海外サイトで、日本の緘黙が話題に

更新日:2020年05月26日(投稿日:2020年05月26日)
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アメリカの人気投稿サイトReddit


アメリカの人気投稿サイトRedditで、日本の場面緘黙症が話題になったことがあります。今から8ヶ月ほど前のことです。日本の緘黙が海外で話題になるのは珍しいです。

↓ その、日本の緘黙に関するやりとりです。
◇ Selective Mutism in Japan
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最初の投稿者は、15歳まで緘黙を経験した日本人の友人から、緘黙のことをちょうど知ったところだという方です。緘黙はここ日本ではよくあることのようで、500人に1人の日本人を冒しているなどと説明しています。

また、緘黙の説明として、日本の漫画動画チャンネル「フェルミ研究所」が投稿したYouTube動画「場面緘黙症になるとどんな生活になるのか?」にリンクを貼っています(動画は英語字幕を出すことも可能)。


コメントは、小学校の外国語指導助手(ALT)ら?


この投稿に対し、32件のコメントがついています。teachinginjapanというコミュニティでの投稿ゆえか、教育関係者とみられる方のコメントが多いです。特に、そういう生徒を受け持ったことがあるという経験談が目立ちます。

これもまた珍しい光景です。教育関係者たちが、緘黙の児童生徒について、インターネット上の公開の場で議論し合っているのを見ることは滅多にありません。「ここは英語サイトだから、日本人はほぼ見ないだろう」という安心感から、英語が堪能な日本の教師たちがコメントしているのでしょうか。

いや、英語教育などの目的で来日した英語を母国語とする人たちがコメントしているのかもしれません。RedYam2016さんという方のコメントには、次の一文もあります。

学級担任(HRT)/日本人英語教師(JTE)の指導に従いましょう。

follow the lead of the HRT/JTE.

このコメントから推測して、ここで投稿している人たちは、小学校の外国語指導助手(ALT)が中心とも考えられます。外国人の英語指導助手などです。ALTの視点から、日本の小学校の緘黙児について議論されているのであれば、これまた珍しく、興味深いかもしれません。

このほか、コメントでは eiken(英検)という言葉が出るなど、英語教育に関するものがちらほら見受けられます。


ALTの緘黙の理解


小学校の授業は言うまでもなく、学級担任のみが運営するものではありません。ALTも含めた全ての先生が、緘黙の児童への理解を共有する必要があります。特に英語の授業では英語を話すことを求める場面も出てくるでしょうから、ALTが緘黙を理解することは重要そうです。

それにしても、コメントを見ると、緘黙のことをよく理解されているなというものもあるのですが、ちょっと違うのではと思われるものもあります。また、緘黙の説明として紹介した情報が、専門家が関わったウェブページなどではなく、一般向けの漫画動画のみというのも、教育関係者向け情報としては中途半端です。

ALT向けの日本の緘黙の情報は十分なのでしょうか。緘黙児と関わるALTに、緘黙の理解は行き届いているのでしょうか。でも、まあ、Redditでの議論ですからね……。



緘黙860例から、リスク要因を研究

更新日:2020年05月20日(投稿日:2020年05月20日)
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興味深い場面緘黙症の最新研究を見つけました。私は専門家ではないのですが、軽くご紹介してみます。

↓ その研究です。
◇ Koskela, M., Chudal, R., Luntamo, T., Suominen, A., Steinhausen, H.C., & Sourander, A. (2020). The impact of parental psychopathology and sociodemographic factors in selective mutism - a nationwide population-based study. BMC Psychiatry 20, 221.
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フィンランドのデータを用いた研究です。コホート内症例対照研究という疫学の分析方法を用いて、緘黙860例と、対照群3,250例を比較し、緘黙のリスク要因を分析しています。特に、親の精神障害など、親を重点的に調べています。

著者は複数ですが、著者の所属機関はフィンランドだけでなく、スイス、デンマークと複数の国にまたがっています。

全国的なデータベースを活用


今回の研究で驚いたのは、860例という規模です。これは、緘黙の研究としてはかなりの大規模です。フィンランドの人口は550万。人が少ない国で、なぜこれほどの症例を集めることができたのでしょうか。

なんでも、フィンランドには退院登録簿(Finnish Hospital Discharge Register)という全国的なデータベースがあるそうです。専門的な医療サービスを受けて診断を受けると、ここに記録されます。「退院登録簿」という名称ですが、外来患者の情報も登録されています。

今回の研究はその登録簿を利用し、1987年1月1日から2009年3月30日までの間にフィンランドで単生児として生まれた全ての者で、1987年1月1日から2016年12月31日までの間に緘黙の診断を受けた症例を研究対象に含めています(除外した症例もあります)。この他、複数の全国的なデータベースを合わせて活用しています。

このデータベースの存在ゆえでしょうか、コホート内症例対照研究という分析方法が用いられていますが、これは緘黙の研究では初めて見たかもしれません。通常の症例対照研究なら、過去にも例があります。


緘黙児者の親の年齢


分析の結果、様々な結果が出たのですが、珍しいものに、親の年齢が挙げられます。子どもが生まれた時点の父親の年齢が35歳以上だとその子が後に緘黙である可能性が1.4倍、40歳以上だと1.8倍だったことが分かりました。この傾向は自閉症やADHD、行動および情緒の障害、統合失調症にも見られるそうです。緘黙児者が生まれた当時の親の年齢が調査されたのは、今回が初めてではないかと思います。

