世界6カ国から参加者が集った緘黙キャンプCommuniCamp

更新日:2018年08月02日(投稿日:2018年08月02日)
アイキャッチ画像。

先日まで開催されていた


アメリカにはSMartセンターという、場面緘黙症の治療センターがあります。中心人物のエリザ・シポンブラム博士は、緘黙治療で20年以上の実績があるそうです。SMartセンターの資料はかんもくネットに昔から公開されており、ご存知の方もいらっしゃるだろうと思います。

◇ かんもくネット~Knet資料~
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そのSMartセンターがこの間から繰り返し宣伝していたのが、CommuniCamp™ というキャンプです。これは、緘黙がある3歳から15歳までの子どもを対象とした、グループ形式の集中治療プログラムです。主催はSMartセンターで、おそらく2017年から始まったものではないかと思います。

直近のキャンプは、7月27日から29日にかけて行なわれました。参加者は、アメリカ、カナダ、フランス、オーストラリア、オランダ、スイスの6つの国と、21のアメリカの州から集まったのだそうです。今年の CommuniCamp™は、8月と10月にも予定されています。

↓ CommuniCamp™ について。SMartセンターホームページへのリンクです。
◇ CommuniCamp
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↓ CommuniCamp™の Facebookページ。Facebookに登録されていない方でもご覧になれます。
◇ CommuniCamp for Selective Mutism
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↓ 6カ国から集まったという投稿。Facebookページへのリンクです。Facebookに登録されていない方でもご覧になれます。
◇ **July 2018 CommuniCamp™ is Sold OUT! We are happy to be hosting families from 6 countries and...
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アメリカでは、緘黙児者を対象とした集中治療プログラムが広がっているというお話は、これまでもこのブログでお伝えしてきました。その嚆矢は、ニューヨークの Child Mind Institute 所属(当時)の Steven Kurtz 博士が開発した Brave Buddies です。後に広がったプログラムには、その全てかどうかは分からないのですが、Steven Kurtz 博士の影響を受けたことが示唆されているものがあります。

↓ 最近でも、アメリカではこれだけの集中プログラムが予定されています。アメリカの緘黙団体 Selective Mutism Association へのリンクです。
◇ Upcoming Events Selective Mutism Association
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↓ 今年8月には、香港でも開催されます。
◇ Confident Crew Back to School 5-day Intensive Program - Central Health Child Department
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他の集中プログラムとは少し違うらしい


ただ、CommuniCamp™は、他の集中プログラムとはどうも少し違うようなのです。

私は専門家でもありませんし、よく分からないのですが、学校に似せた状況で楽しみながら、短期集中的に、戦略的に不安に身をさらすという点は変わりないようです。楽しいゲームや活動を3日間にわたって行ないます。また、親に対して、緘黙治療について教育を行う点も同じようです。

CommuniCamp™独自とみられる特徴は、「社会的コミュニケーション不安治療」(S-CAT®)という、SMartセンターの長年にわたる治療アプローチに基づいている点です。これは、緘黙は単に話せないだけではない「社会的コミュニケーション不安症」であるという考え方に基づくものです。社会的コミュニケーションを増やし、社会的自信を育むために、行動療法、認知行動療法、洞察志向アプローチの要素を統合したものだそうです。

といっても、欧米で緘黙治療というと行動療法や認知行動療法が主流なので、極端に他と変わったことを行っているわけではないのではないかと思います。

S-CAT®というと、よく「緘黙のステージ」が引き合いに出されます。コミュニケーションがない段階から、非言語コミュニケーションの段階を経て、言語コミュニケーションの段階までを大きく4段階、細かくすると8段階に分けたもので、緘黙の尺度として用いられます。最新の「緘黙のステージ」では、非言語コミュニケーションと言語コミュニケーションの間に移行期の段階が置かれていて、この段階の重要性が強調されます。

↓ 移行期の段階についての記事。
◇ 「不安を和らげるだけでは、発話には不十分」
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※ 「緘黙のステージ」は、かんもくネットの意訳をそのまま使ったものです。英語では Selective Mutism-Stages of Social Communication Comfort Scale と言います。

集中プログラムの嚆矢となった Steven Kurtz 博士の Brave Buddies は、親子相互交流療法(PCIT)という技法が取り入れられているのですが、CommuniCamp™の場合もPCITが取り入れられているかどうかは分かりません(たぶん取り入れられていないのではないかと思うのですが、もう一つ確証がありません)。仮にPCITの要素がないとしたら、親への教育の内容も変わってくることになるはずです。

CommuniCamp™は、世界でも有力な緘黙治療機関が力を入れて行なっているものなので、こうした取り組みもあるということは頭に入れておきたいと思っています。