変わる小学校の英語教育、緘黙児はどうなる?

更新日:2018年05月29日(投稿日:2018年05月29日)
アイキャッチ画像。

今年度より、英語の授業が増えている


2020年度(平成32年度)より、小学校の新学習指導要領が本格的に実施されます。その移行期間として、2018年度(今年度)より外国語、つまり英語の授業が増えています。このあたりの事情は皆様の方がお詳しいかもしれませんが、具体的には次の通りです。

[2017年度まで]

小学3~4年生:外国語の授業なし
小学5~6年生:外国語活動35時間

[2018~2019年度(移行期間)]

小学3~4年生:外国語活動15時間
小学5~6年生:外国語活動50時間

[2020年度以降(新課程の全面実施)]

小学3~4年生:外国語活動35時間
小学5~6年生:外国語科70時間

ですが、必ずしも全ての小学校が、この通りに授業を行なっているわけではありません。文部科学省の調査によると、2018年5月現在、全公立小学校の約3割が、既に全面実施同様の授業時間数で外国語活動を行っています(文部科学省, 2018年5月)。


「外国語活動」は、「聞く」「話す」授業


特に「外国語活動」の授業は、言語コミュニケーションの授業のようです。新学習指導要領によると、英語については、「聞くこと」「話すこと[やり取り]」「話すこと[発表]」の三つの領域別に学習目標が設定されています(文部科学省, 2017年3月, p.173)。古い世代の私にとっては、英語の授業というと何より読み書きを連想するのですが、外国語活動の授業はそれとは全く違うようです。

また、小学5~6年生では外国語が教科になり、授業時間は増え、成績がつけられるようになりました。こちらでは読み書きも学習に入ります。

これまでも、小学5~6年生を対象とした外国語の授業はありました。ですが、今年度からは対象年齢の下限が下がりました。場面緘黙症の子がさらに多そうな学年に下がっています。


ある小学校の授業例


今、小学校ではどういう英語の授業が行なわれているのでしょうか。私は知りません。ですが、それを知る手がかりとなりそうな動画を発見しました。早くから英語教育に取り組む大分大学附属小学校での授業風景です。

↓ 2018年3月7日に、大分県教育庁チャンネルが公開した動画です。
どう教える?小学校英語1 Let's Try!1(小3)Unit4 I like blue.


[同じシリーズのYouTube動画]

◇ どう教える?小学校英語4 Let's Try!2(小4)Unit2 Let's play cards.
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◇ どう教える?小学校英語2 We Can!1(小5)Unit2 When is your birthday?
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◇ どう教える?小学校英語6 We Can!2(小6)Unit8 What do you want to be?
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これはあくまでこの小学校の例です。ただ、他の小学校がこの動画の内容とかけ離れた授業をしているとも思えません。なぜなら、動画の授業は、文科省による新学習指導要領対応教材 Let's try や We can! を用いたものだからです。


このような「話す」授業なら、緘黙児はついていけない


仮定の話になってしまいますが、もし、同様の授業が他の小学校でも行なわれていて、その中に緘黙がある児童がいたら、どうでしょう。とてもではありませんが、その子は授業にはついていけないでしょう。また、無理に発話をしなければならない状況が続くことにより、緘黙が悪化することも心配されます。

動画の教師は「とにかくやっぱり楽しく、子どもたちが外国語に触れていければいいなと思います」(6分45秒頃より)とお話されていて、動画の児童も楽しそうです。ですが、もし緘黙児童がいる教室で同様の授業が行なわれると、その児童にとっては苦痛でしかないでしょう。私なら、英語が嫌いになりかねません。

新学習指導要領「外国語」「外国語活動」には、「障害のある児童などについては、学習活動を行なう際に生じる困難さに応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的、組織的に行なうこと」と記されています(文部科学省, 2017年3月, p.162, p.177)。緘黙がある児童がいる場合、どういった対応が考えられるのでしょうか。

文科省による『小学校外国語活動・外国語研修ガイドブック』には「特別支援を要する児童に配慮した進め方」という項がありますが、緘黙に関わることは書かれてありません(文部科学省, 2017年7月, p.102)。外国語活動の授業は以前から小学校5~6年で実施されているので、ノウハウの蓄積があるとよいのですが。