ただ、こういうものは別の調査研究で違う結果が出ることもあります。例えば、他の研究グループが違う国で同様の調査を行ったら、緘黙児が生まれた時点での父親の年齢は、特に高くはなかった……ということも起こり得ます。「子どもが生まれた時の父親の年齢が高いと、子どもは緘黙になりやすいんだ!」と断言するのはまだ早く、後の研究を待った方がよいです。

今回の研究をきっかけに、親の年齢の調査が広まるとよいです。緘黙の発症要因の手がかりにつながります。





mixiコミュニティ「場面緘黙症」が10年

更新日:2020年05月14日(投稿日:2020年05月14日)
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コメント数2,700件の大規模コミュニティ


mixi(ミクシィ)のコミュニティ「場面緘黙症」が、開設10周年を迎えています。

このコミュニティは、2010年2月10日に、まんさくさんという方が開設しました。

5月14日現在、参加メンバー数は988人、トピック数は65件、トピックに寄せられた総コメント数は2,695件に上ります。この他、「つぶやき」や「イベント」にも多数の投稿があります。mixiには緘黙のコミュニティが9件あるのですが、その規模は群を抜いています。

[mixiの緘黙コミュニティ、参加メンバー数トップ3]

場面緘黙症 988人
~場面緘黙児 親の会~ 184人
緘黙(かんもく)~黙して語る~ 68人

[参考:Facebookの、主な日本語緘黙グループ]

場面緘黙をもっと知ってほしい 566人
場面緘黙症★子育て 213人


投稿は今年に入ってもある


mixiは、日本におけるSNSの火付け役とも言える存在です。かつては多くの人が利用していましたが、TwitterやFacebookなど他のSNSに押されて久しいです。ですが、コミュニティ「場面緘黙症」への投稿は今年に入ってもあります。ただ、もう少し投稿が以前のように活発になると、より利用しやすくなりそうです。

mixiの特徴の一つは、匿名制であることです。似たサービスのFacebookは実名制ですが、実名で緘黙について話をするのはハードルが高いと感じる人はいることでしょう。そうした人とは、mixiは相性が良さそうです。


緘黙関係者の声をまとめて読める貴重な場


それにしても、コミュニティの投稿を読んでいると、10年分の投稿の蓄積は本当に多いと感じます。緘黙関係者の声をまとめて読むことができる貴重な場となっており、もう少し評価されてもよいように思います。

このコミュニティで面白いのが、最もコメント数が多いトピックが「独り言」だということです。コミュニティは本来mixi利用者同士の交流の場で、わざわざそこで独り言をする必要はないのではないかと一見思えるのですが、何らかの理由で必要なのでしょう。他のメンバーと深く関わらず気楽に、しかし、みんなが集まるコミュニティの空気を感じながら独り言をつぶやきたい--もしかすると、こういう心理だろうかと推測します。

なお、このコミュニティは、mixiの緘黙コミュニティでは唯一の公開コミュニティです。このため、実はmixiに登録されていない方でも投稿を一部読むことができます。ただ、そのアドレスをご紹介するのはメンバーの方に申し訳ない気がするので、しないことにします。気になる方は検索してみてください。


場面緘黙症Journalの記録より


なお、mixiコミュニティ「場面緘黙症」の歴史も古いですが、場面緘黙症Journalの歴史も負けず劣らず古いです(今年で15年目!)。そこで、場面緘黙症Journalがmixiコミュニティについてどう書いてきたか調べてみました。

2010年「十大ニュース」の候補に


私が最初にmixiについて書いたのは、2010年の年末に投稿したブログ記事「緘黙・今年の十大ニュース」です。この記事の最後で、「mixi の人気コミュニティ」について軽く触れています。

おそらくこれはコミュニティ「場面緘黙症」のことで、当時十大ニュースの候補として検討するほど賑わっていたことが窺えます。

↓ その記事へのリンクです。
◇ 緘黙・今年の十大ニュース
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2012年当時、全ての緘黙コミュニティの参加者数は、延べ500人


また、2012年1月に投稿したブログ記事「ネット上で、緘黙に日ごろ関心を持っている人の数は?」でも関連する記述があります。mixi の緘黙を主題としたコミュニティ(「場面緘黙症」以外のコミュニティも含む)の参加者数は、延べおよそ500人と記録されています。

現在、コミュニティ「場面緘黙症」だけでも988人のメンバーがいます。下火になって久しいmixiとはいえ、2012年以降にも参加者数が伸びていたことが分かります。

↓ その記事へのリンクです。
◇ ネット上で、緘黙に日ごろ関心を持っている人の数は?
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↓ ちなみに、2012年当時のmixiの状況。既に下火になり出していたようです。日経電子版へのリンクです。
◇ 揺れるミクシィ、SNSの「老舗」はなぜ間違えたのか
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2017年当時、メンバー数900人


あと、「用語集」では、「場面緘黙症(mixi コミュニティ)」の項目を設けています。「メンバー数906人(2017年8月27日現在)」等という古い数字が記されています。すみません、サイトの更新が行き届いてなくて……。

↓ 場面緘黙症Journal用語集へのリンクです。
◇ ネット上で、緘黙に日ごろ関心を持っている人の数は?
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