専門家が、十代や大人の緘黙を論じる

更新日:2020年03月15日(投稿日:2020年03月15日)
アイキャッチ画像。
Anxiety.org という、アメリカの不安症専門サイトに、ティーンエイジャーや大人の場面緘黙症の記事が掲載されました。海外の緘黙関係者の中には、この記事をシェアする動きもあります。

記事は、私などと違って専門家が書いたものです。この年齢層、特に大人の緘黙について専門的観点から論じられることはあまりないので、ご紹介してみます。

↓ その記事です。
◇ Selective Mutism: More Than Just Childhood Anxiety
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記事の基本情報


著者:Clarissa J. Gosney, Psy.D.
公開日:2020年3月6日

著者は、認定臨床心理学者で、博士。不安症やトラウマ、OCDや鬱等の心理検査や治療を行う Pinnacle Counseling and Testing Center をカリフォルニアで創設。緘黙も専門としており、緘黙のためのキャンプ Outside Voice も創設しています。

↓ そのサイトです。
◇ Pinnacle Counseling and Testing Center
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◇ Outside Voice Selective Mutism Camp
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記事の概要


大体、次のような構成だろうかと思います。

ティーンエイジャーや大人の緘黙者の存在
緘黙児者全般について
ティーンエイジャーや大人の緘黙者が直面する特有の困難
治療
学校や職場での配慮

緘黙そのものの解説はほぼない一方、ティーンエイジャーや大人の緘黙について述べることに重点を置いています。推測ですが、このサイトの読者はもしかしたら専門家が多く、緘黙そのものについての詳しい説明は不要と著者が判断したのかもしれません。


コメント


端的によくまとまった記事だと思います。それだけに、多くの方に読んでもらいたいです。文章も、何と言い表わせばよいのか分からないのですが、いい意味で専門家らしくないところがあります。

細かい表現について指摘するようですが、著者は「治療なしには、緘黙は一般に自然と『なくなる』ことはない」(Without treatment, SM generally does not “go away” on its own) と述べています。これは、ちょっと強い表現ではないかと思います。これだと、治療を受けなかった緘黙児者は、いつまで経っても緘黙のままとも解釈できます。私なら「自然と『なくなる』とは限らない」と書くところですが、私の認識は甘いのでしょうか。

著者はティーンエイジャーや大人の緘黙の治療にあたった経験があるそうです。著者が運営するセンターでは、この年齢層の緘黙に対しては、不安の心理教育、コーピング・スキルの形成、認知行動療法、段階的エクスポージャーの組み合わせを行っているそうです。

そして最後は、「場面緘黙症の克服は、たとえ何歳でも可能」(overcoming Selective Mutism is possible, no matter what age) と力強く結んでいます。

ただ、記事で触れられているように、緘黙は児童期だけのものという誤解が一部で広まっています。ティーンエイジャーや大人の緘黙者が、記事で述べられたような方法で治療や配慮を受けられるようになるためには、こうした誤解が払拭される必要があります。でなければ、「大人の緘黙などあり得ない」などと門前払いされかねないからです。今回の記事は、そうした誤解を解く役割も果たしています。