緘黙を改善させた「輝く星たち」
更新日:2023年03月02日(投稿日:2023年03月02日)

アメリカの「スマートセンター」は、場面緘黙症の治療で長年の実績があります。
そのウェブサイトには、センターで支援を受けた緘黙経験者のサクセススートーリー(Success Stories)をまとめたページがあります。センターのおかげで、今は緘黙が改善してこんなに元気にやっていますということのようです。
◇ そのページへのリンクです。英語。
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この経験者たちのことは「輝く星」 (Shining Star) と表現されています。実にポジティブな表現です。
一番上で紹介されている動画つきの少女は、Rachelさんという方です。まだお子さんですが、ブロードウェイミュージカルなどで活動した経験があります。この方については、以前、このブログでお話ししたことがあります。
↓ Rachelさんについてお話しした記事。
◇ 2歳半で緘黙の診断を受け、活躍する子役(米)
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海外の緘黙支援施設は、このように、緘黙の経験者や保護者に、この施設を利用して緘黙が改善しましたといった経験談を語らせてアピールすることがあります。日本だと、医療機関等がこのようなことをすることを見かけることはおそらくないのではないかと思います。医療機関の広告に関する法令や社会規範が、日本とは異なるのでしょう。
たとえて言えば、「この塾に通ったおかげで、志望していた難関大学に合格しました!」という受講生の体験談を広告に利用するのと似ています。塾に通っていて上手くいった人がいるのだなというのは分かるのですが、意地悪な言い方をすれば、載るのは成功例のみです。その陰で、不合格になった人や志望校に届かなかった人だっていたのかもしれません。
スマートセンターのサクセスストーリーにしても、ただこれを読むだけだと、確かに緘黙が改善した人がいることは分かるのですが、そうでなかった人たちのことまでは分かりません。意地悪な見方をすると、緘黙が改善した人にしても、別にスマートセンターを利用しなくても改善していたとも限りません。
とはいえ、改善した人の話を写真付きで読まされると、緘黙は改善可能だということを知ることができ、希望につながるかもしれないとは思います。私が今緘黙児者なら、緘黙克服の励みにもなるでしょう。
※ スマートセンターは、英語ではSMart Center (Selective Mutism, Anxiety, & Related Disorders Treatment Center) と呼びます。