「合唱団からソロへ」という名のスモールステップ

更新日:2018年09月27日(投稿日:2018年09月27日)
アイキャッチ画像。

より多くの人が集まる場で、少しずつ発話へ


イギリスで場面緘黙症と言えば、The Selective Mutism Resource Manualという定番の本があります。

2016年に出版された第2版では、新しいスモールステップの取り組み方が示されています。以前にもお話したことがありますが、「初版の連続的アプローチはあまりに直線的な枠組みであったことが、初版から15年の間に明らかになった」 (Over the next 15 years it became clear that this sequential approach was too linear a framework.)(46ページ)として、新たに円形のモデル(circular model)を打ち出しています。

それが、下の図です。クリックで拡大しますが、新しいウィンドウが開きます。

図 A multidimensional model of confident talking(420ページより。47ページのものと同一)

円形のモデル

このうち、右上と左下については、より多くの人が集まる場で少しずつ発話に持っていこうとするものです。

右上:「公共の場での発話」(Talking in public places)
公共の場で発話を見聞きされることへの耐性をつけること。最初は誰もいない場面から、より多くの人のそばで発話ができるよう取り組みます。主に家庭や地域社会での話です。

左下:「集団参加」(Group participation)
一対一の会話から、より多くの人が集まるグループ活動で発話できるようになること。主に学校での話です。


その逆「合唱団からソロへ」


ところが、これとは逆とも思える方法が提唱されていることを知りました。ポーランドの教育雑誌Wychowawca2018年9月号の記事の中で触れられています。

↓ その記事を転載したもの。緘黙児の母親で、ポーランドの緘黙支援団体Polskie Towarzystwo Mutyzmu Wybiórczego会員へのインタビュー記事です。同団体ホームページへのリンク。
◇ Wywiad » Mutyzm wybiórczy | diagnoza i skuteczna terapia
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"od chóru do solo" という名の方法です。Google 機械翻訳の助けを借りて訳を考えると「合唱団からソロへ」のような訳ではないかと思うのですが、自信がありません。これはポーランドの言語聴覚士Maria Bystrzanowska氏が、2018年に出した著書 Mutyzm wybiorczyの中で明らかにしたものだそうです。本来ならこの本を読んでから述べるべきなのでしょうが、ここでは上の記事をもとにお話します。

上の記事によると、まずは大人数で一緒に詩を読むといった発話から初めます。そして、徐々に人数を減らしていくのだそうです。よく読み取れなかったのですが、緘黙がある子が、自由にコミュニケーションをとれるようになるまで続けると書かれてあるようにもとれます。

私は専門家ではないのでよく分からないのですが、確かに、大勢の中声を発しても目立たないので、緘黙児者にとっては最初の一歩としては比較的挑戦しやすいかもしれません。うまい方法を考えるものだと思いました。

一見して、徐々に人を増やしていくイギリスの本と正反対のことをしているようですが、相反するものではないと思います。大人数と一緒に発話⇒少人数と発話⇒大人数の前で発話といったように、イギリスの方法と組み合わせることもできるかもしれません。