フェルミ研究所の緘黙動画、再生数100万回突破

更新日:2019年09月16日(投稿日:2019年09月15日)
アイキャッチ画像。

YouTubeトップページ「急上昇」にも登場


人気YouTubeチャンネル「フェルミ研究所」が13日、場面緘黙症の動画を公開しました。早くも100万回を超える再生数を記録しています。

↓ その動画です。
【漫画】場面緘黙症になるとどんな生活になるのか?【マンガ動画】


※ 動画をYouTubeのページでご覧になりたい方は、こちらをクリックしてください。
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100万回というと、相当な再生数です。YouTubeのトップページ「急上昇」にこの動画がピックアップされたほどです。

これほどだと、先日、緘黙を取り上げたNHK Eテレ「バリバラ」を視聴した人の数よりも、今回の動画を視聴した人の数が多い可能性も考えられます。「バリバラ」の視聴率は、最近の放送時間変更前で0.3%程度だったそうです。放送時間変更後も、きっと大して変わっていないでしょう。

↓ 「通常の『バリバラ』の視聴率は0.3%程度」と書かれてあります。
◇ 有働由美子アナ感嘆「NHKに勤めていてよかったわぁ」 | ORICON NEWS
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その上、フェルミ研究所はTwitterでこの動画の画像版を投稿しており、それも多くのシェアを集めています。画像版を見た人も含まれば、一体どれだけの人にこの漫画が届いたのだろうかと思います。

◇ その投稿です
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動画の内容に、一部疑問の声もあるが……


私はこの動画を見て、作者は緘黙のことをよく研究しているという印象を持ちました。何より、見せ方が本当に上手く、このあたりはさすが人気YouTubeチャンネルだと感心させられました。

ただ、この動画の内容には、緘黙を経験した人の間から一部疑問の声もTwitterに上がっています。その疑問の声の一つは、「だから辛かったけど、本気で話すための努力を始めることにした」(2分28秒頃)という、本人の決意によって、話せるようになるための一歩を踏み出している点です。例えば、これだと、緘黙児者は、本格的に努力をしていないから治らないのだと捉えられかねないということのようです。

私も、かつて学校で話せなかった経験があります(ただし、医師に診てもらったことはないので診断も受けていません)。私からすれば、決意によって話せるようになるほど簡単なものではなかったというのが実感です。

ただ、そんな私個人の経験はともかく、数多くの経験者の話を踏まえると、動画の内容も必ずしもおかしいとは言い切れません。緘黙当事者の任意団体に所属する経験者を対象としたある質問紙調査(n=22)によると、症状克服の契機として、「発話を意識した自らのはたらきかけ」を挙げた経験者も複数いました(奥村・園山, 2014)。


専門家の適切な指導を


ただ、自己流の「話すための努力」は、できれば避けたいです。この動画では病院で診察を受ける場面があるので、その後も病院で、緘黙の克服方法について具体的な助言を継続的に受けていたと解釈できないこともありません(ただ、その直接的な描写はありません。漠然とした助言を受ける描写が一度あっただけです)。

専門家にかかって適切な指導を受けながら、努力してスモールステップの取り組みを実践しているというストーリーで、その上で「怖いのは最初の1歩だけだ」云々の金言の引用をしているのであれば、動画の内容も分からないこともありません。日本では最近、周囲の理解や環境といった耳障りのいいことばかりが強調されているきらいがありますが、海外では本人が勇気を持つことの重要性もまた説かれています。

そうしたところも含めて、あくまで一人の当事者の話として動画を見るべきなのだろうと思います。


緘黙をテーマにすることの難しさ


しかし、緘黙のことをよく研究されている方だと感じるのですが、それでも経験者らから誤解を与えるなどの疑問の声が出ます。そういうことは過去にもありました。

緘黙のことを描くのは、本当に難しいと感じます。創作に携わる方にとって、緘黙は扱いづらいテーマなのでしょうか。