場面緘黙児・富氏といじめ

2006年09月09日(土曜日)

連続ブログ小説・私の緘黙ストーリーです。前回の話は「こちら」。緘黙ストーリーの目次をご覧になりたい方は「こちら」

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2学期に入りましたが、私は相変わらず学校でクラス中の子どもたちからいじめられ続け、毎日のように泣いていました。

家庭では、入院していた父の病状が悪化します。


■ いじめのことで、親戚?が先生に対応を求めた記録

当時の私の『連絡帳』に、誰かが先生宛てに、こんなことを書いた記録が残っています。

○ 傘が2本なくなりました。
○ 毎日クラスの人がたたくそうです。クラス以外の人もたたくそうです。

筆跡を見ると、母のものではないような気がします。おそらく、ご厄介になっていた親戚の人が母に代わって書いたものと思われます。

内容は、いじめに対して何らかの対応を暗に先生に求める内容にとれます。

奇妙なことに、この伝達にだけ、先生のいつもの「読みました」という確認のはんこが押されてありません。先生のコメントもありません。先生はこのとき、どういう対応をされたのでしょうか。

いずれにせよ、上で書かれている内容は、私が受けていたいじめの氷山の一角、いや一片にすぎません。
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■ いじめっ子たち

私をいじめていたのはクラス中の子どもたち(クラスの7~8割ぐらい)で、他のクラスの子も加わることもありました。よってたかっていじめられる、といったところです。中でもしつこくネチネチいじめていたのは、O君と、?さん(名前忘れた)でした。

特にO君には悩まされました。彼は、分かりやすく言えば、ジャイアンよりもスネ夫に近いタイプの子でした。彼はいじめられっ子の心理をよく理解していて、いかに効果的にいじめ、自分の都合のいいように利用し、そして先生に見つからないようにするかをよく心得ていました。弱い子をいじめ慣れているようでした。

彼と同じクラスになったのはこの小4のときだけでしたが、何の因果か、私は彼と中学・高校と同じ学校に進学することになりました。中学・高校生になっても、彼の人となりは相変わらずだったようです。大学受験のときに、彼が医学部を志望しているという聞いたときは、悪い冗談かと思いました。

■ いじめに耐え続ける日々

「いじめられる側にも原因がある」という言い方があります。私の場合、その原因は何だったのでしょうか。大人しくて弱そうな子どもだったから…転校生だったから…思い当たるのは、このあたりです。

先生がいじめられる私を何度も叱り付けたのも、おそらく富氏がいじめられるのは富氏が弱いからだと考えたからでしょう。しかし、今にして思えば、私はこのとき場面緘黙症だった疑いがあります。大人しくて弱そうだったのも仕方がなかったような気もします。

私は母にもいじめについて何度も相談したことがあるのですが、よく返ってくる答えが「やられたらやりかえせ」でした。しかし、この学校では、私は場面緘黙症(?)で思うように話せず、自由に動くことすらままならなかったのです。おまけに、私をいじめていたのは1人や2人の子どもではなく、クラス中の子どもたちです。緘黙・緘動少年が、クラス中の児童を相手に1人で立ち向かうのは簡単なことではありませんでした。

■ 父の容態が…

この頃は、私をめぐる家庭環境も、これまでになく悪い方向に進んでいました。

引越し当初は、頻繁に父のお見舞いに連れて行ってもらっていたのですが、次第になぜか通わせてもらえないようになりました。「お父さんのところに行きたい」といっても、どういうわけか「だめ」と言われてしまうのです。

それでも、ある日、久しぶりにお見舞いに連れて行ってもらうことになりました。

しかし、そこで見た父は、以前の元気な父ではありませんでした。病室全体に、これまでにない重い空気が漂っていました。「○○○(父の名前)、富氏ちゃんが来てくれたよ。見える?」父の看病をしていた親戚の1人が父にこう語りかけていました。父は眼の病気で入院していたわけではありません。しかし、体中が病気で弱っていて、すぐそこにいる私を見ることすら精一杯といった感じでした。

結局、長居をさせてもらえないまま、病院を後にすることになりました。しばらくお見舞いに行っていないうちに、父の病状がこんなに深刻になっているとは思いもよりませんでした。

■ そして…

それは、私のちょうど10歳の誕生日の朝のことでした。いつものように学校にいく準備をしていたところ、電話が鳴りました。私は電話をとる親戚を見ながら、こんな朝早くに何だろうといぶかりました。

短い電話のやり取りが終わった後、受話器を下ろした親戚は、ゆっくりと私にこう伝えました。

「富氏ちゃん、お父さんが亡くなったよ」

(続く)


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