緘黙者が、母親の遺体を遺棄した疑いで逮捕か

更新日:2019年09月29日(投稿日:2019年09月21日)
アイキャッチ画像。

朝日新聞デジタル


2018年11月、横浜市に住むひきこもりの49歳男性(当時)が、同居していた母親の遺体を遺棄した疑いで逮捕される事件がありました。

男性は小学生の頃から会話をしなくなり、取り調べには筆談で応じていたそうです。男性は結局不起訴で釈放されましたが、事件は当時メディアで報じられ、大きな話題になりました。

この男性ですが、朝日新聞デジタルの記事を情報源に、場面緘黙症だったという声がTwitterやmixiで複数上がっています。緘黙ゆえに、母親の死を連絡しようにもできなかったというのです。

↓ ツイッターのコメントで見るニュースサイト・セロンへのリンクです。
◇ Ceron - 母の亡骸と2週間 語らぬ兄がわずかに開けたふすま [ひきこもりのリアル][扉の向こうで]:朝日新聞デジタル
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ただ、該当記事は有料会員限定記事です。私は有料会員ではありませんし、会員登録もできず、直接確認できませんでした。また、今日と昨日の『朝日新聞』朝刊と、昨日の『朝日新聞』夕刊を確認したのですが、記事は載っておらず、やはり確認できませんでした。

[追記(2019年9月29日)]

2019年9月29日の『朝日新聞』朝刊3面に、この記事と同じ内容と思われる記事が掲載されました。男性は「場面緘黙」だったと書かれてありました。


日本記者クラブの記者会見でも


ですが、今年7月に日本記者クラブで行なわれた引きこもり家族会の記者会見でも、この男性は「緘黙症」であったと断言されています。

↓ その記者会見の模様。YouTubeへのリンク。該当箇所から再生されます。
◇ 池上正樹・ジャーナリスト/伊藤正俊KHJ全国ひきこもり家族会連合会共同代表 2019.7.24
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なお、緘黙があるかないかに関わらず、ひきこもりの子が、同居する親の遺体を遺棄する事件は時々起きているようです。先ほどの動画では、横浜市だけで3ヶ月で4件起きたと述べられています。

↓ YouTubeへのリンク。該当箇所から再生されます。
◇ 「横浜市だけで3ヶ月で4件」
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緘黙があると、扶助が必要な人を遺棄してしまうこともあり得る


緘黙があると、扶助が必要な人を、結果的に遺棄してしまうこともあり得ないことではありません。極端な話かもしれませんが、その結果、逮捕されることもあるでしょう。なお、逮捕されても、今回の男性のように不起訴処分になるかもしれません。

刑法(抄)

(遺棄)
第二百十七条 老年、幼年、身体障害又は疾病のために扶助を必要とする者を遺棄した者は、一年以下の懲役に処する。

(保護責任者遺棄等)
第二百十八条 老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。

(遺棄等致死傷)
第二百十九条 前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

私も小学生の頃、友達らと遊んでいたところ、一緒にいた友達の友達が大きな怪我をしたのを目撃したにも関わらず、誰にも連絡できなかったことがあります。その怪我した子は年下だったこともあり、今思い出しても辛いです。

男性は小学生の頃に、適切な支援を受けたのか


私は事件の男性に直接会ったわけでもなんでもありません。ですので、見当違いなことを言うかもしれませんが、もし男性が本当に緘黙だったとしたら、男性は話せなくなった小学生の頃に、緘黙児として適切な支援を受けたのだろうかと思います。そして、もしそうした早期に支援を受けていれば、今回のような事件は避けられたかもしれないと思います。そもそも、ひきこもりになることすらなかったかもしれないとさえ思います。

この男性が話さなくなった小学生の頃というと、およそ40年前です。それを思うと、緘黙はもっと早く注目されるべきだったと改めて思います。

昭和期に緘黙になり、適切な支援を受けなかった人たちの中には、大人になっても後遺症に苦しんだり、緘黙が治らなかったりした人がたくさんいます。そうした人たちが、平成中期以降になって緘黙を知り、ネットで啓発活動を行なったり、本を出したり、歌を歌ったりして、やっとメディアで取り上げられ出したのが最近の状況です。緘黙は早期発見・早期支援が必要なのに、緘黙に注目が集まるのが、あまりにも遅すぎます。