www.ume.or.jp/SFhtm/0101mutism/ppframe.htm以外のページは、だいたい当時のページのままアクセスすることができます。

リンク先のページで掲載されている緘黙の解説については、今となっては古さを禁じえないものもあります。どんな情報もそうですが、注意して読みましょう。

以下では、2002年当時のことをリアルタイムで知る私が、上の検索結果についてちょっとした解説をしたいと思います。

Lycosとは何か


まず、上の検索結果は、検索エンジン「Lycos」によるものです。Lycosは、Googleが誕生する前から存在した検索エンジンです。かつては一定の存在感がありました。今回話題の2002年となると既にGoogleが登場していますが、Lycosはまだ現役でした。

↓ 2002年当時の各種検索エンジンの評価。
◇ 検索デスク 調査 2002年
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ただ、私自身は、緘黙の情報を調べるのにLycosはあまり使わなかった覚えがあります。検索エンジンなら、他のところを使っていたような気がします。また、当時は、緘黙に関するウェブサイトをまとめたウェブリング「緘黙の輪」というものがあり、検索エンジンよりもそちらを利用することの方が多かったと思います。

↓ 「緘黙の輪」についてお知りになりたい方は、こちら。
◇ 緘黙の輪~場面緘黙症Journal用語集
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時代背景


SNSもブログもなかった時代


当時の時代背景として、まず、mixi、Twitter、Facebook、InstagramなどのSNSがなかったことを指摘したいです。ブログもほとんど普及していませんでした(「ウェブ日記」なら多少普及していました)。


緘黙団体、メディア、専門家のサイトもなかった時代


それから、当時、緘黙の団体は日本には存在せず、もちろん団体のウェブサイトも存在しませんでした。

また、メディアや専門家の緘黙への関心は今よりずっと低かったです。今日のように、メディアのウェブサイトに緘黙の記事が掲載されたり、専門家が緘黙をテーマとしたウェブサイトを公開したりといったこともありませんでした。


当事者らによる、緘黙情報発信・交流の黎明期


このため、緘黙に関する情報の発信では、当事者や経験者、保護者らが運営する個人サイト(「ホームページ」)が大きな役割を果たしていました。

こうした当事者らによる緘黙の情報発信は、私が知る限り、2000年4月10日に「ココロのひろば」が開設された時期あたりに始まっています。上の検索結果は2002年7月のものですから、ネットにおける、当事者らの緘黙情報発信の黎明期のものと言えそうです。

それから、当時はオフ会の類の催しも、今日のように頻繁に行なわれていませんでした。大きな催しが開かれたという話も聞いたことがありません。当事者らの交流にしても、ネットが中心の時代でした。ネットの役割は、それだけ大きかったのです。


「緘黙」と銘打ったサイトは、まだなかった


当時の緘黙サイトの名前は「ココロのひろば」「浮遊(フユウ) 」などで、「緘黙」「かんもく」という言葉を含んだものは、まだありませんでした。唯一「緘黙の輪」がありましたが、これはウェブリングで、ウェブサイトと言えるかどうかは微妙なところです。

なぜ「緘黙」や「かんもく」と銘打ったサイトがなかったかは、はっきりとは分かりません。推測ですが、次の理由を私は考えます。

○ 緘黙以外のメンタルヘルスの問題を合わせて扱ったサイトも多かったため
○ 「緘黙」という言葉は知られておらず、サイトのネーミングには使いにくかったため


検索結果を見た感想


解説はこのぐらいにして、検索結果を見た感想を書きたいと思います。

当時、ある程度知られていたページがある


検索結果に出ている10件のうち、以下のページは、当時緘黙に関心のある方の間では、ある程度知られていたのではないかと思います。

2件目の卒論(抄録)
3件目の緘黙関連資料
4件目の緘黙探し掲示板
7件目のYahoo!掲示板(緘黙カテゴリ含む)

これらのページは、緘黙関連サイトで紹介されたり、他の検索エンジンでもヒットしやすかったりした覚えがあります。


gooとLycosに「緘黙症」ディレクトリが!


