続・話し言葉に障害のある子、増加か

更新日:2019年06月16日(投稿日:2019年06月16日)
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以前もお話した厚生労働科学研究「吃音、トゥレット、場面緘黙の実態把握と支援のための調査研究」が、2019年度から始まっているようです。この研究についてインターネットで検索すると、分担研究者のウェブページが2件ヒットしますが、そこでは2019~2020年度の事業であることが示唆されています。

↓ ネット検索で見つかる研究分担者の一人。
◇ 高木 潤野 | 教員紹介 | 教育・研究:長野大学
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↓ ネット検索で見つかる研究分担者の一人。
◇ 九州大学-研究者情報 [菊池 良和 (助教) 九州大学病院 耳鼻咽喉・頭頸部外科]
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↓ これは2020年度ですが、78ページに、この研究について書かれてあります。厚労省ホームページへのリンク。pdf形式。914KB。
◇ 令和2年度研究事業実施方針 | 厚生科学審議会 科学技術部会 | 令和元年5月24日
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↓ この研究について取り上げた過去のブログ記事です。当時は「言語を用いるコミュニケーションに困難さを持つ発達障害児者(吃音、トゥレット症候群、場面緘黙)の実態把握と支援のための研究」という名称でした。
◇ 厚生労働科学研究、緘黙等の研究の公募開始
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↓ この研究は国会でも話題になりました。
◇ 参院で緘黙が議題に、厚労省「支援策を検討することが必要」
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話し言葉に障害のある幼児、児童、生徒の罹患率の推移


これとは直接関係ありませんが、いい機会ですので、2014年に投稿したブログ記事「話し言葉に障害のある子、増加か」を書き改めようと思います。これは、学校保健統計調査をもとに、緘黙症など、話し言葉の働きに障害のある幼児、児童、生徒の罹患率が上昇傾向にあることを示したものでした。

↓ その2014年のブログ記事です。
◇ 話し言葉に障害のある子、増加か
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あれから5年が経ち、学校保健統計調査では、新しい罹患率の数字が出ています。

学校保健統計調査


今回も参照する学校保健統計調査は、文部科学省が毎年実施する標本調査です。幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校に通う幼児、児童、生徒の発育状態や健康状態について調査がなされています。

詳しくは、以下のページに書かれてあります。文部科学省ホームページへのリンクです。

◇ 学校保健統計調査-調査の概要
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この調査では、緘黙症など、話し言葉の働きに障害のある幼児、児童、生徒を「言語障害の者」として、その被患率が推計されています。

* 以下、引用 *

言語障害の者

話し言葉の働きに障害のある者をいい、吃(きつ)音(どもり)、発音の異常、発声の異常(聞き手が理解しにくい程度の発音や声の障害)、口蓋裂、脳性麻痺等に伴う言葉の異常、難聴による発音の異常、その他情緒的原因による緘黙(かんもく)症、自閉症や言語中枢に障害のある失語症等である。


※ 先ほどの厚生労働科学研究とは、該当する障害が必ずしも重なりません。


「言語障害の者」罹患率の推移


さて、その罹患率の推移をお示しします。今回は全体の罹患率が公表されなくなったようなので、学校種別にお伝えします。最近20年の推移です。


幼稚園


平成11(1999)年度 0.18%
平成12(2000)年度 0.18%
平成13(2001)年度 0.23%
平成14(2002)年度 0.15%
平成15(2003)年度 0.22%
平成16(2004)年度 0.19%
平成17(2005)年度 0.30%
平成18(2006)年度 0.37%
平成19(2007)年度 0.38%
平成20(2008)年度 0.52%
平成21(2009)年度 0.57%
平成22(2010)年度 0.41%
平成23(2011)年度 0.38%
平成24(2012)年度 0.43%
平成25(2013)年度 0.39%
平成26(2014)年度 0.44%
平成27(2015)年度 0.54%
平成28(2016)年度 0.52%
平成29(2017)年度 0.56%
平成30(2018)年度 0.42%

小学校


平成11(1999)年度 0.16%
平成12(2000)年度 0.15%
平成13(2001)年度 0.15%
平成14(2002)年度 0.15%
平成15(2003)年度 0.15%
平成16(2004)年度 0.14%
平成17(2005)年度 0.18%
平成18(2006)年度 0.30%
平成19(2007)年度 0.35%
平成20(2008)年度 0.32%
平成21(2009)年度 0.34%
平成22(2010)年度 0.34%
平成23(2011)年度 0.32%
平成24(2012)年度 0.33%
平成25(2013)年度 0.37%
平成26(2014)年度 0.39%
平成27(2015)年度 0.38%
平成28(2016)年度 0.43%
平成29(2017)年度 0.40%
平成30(2018)年度 0.43%

中学校


平成11(1999)年度 0.04%
平成12(2000)年度 0.03%
平成13(2001)年度 0.03%
平成14(2002)年度 0.05%
平成15(2003)年度 0.04%
平成16(2004)年度 0.05%
平成17(2005)年度 0.05%
平成18(2006)年度 0.09%
平成19(2007)年度 0.08%
平成20(2008)年度 0.07%
平成21(2009)年度 0.08%
平成22(2010)年度 0.07%
平成23(2011)年度 0.07%
平成24(2012)年度 0.07%
平成25(2013)年度 0.08%
平成26(2014)年度 0.08%
平成27(2015)年度 0.08%
平成28(2016)年度 0.08%
平成29(2017)年度 0.10%
平成30(2018)年度 0.10%

高等学校


平成11(1999)年度 0.01%
平成12(2000)年度 0.00%
平成13(2001)年度 0.01%
平成14(2002)年度 0.02%
平成15(2003)年度 0.01%
平成16(2004)年度 0.01%
平成17(2005)年度 0.01%
平成18(2006)年度 0.02%
平成19(2007)年度 0.02%
平成20(2008)年度 0.02%
平成21(2009)年度 0.02%
平成22(2010)年度 0.02%
平成23(2011)年度 0.02%
平成24(2012)年度 0.02%
平成25(2013)年度 0.02%
平成26(2014)年度 0.03%
平成27(2015)年度 0.03%
平成28(2016)年度 0.02%
平成29(2017)年度 0.04%
平成30(2018)年度 0.04%


やはり増えている


増加傾向が止まっていません。平成11(1999)年度に比べると、平成30(2018)年度は倍以上の水準にまでなっています。

幼稚園は標本数が最も少ないためか、年度によって罹患率のゆれが大きいです。逆に、小学校は標本数が最も多いためか、比較的安定した推移を示しています。

納得がいかないのが、小学校の平成18(2006)年度です。前年度は0.18%だったのに、この年度は0.30%に急増しています。そんなに新一年生に言語障害児が多かったとは思えません。どこまでこの数字は信頼できるのでしょう。

なお、より詳しい数字をお知りになりたい方は、以下のリンクより、「学校種別 疾病・異常被患率等の推移 (昭和23年度~平成30年度) 」をご覧ください。男女別の数字や、平成11(1999)年度以前の数字も見ることができます。

↓ 政府統計の総合窓口「e-Stat」へのリンクです。
◇ 学校保健統計調査 年次統計
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