令和の緘黙児を巡る状況

更新日:2019年05月01日(投稿日:2019年05月01日)
アイキャッチ画像。
場面緘黙症がある児童生徒について、学校教育のことで今後気がかりなことが2つあります。ブログでまとまった形で書いたことがないので、この機会にまとめてみます。

アクティブ・ラーニング(「主体的・対話的で深い学び」)


一つは、アクティブ・ラーニング(「主体的・対話的で深い学び」)導入の動きです。

アクティブ・ラーニングとは、以下の内容を意味します。

教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。

(中央教育審議会『新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて(答申)』 (2012年8月28日)用語集より

こうした授業形式は、緘黙がある児童生徒に向くはずがありません。

ところが、次期学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善を推進するよう明記されています。これは、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、いずれの学習指導要領でもそうです。

英語教育


もう一つ気がかりなのは、英語教育をめぐる動向です。英語教育が小学校中学年からでも行なわれ始めている上、「話す」能力にも、以前より重きが置かれるようになってきています。

◇ 変わる小学校の英語教育、緘黙児はどうなる?
新しいウィンドウで開く

◇ 英語検定試験、緘黙への配慮は
新しいウィンドウで開く

先日行なわれた全国学力調査で、中学3年生を対象に初めて英語が導入されたそうですが、その中で「話す」試験が含まれていたのも、おそらくこの流れでしょう。

緘黙がある児童生徒が英語を「話す」のは困難です。

どうするのか


こうした現状に対して、専門家はどのような対策を示しているのでしょうか。私が知る範囲では、これがはっきりしないのです。

例えば、2018年12月に出版された緘黙の和書『イラストでわかる子どもの場面緘黙サポートガイド』では、アクティブ・ラーニングについても英語教育についても、ほとんど触れられていません。

私は専門家ではなくよく分からないのですが、私が対策として考え付く限りでは、緘黙を早期発見し、早い段階で緘黙を治すか、治っていない段階であれば何らかの合理的配慮を求めるほかないだろうと思います。どちらにしろ、緘黙への支援と、そのための理解を広める活動は、今後ますます重要になってくるだろうと私は考えます。

先日、目白大学ウェブサイトにおいて、同学の丹明彦准教授が監訳した緘黙の本『場面緘黙の子どものアセスメントと支援』が紹介され、その中で「アクティブラーニングの導入に伴い、場面緘黙は、これから教育界のみならず社会的にも関心が広がることが予測されます」という記述がありました。新しい令和の時代、緘黙への理解を求める活動が実を結び、その通りに関心が広がるとよいです。