検索結果1件目のgooディレクトリと、8件目のLycosディレクトリでは「緘黙症」の独立したディレクトリが設けられています。しかも、個人の緘黙サイトが4~5件も登録されています。特にLycosは、例えばうつ病13件、学習障害6件であるのに対し、緘黙症に4件も選んでいます。

一方、ディレクトリ検索エンジンで首位を走っていたYahoo!Japanは保守的で、最後まで(2018年の「Yahoo!カテゴリ」終了まで)緘黙のディレクトリは作ってくれませんでした。私は再三にわたってYahoo!Japanに要望を出していましたし、私以外にも要望を出した方がいらっしゃったのですが、駄目でした。登録サイトも「場面緘黙症専用」と「子リスくんのおはなし」の最大で2件止まりでした。やはり大手は、フットワークが軽くはないのでしょうか。

あと、gooディレクトリ登録サイト「明日へ・・・」に抜粋されている文章は切ないです。私は当時、このサイトの閉鎖の顛末を偶然目撃した人間です。「明日へ・・・」は、もしかしたら日本初の保護者による緘黙サイトかもしれないと私は見ているのですが、不幸なかたちで閉鎖してしまいました。


自助や共助で、緘黙と向き合おうとしていた人たち


メディアも専門家も、緘黙にあまり注目してくれない時代でしたが、検索結果からは、自助や共助で緘黙と向き合おうとしていた当事者、経験者、保護者らの様子が窺えます。

検索結果3件目の緘黙関連資料を公開していたharuさんは、ここで紹介されている文献以外にも、数多くの緘黙に関する文献を読んでいた方です。また、Yahoo!掲示板「緘黙症」では、よく見ると、2002年8月4日時点で、1,326件もの書き込みがあったことが分かります。

こうした基盤の上に、緘黙の団体が立ち上がり、それに遅れて、メディアや専門家が緘黙により注目するようになったのです。

※ 毎年8月には、緘黙サイトの歴史をお話しすることにしています。長年緘黙についての動きを見てきた者として、昔のことを伝えたいです。



高知で、10月に定員250名の講演会

更新日:2019年08月07日(投稿日:2019年08月07日)
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高知県立療育福祉センター主催


高知市で、場面緘黙症の講演会が開催されることが明らかになりました。定員250名と規模が大きいので、ご紹介します。

大まかな情報を書き出しておきます。詳しい情報をお知りになりたい方は、下記のリンク先ページをご覧ください。

「場面緘黙の理解と対応」
【日時】令和元年10月28日(月曜日)13:00~15:30
【講師】高木潤野氏(長野大学准教授)
【主催】高知県立療育福祉センター
【定員】250名

↓ 詳しくは、こちら。高知県庁発の情報で、JPubbというサイトへのリンクです。
◇ 令和元年度 発達障害に関するセミナー(1) | 高知県庁 | JPubb
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高知県立療育福祉センターは様々なセミナーを年間の中で主催しており、今回の緘黙の講演会もその一つのようです。





十周年を迎えた世界唯一?の緘黙雑誌に、転機

更新日:2019年08月04日(投稿日:2019年08月03日)
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ドイツの緘黙雑誌が今年で十周年


場面緘黙症の雑誌が、ドイツにはあります。mutismus.de という名称です。もしかすると、世界でも唯一の緘黙の雑誌かもしれません(かつてはイギリスで、緘黙のウェブ雑誌を発行した方もいました)。

2009年4月に第1号が出て、ほぼ毎年4月と10月に発行されてきました。2018年10月には第20号が発行され、今年4月には10周年を迎えています。

雑誌の内容はよく分からないのですが、項目を見る限り、やや専門的な内容かもしれません。ページ数についてもよく分からないのですが、第20号は52ページからなるそうです。

◇ 雑誌のウェブサイトへのリンク
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号によっては、特集が組まれています。以下の通りです。

第6号:緘黙と学校
第9号:大人の緘黙
第12号:緘黙インターナショナル
第19号:緘黙と子育て

このうち第12号の「緘黙インターナショナル」は、世界10ヶ国、14の支援者が寄稿する豪華な内容でした。この時のことは、当時、場面緘黙症Journalでも取り上げています。

↓ その記事です。
◇ 世界10カ国の緘黙支援者らが…
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8月より、出版社から出版


さて、この雑誌が、ここにきて一つの転機を迎えています。これまで雑誌の出版は独自に行なわれてきたのですが、2019年8月1日からは、Schulz-Kirchner Verlagという出版社から出版されることになりました。同社は作業療法や言語療法に関する本などを出版しています。

緘黙の雑誌が、一般の出版社から出版される意味は大きいです。さらなる飛躍に期待したいです。

◇ 情報源
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◇ 出版社・第20号販売ページへのリンク
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◇ 出版社・第21号出版のニュースへのリンク
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