緘黙のレベル--Ruth Perednik氏の講演より

更新日:2018年04月30日(投稿日:2018年04月14日)
アイキャッチ画像。
台湾で3月11日、場面緘黙症の講座が開かれたというお話を以前しました。

◇ 台湾の緘黙講座に500名以上参加、大手メディア取り上げる
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その模様を簡単に紹介した動画が、YouTubeで公開されています。



動画は、台湾で緘黙に関わっていると見られる方たちのお話から始まります。

次いで46秒頃からは、講師の Ruth Perednik氏による講演です(英語)。同氏は20年にわたって緘黙治療に携わってきた、イスラエルの心理学者です。

緘黙のレベル


動画は、Ruth Perednik氏のお話のうち、緘黙のレベルの話に最も時間を割いています(1分20秒頃から3分15秒頃まで)。緘黙のレベルについては、同氏の著書にも、ほぼ同じことが書かれてあります(Perednik, 2016, pp.9-10)。

緘黙のレベル (Levels of Selective Mutism)

1 コミュニケーションの欠如 (non-communication)
2 非言語コミュニケーション (nonverbal communication)
3 囁き声や音を出すことによるコミュニケーション (whispering and emitting sounds)
4 言語コミュニケーション (verbal communication)

最後の「言語コミュニケーション」については、これができるなら緘黙ではないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、例えば友達とだけなら話せるなど、これには少しだけ話せる程度のものも含んでいます。

本によると、上の4つの分類はさらに細かく分けることもできます。また、同じ緘黙児者でも、このうちのどれに分けられるかは状況によって変わってきます。


「緘黙のステージ」に似ている?


私は専門家ではないのでよく分からないのですが、この「緘黙のレベル」は、「緘黙のステージ」によく似ていると思います。

「緘黙のステージ」は、アメリカの「場面緘黙症不安研究治療センター」(スマート・センター)によるものです。英語ではSelective Mutism-Stages of Communication Comfort Scaleと呼ぶのですが、日本のかんもくネットが「緘黙のステージ」と分かりやすく訳しています(Shipon-Blum, 2006)。

↓ 英語の画像ファイル。913KB。「スマート・センター」ホームページへのリンクです。
◇ 「緘黙のステージ」を図式化したもの
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「緘黙のレベル」も「緘黙のステージ」も、どちらも非言語コミュニケーションの段階と、言語コミュニケーションの段階に分けて、その間に中間段階を設けていると解釈すると分かりやすいかもしれません。[注]

「緘黙のレベル」は、「緘黙のステージ」に比べるとシンプルです(これに限らず、Ruth Perednik氏の本に書かれてあることは全体的にシンプルです)。緘黙の状態を大雑把に把握するぐらいであれば、シンプルな「緘黙のレベル」が役立つかもしれません。


緘黙の程度


程度も人によって様々


緘黙というと、よくあれができない、これができないといった話になります。例えば、緘黙児者には筆談をすればよいという話もあれば、いや、緘黙児者は筆談もできないのだという話もあります。

ただ、それは緘黙児者にもよるのではないかと思います。中には、少しだけ声を出せるといった場合もあるでしょう。「緘黙のレベル」のように、緘黙にも程度があることを念頭に置くと、このあたりのところが理解しやすくなるのではないかと思います。


スモールステップの取り組みで


また、スモールステップで緘黙に取り組む場合にも、このような程度別の分類は役立ちそうです。全くコミュニケーションが取れない緘黙児者にいきなり言語コミュニケーションをとらせようとするのではなく、まずは非言語コミュニケーションをとることから始めるのです。

ただ、実際のスモールステップの取り組みの際には、もっとステップを細かく分ける必要があるだろうと思います。例えば、イギリスで定番の緘黙治療の本は、1対1のコミュニケーションだけで10段階のステージを示しています(Johnson and Wingtgens, 2016, p.74)。


「緘動」も「コミュニケーションの欠如」として分類できそう


あと、「緘黙のレベル」では、日本で言う「緘動」も「コミュニケーションの欠如」として分類できそうなのが面白いです。動画でも、Ruth Perednik氏は緘動に相当することを話しています。

それにしてもあの動画、500名以上集まる会場の様子は迫力があります。