日本初の緘黙サイトが、閉鎖か

更新日:2019年04月10日(投稿日:2019年04月10日)
アイキャッチ画像。
日本における最初期の場面緘黙症ウェブサイト「ココロのひろば」(2000年4月10日開設)が、3月31日をもって閉鎖したようです。ココロのひろばは長年にわたって更新が停まっていたものの、サイト自体は残っていました。

↓ 現在、アクセスできません。
◇ ココロのひろば
新しいウィンドウで開く

ココロのひろばの閉鎖は、公開先のYahoo!ジオシティーズが、2019年3月31日をもってサービスの提供を終了したことによるものです。ココロのひろばは移転手続きを行なわず、そのままサイトが無くなりました。

ココロのひろばとは


ココロのひろばは、緘黙の当事者であった管理人さんが開設・運営されていました。

管理人さんは大学在学当時、教育心理学の教科書で緘黙を知りました(ほんの2行ほどの記述があっただけだそうです)。そこで、インターネットで「場面緘黙」と検索をかけたのですが、当時は1件しかヒットしなかったそうです。それも、専門的な文献の一部に「場面緘黙」の文字があっただけでした。もちろん、緘黙を経験した本人が作ったサイトなど、1件もありませんでした。そこで、自ら緘黙のサイトを作ったというわけです。

当時のサイトらしく、緘黙の専門サイトというよりは、「メンタル系サイト」という感がありました。ですが、緘黙がサイトの内容に占める割合は少なくありませんでした。

かなり賑わっていたサイトで、インターネットのアーカイブサイト WayBack Machine を見ると、アクセスカウンタの「113,512」という数字が記録されています(数字の記録時期は不明)。

特筆するべきは、ウェブリング「緘黙の輪」(2000年~2007年)です。これはココロのひろばから生まれたもので、緘黙に関する個人のウェブサイト(ブログ含む)をつないでいました。当時の緘黙関係サイトは大体ここに登録されていて、とても存在感が大きかったです。登録サイト数は末期には30件以上を記録していました。場面緘黙症Journalのブログも、その一つでした。

「大人の場面緘黙症」という概念を提唱したのも、緘黙のオフ会を開いたのも、私が知る限りではココロのひろばの管理人さんが最初です。


今日につながる、当事者らの活動の一つの原点


このように、ココロのひろばは、おそらく日本では初めての緘黙サイトではないかと思います。また、今日につながる、緘黙の当事者による情報発信や交流を行なった、最初の方ではないかと思います。仮に始めてではなくても、最初期に中心的な役割を果たした方であることは間違いありません。

今日、「SNSのおかげで緘黙を知った」とか、「テレビで知った」という方が増えています。ですが、長い間緘黙の歴史を見てきた私に言わせると、緘黙が知られるようになったのは、もとは当事者や経験者、保護者らがインターネットで情報発信を行ったことから始まったのです。私に言わせれば、ココロのひろばは、その原点とも言える存在です。

それだけに、ココロのひろばが無くなったのはあまりに残念です。いや、更新をかなり前に停止していたのに、よく今まで残しておいてくださったというべきかもしれません。

なお、Yahoo!ジオシティーズの終了により消えた緘黙のサイトは、ココロのひろばだけではありません。やはり最初期の緘黙サイトである「フユー」も無くなっています。掲示板「日本全国緘黙症・元緘黙症探し!」を設置し、数多くの投稿を集めていたサイトです。


ネット上の活動や交流は、なかなか残らない


ネット上の緘黙当事者、経験者、保護者らの活動や交流の跡は、長期的にはなかなか残りません。

今回のことに限らず、これまでどれだけ多くの緘黙のサイトや掲示板、ブログが失われてきたか知れません。もっとも、中には残したくないという人もいるでしょうから、無くなることが必ずしも悪いとも言えないかもしれませんが……。

この頃、ソーシャルメディアでの交流が盛んですが、ソーシャルメディアはブログやホームページに比べると、アーカイブをたどりにくいという弱点があります。

また、最近、国立国会図書館が、インターネット資料収集保存事業を行っていて、この中には緘黙に関する情報も含まれています。ですが、収集保存されているのは専門機関によるものばかりです。緘黙の当事者や経験者、保護者らが自ら発信しているものは、十分収集保存されていません。

◇ 国立国会図書館インターネット資料収集保存事業
新しいウィンドウで開く

私は2000年代前半の比較的早い時期から、ネットで、緘黙に関する情報を追い続けています。せめて、私のような古い人間が、昔のことを伝え続けていかなければなりません。

※ なお、閉鎖されたサイトであっても、URLが分かれば、WayBack Machine で閲覧できる場合があります。