米緘黙団体SMAの歴代プレジデント

更新日:2021年03月28日(投稿日:2021年03月28日)
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アメリカを代表する場面緘黙症の団体 Selective Mutism Association。この団体のプレジデント(理事長と訳せばよいのか、会長と訳せばよいのか)が、短期間で交代を続けていることが以前から気になっていました。

そこで、歴代のプレジデントを調べてみることにしました。情報源は同団体のホームページで、過去の情報の調査にはWayback Machineというアーカイブサイトを活用しました。

こんな緘黙支援に直接役立ちもしなければ、何の共感も得られないことを調べ上げて、読んでくださる方がどれだけいらっしゃるか分からないのですが、私自身の勉強も兼ねて書きます。

CEO時代


Elisa Shipon Blum氏


Selective Mutism Associationの創立は1990年代に遡ります。当時の名称は、Selective Mutism Groupでした。2004年になると、役員の構成が団体ホームページ上で公にされるようになります。ですが、2004年当時は、まだプレジデントの記載はありません。

ただし、2004年4月26日から2008年1月7日までの団体ホームページには、CEOとしてElisa Shipon Blum氏が記載されていました。当時はCEOの役職があったようです。同氏は、この団体の創設者にして、緘黙の治療研究の専門家です。もともとは整骨療法が専門でしたが、緘黙児の母親だったことがきっかけで、この分野に深く関わっています。「エリザ・シポンブラム博士」として、日本でもご存じの方は多いかもしれません。

なお、同氏の名前は役員会(Board of Directors)のメンバーの筆頭として記載されていました。Wayback Machineで確認できる範囲では、2004年4月26日~2004年12月10日のことです。後のプレジデントはこの役員会のトップのような立場であったことから、役員会の筆頭メンバーは、後のプレジデントに近い位置づけだった可能性も考えられます。


CEO、Board President混在時代


Teresa Cardulla氏(2005年頃~2007年頃か)


2005年1月15日時点では、役員会の筆頭メンバーがTeresa Cardulla氏に代わっています。同氏は当時、製薬会社・ファイザーにフルタイムで勤務されていた方で、セールスやマーケティングなどに携わってこられました。ファイザーに15年間勤務されていましたが、それ以前は、ジャーナリストでした。お子さんが緘黙。

2006年1月2日時点で、同氏がBoard Presidentと記載されるようになりました。後のPresident(プレジデント)に相当すると思われます。


プレジデント時代


Doug Eastman氏(2008年頃~2009年半ば頃か)


2008年1月17日時点では、Doug Eastman氏がプレジデントに代わっています。以後、ホームページではPresident(プレジデント)の名称が定着します。一方、CEOの記載はなくなります。

同氏は2008年当時、組織開発のコンサルタントとして16年のキャリアがありました。団体では、ホームページのリデザインを主導。お子さんが緘黙。

Joleen Fernald氏(2009年半ば頃~2010年頃か)


2009年8月26日時点では、Joleen Fernald氏に代わっています。同氏は言語聴覚士。お子さんが緘黙。

Wayback Machineでは、2010年1月6日時点までプレジデントだったことが確認できます。ですが、プレジデントが確認できる次の時期が2011年9月3日で、この間、1年8ヶ月の空白があります。

Mike Schulman氏(2011年頃か~2011年12月頃)


2011年9月3日時点では、Mike Schulman氏に代わっています。同氏は弁護士。当時、カリフォルニアで商業訴訟のお仕事をされていたそうです。お子さんが緘黙。

Aimee Kotrba氏(2012年1月頃~2014年か2015年頃)


2012年1月20日時点では、Aimee Kotrba氏に代わっています。「エイミー・コトルバ」氏と言えばピンと来る方がいらっしゃるかもしれません。『場面緘黙の子どものアセスメントと支援』の著者です。同氏は児童心理学者

Rebecca Laptook氏(2014年か2015年頃~?)


