Bercow: Ten Years On-コミュニケーションへの支援体制

更新日:2018年03月21日(投稿日:2018年03月21日)
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Bercow 10


イギリスで20日、Bercow: Ten Years On (以下 Bercow 10 と略します)と題するリポートが公表されました。

これは SLCN(speech, language and communication needs) と呼ばれる、発話や言語、そしてコミュニケーションに特別なニーズを持つ子どもや若者への支援体制についてまとめたものです。関係者の間で注目されています。

◇ Bercow: Ten Years On
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SLCN はイギリス特有の用語です。イギリスには、140万人以上の SLCN の子どもや若者がいるとされます。場面緘黙症もこれに含まれ、今回のリポートでも、緘黙の若者を持つ母親の声が引用されるなどしています。

リポートでは、SLCN の子どもや若者への理解や資源が不十分な現状が指摘されています。また、こうした現状を踏まえた提言も行なわれています。

Bercow 10は、コミュニケーションの慈善団体 I CAN と英国言語聴覚士協会によりまとめられました。また、『場面緘黙支援の最前線』で序文を執筆したことでもお馴染みの Jean Gross(ジーン・グロス)氏が、有識者委員会の議長として関わっています。


Bercow Review の続編に当たる


今回出た Bercow 10は、10年前の2008年に出た Bercow Review(The Bercow Report)というリポートのいわば続編に当たります。Bercow Review は、SLCN の子どもや若者への支援について、政府への様々な提言をまとめたものでした。

↓ PDF。1.02MB。
◇ The Bercow Report
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※ PDFを閲覧するには Adobe Reader が必要です。こちら新しいウィンドウで開く)からダウンロードできます。

Bercow とは、イギリスの国会議員 John Bercow氏(ジョン・バーコウ、現・下院議長、保守党)のことです。同氏は2007年、SLCN の子どもや若者へのサービスについてレビューするよう、子ども・学校・家庭相から指示を受け、2008年に最終報告 Bercow Review を出しました。Bercow Review の諮問グループのメンバーには、イギリスの緘黙団体 SMIRA の Alice Sluckin(アリス・スルーキン)会長も含まれていました。

昨年、SMIRA ホームページの重要な箇所に「コミュニケーションは基本的人権」という一文が引用されているというお話をこのブログでしましたが、この引用元は Bercow Review でした。


国会議事堂で催し


Bercow 10の公表に合わせ、教育省提携のもと、イギリスの国会議事堂(ウェストミンスター宮殿)で何らかの催しが行なわれたそうです。催しの中では、John Bercow下院議長や、Nadhim Zahawi子ども・家庭政務次官がスピーチするなどしています。

※ いずれも Twitter へのリンクです。Twitter に登録していない方でもご覧になれます。

◇ John Bercow下院議長のスピーチ
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◇ Nadhim Zahawi子ども・家庭政務次官のスピーチ
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◇ 国会議事堂に来たという方
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思うところ


今回の Bercow 10 を通読して感じたのですが、必ずしも理解が得られていないとか、適切な支援が受けられないといった問題は、緘黙に限ったことではなさそうです。SLCN の子どもや若者に、概ね共通した問題のようでした。

また、今回のリポートは支援体制という制度面を分析したものですが、緘黙支援ではこうした分析は意外にあまりないので、興味深く読みました。社会福祉の分野ではミクロ、メゾ、マクロという概念があるそうですが、個別の緘黙児者をどう支援するかというミクロレベルの議論は多くても、地域や国レベルでどのような支援体制を整えるかといった議論は少ないような気もします。

今回のリポートは本格的なものですが、このようなリポートをまとめることができたのは、SLCN という大きな括りで扱ったからでしょう。お話したように、SLCNの子どもや若者は、イギリスで140万人以上もいると見られています。これが緘黙だと、マイナーな問題ゆえ、ここまではできなかったはずです。

ですが、無茶を承知で言うと、緘黙の支援体制についてもこのような緻密な分析が行なわれて欲しいという思いはあります。緘黙についても適切な理解や支援が必ずしも得られないという話は聞くことがあるのですが、詳細な分析はあまり行なわれていないのではないかと思います。