SMartセンターの緘黙キャンプの冊子

更新日:2019年06月27日(投稿日:2019年06月27日)
アイキャッチ画像。
場面緘黙症の臨床経験30年で、6,000人の治療を行なってきたという、アメリカのエリザ・シポンブラム氏。[注]

同氏が運営する緘黙の治療センター「SMartセンター」(Selective Mutism Anxiety Research & Treatment Center)の新たな本が出ました。私はこれを読み終えたので、ご紹介したいと思います。

基本情報


2冊あります。1冊は低年齢の緘黙児、もう1冊は十代の緘黙児者への支援を念頭に置いたものです。

[1冊目]

○ 書名:Overcome Selective Mutism with The Social Communication Bridge
○ 著者:エリザ・シポンブラム氏とSMartセンターか
○ 出版日:不明(Amazon.co.jpには2019年6月13日とあり)
○ 出版社:不明(本の末尾に「Printed in Japan 落丁、乱丁本のお問い合わせはAmazon.co.jp カスタマーサービスへ」の記載あり)
○ ページ数:47
○ 本のサイズ:A4サイズに近い


[2冊目]

○ 書名:同上 (「for teens!」の記載あり)
○ 著者:同上
○ 出版日:同上
○ 出版社:同上
○ ページ数:同上
○ 本のサイズ:同上


著者などの基本情報がはっきり本に書かれていません。ページ数も少ないですし、本というよりは冊子と言った方がよいかもしれません。なお、私はこの2冊をAmazon.co.jpで購入しました(リンクは、そのアソシエイトリンクです)。


内容


2017年からだと思うのですが、SMartセンターはCommuniCamp™と題する、キャンプ型の集中グループ治療プログラムを実施しています。今回の冊子は、そのCommuniCamp™を中心に、緘黙支援についてまとめたものです。

明らかに保護者向けに書かれたもので、支援の場で役立つワークブック形式になっているページもあります。

この冊子は、実際にCommuniCamp™で使われているものを一般向けに販売したもののようにも見えます。少なくとも、CommuniCamp™の保護者向け案内ではあろうかと思います。

2冊とも、内容はほぼ同じです。ただ、ワークブック形式になっている一部のページに違いがみられます。


感想


緘黙児者への集中プログラムは、近年、アメリカを中心に各国で行われています。プログラムの内容は実施者によって違いもあるようですが、緘黙児者のみならず、親への介入も行うところもあるようです。

親への介入とは、具体的に言うと、教育です。親が緘黙支援の担い手の一人となれるように教育を行うようです。これにより、緘黙児者が集中プログラムで活動し終えた後の、効果の持続を図っているようです。

CommuniCamp™もその一つです。その概略とみられるものも、この冊子には書かれています。

この冊子を読み、アメリカを代表する緘黙団体 Selective Mutism Association の今年の年次総会の基調講演の予定を私は思い出しました。その基調講演の内容は、不安が強い子どもに対する親の関わり方に関する新たな知見の紹介だそうです。

↓ Selective Mutism Associationウェブサイトへのリンク。少し下に降りると、基調講演の情報が載っています。
◇ Keynote Address | How the Science of Parenting Leads to Effective New Treatment for Childhood Anxiety Disorders, Eli Lebowitz, Ph.D.
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もしかすると、緘黙治療における親の役割が、アメリカで注目を集めているのかもしれません(が、確証はありません)。

近年、日本で専門家による緘黙についての和書(翻訳書除く)が2冊出ましたが、いずれも教師向けのものでした。緘黙支援において教師が果たす役割は確かに大きいですが、親が果たす役割も重要であることを、この冊子を読んで改めて考えさせられました。