2015年4月2日時点では、Rebecca Laptook氏に代わっています。一方で、これは2014年現在の情報(誤記?)とも団体ホームページには記載されており、はっきりしません。同氏は児童心理学者

2016年12月9日まではプレジデントであったことがWayback Machineで確認できます。その後、2020年8月9日まで誰がプレジデントだったか確認できない空白期間が続きます。

Rachel Busman氏(在任時期不明)


現在の団体ホームページに、過去のプレジデントとして記載されています。同氏は児童心理学者。ニューヨークの非営利団体Child Mind Instituteの場面緘黙症サービスのディレクター。

Jami Furr氏(遅くとも2020年頃~現在)


2020年8月9日時点になると、プレジデントがJami Furr氏に代わっていることが確認できます。現在のプレジデントもこの方です。同氏はフロリダ国際大学准教授。児童心理学者。認知行動療法が専門で、緘黙へのプログラムを開発。


結び


団体のホームページで確認できる範囲でまとめました。プレジデントは、1年か数年程度で交代していることが分かりました。比較的高頻度で交代していると思うのですが、その理由は分かりません。そもそも、プレジデントはどう決定するのかも知り得ていません。

2011年のMike Schulman氏以前のプレジデントは、組織開発や法など、緘黙支援に限らず様々な分野の専門家が務めていました。2012年のAimee Kotrba氏以降は、児童心理学者のプレジデントが続いています。

また、Mike Schulman氏以前のプレジデントは、どなたもお子さんが緘黙でした。CEOのElisa Shipon Blum氏もそうでした。この傾向も2012年のAimee Kotrba氏以降に変わっています。





厚労省の研究の一環で、緘黙のセラピー(2011年)

更新日:2021年03月22日(投稿日:2021年03月22日)
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「厚生労働科学研究」という、厚労省が推進する研究があります。その研究の一つとして、2019年度から2年計画で「吃音、トゥレット、場面緘黙の実態把握と支援のための調査研究」が行われています(今年の3月で終わりやん!)。

ですが、それ以前にも、厚生労働科学研究の中で、緘黙に関する研究が行われていたことを今になって知りました。平成22~24年度(2010~2012年度)に行われた「児童青年精神科領域における診断・治療の標準化に関する研究」の中の分担研究「不安障害を中心とする不登校・ひきこもりの診断・治療の標準化に関する研究」の中で行われていました。

研究の内容は「国府台シャイネス」と題する、場面緘黙児に対するグループ・プレイセラピーです。国立国際医療研究センター国府台病院児童精神科の研究グループによるものです。平成23年度の総括・分担研究報告書に詳しい報告があります。

↓ 61ページ(65枚目)移行をご覧下さい。PDF。15.1MB。
◇ 児童青年精神科領域における診断・治療の標準化に関する研究 平成23年度総括・分担研究報告書
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↓ 関連記事。一般社団法人 日本集団精神療法学会ホームページへのリンク。
◇ リレーコラム08 「選択性緘黙児の外来グループ-『シャイネス』」 渡部京太
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緘黙で診断・治療の標準化に関する研究を行うなら、プレイセラピーより行動療法の方が妥当ではないかと思うのですが、私は専門家でもないのでよく分かりません。

ただ、グループでのセラピーには興味を引かれます。プレイセラピーではないものの、海外では現在、グループ形式による緘黙の集中プログラムや治療キャンプが行われています。


夫婦関係と緘黙支援

更新日:2021年03月16日(投稿日:2021年03月16日)
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親による緘黙支援


アメリカで場面緘黙症の治療センターを運営するElisa Shipon-Blum博士(エリザ・シポンブラム博士)が、珍しいことを話しています。

夫婦関係(親が2人いる家庭の場合)と、親による緘黙支援に関する話です。

↓ その話の動画。試聴には、Facebookアカウントが必要かもしれません。また、アクセスすると、動画が自動再生されるかもしれません。37分30秒頃より、ご覧ください。
◇ Live Discussion with Dr Elisa Shipon-Blum & Writer/Director Max Evans
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夫婦が緘黙の理解と支援方針をある程度共有するとともに、夫婦関係が安定していることが、親が緘黙支援に携わる上で大事だということを考えさせられました。

例えば、うちの夫は緘黙に理解がないという内容の投稿が、場面緘黙症Journal掲示板に以前ありました。こうした夫婦関係の場合、妻の側は緘黙の子どもを支援しようにも、やりづらい部分はないだろうかと思います。

ただ、このことが指摘されることは少ないです。それだけに、興味深い話だと思いました。


HUNDという短編映画企画(海外)


なお、上の動画はHUNDという短編映画企画に関するものです。親の離婚や緘黙を経験する7歳児の短編映画を作ろうという動きが、海外にあるのです。

製作会社は、映画を作るにあたり、英米の緘黙関係者と連携を図っています。その一環として、映画のディレクターとElisa Shipon-Blum博士の動画配信が行われました。上の動画はそれを録音したものです。

この映画製作会社は、企画段階から緘黙関係者の話を聞こうという意思が感じられます。緘黙に関わる専門家や元緘黙児を含めた4名をコンサルタントとするなどしています。

↓ 映画公式ページへのリンクです。
◇ HUND | BAMA HOUSE
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