緘黙少女が主人公『私の世界を変えてくれた君へ。』読みました

更新日:2019年10月26日(投稿日:2019年10月26日)
アイキャッチ画像。
以前お話した、場面緘黙症の高校生が主人公の小説が発売されました。私はこの本を読み終えたので、本についてご報告したいと思います。

本の基本情報


まず、本の基本情報のおさらいです。

著者:なぁな
イラスト:岩ちか
書名:私の世界を変えてくれた君へ。
出版社:スターツ出版
発売日:2019年10月25日
ページ数:339(特別書き下ろし番外編37ページ分含む)

この本は、「ケータイ小説サイト 野いちご」に掲載された作品「斜め45度の世界を変えてくれたのは、キミだった。」を書籍化したものです。

↓ 「ケータイ小説サイト 野いちご」へのリンクです。
◇ 『私の世界を変えてくれた君へ。』 なぁな /著 | ケータイ小説サイト 野いちご
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なお、昨年話題となった緘黙の高校生が主人公の小説『春が来たら、桜の花びらふらせてね。』(涙鳴さん作)も「野いちご」発の作品でした。

著者のなぁなさんは、学園ホラー『イジメ返し』シリーズなど20冊以上の書籍を出されています。表紙のイラストを描かれた岩ちかさんは、集英社マーガレットで漫画『婚約生』などを発表、これらの作品は単行本にもなっています。


本の情報+


物語には「予知夢」が見える人物が登場するなど、実際にあった話では明らかになさそうです。あくまで、フィクションとして読みましょう。

本は単行本という扱いです。文庫本だった『春が来たら、桜の花びらふらせてね。』に比べると本のサイズがやや大きめです。また、若干厚めのようにも思います。

目次には「場面緘黙症」と書かれた項目があります。これは、第1章第4節が「場面緘黙症」というタイトルのためです。

また、本の帯にはあらすじが書かれてあり、ここにも小さくですが「場面緘黙症」と書かれてあります。

あとがきにも緘黙について書かれてあります。なぁなさんが緘黙を取り上げたきっかけも、ここで分かります。


感想


フィクションの小説ですので、緘黙の描き方がどこまで的確か云々よりも、話せない主人公の心情が細かに描かれている点に、私は注目しています(本作の一部の緘黙の描き方には、納得がいかない方はいらっしゃるだろうと思います。完璧に緘黙を理解し、表現するのはなかなか難しいです)。

私も学校で長期間話せない経験をしましたが、藤原君のような理解ある同級生がいたらよかっただろうとは、やはり思います。その理解ある同級生を、魅力的な異性として描いて夢のある話に仕上げられたのはフィクションの強みでしょう。書名の『私の世界を変えてくれた君へ。』は当初の題名から変更されたものですが、緘黙のような経験をした方には訴えかけるものがあるかもしれません。

実際のところ、転入生など、新たな人物との出会いが自分を変えるきっかけになったという緘黙経験者の話は、聞いたことはあります。よく分からないのですが、そうした新たな人物の登場は、こう着状態を打ち破る働きをすることがあるのかもしれません。

それから、話の中で吃音に軽く触れられる箇所があったのが、興味深く思われました。

あと、本の装丁が面白いです。カバーを取ってみたら、ちょっと驚きました。物語とうまく連動しています。

なぁなさんご自身は緘黙を経験されたわけでもありませんし、お子様が緘黙なわけでもありません。にもかかわらず、緘黙に関心を持っていただけたのはありがたく感じます。