新型コロナ、緘黙関係者の対応

更新日:2020年03月25日(投稿日:2020年03月25日)
アイキャッチ画像。
新型コロナウイルスの感染が、世界で拡大しています。場面緘黙症関係者の対応を、私が確認できた範囲でですが、簡単にまとめてみました。

イベントが中止に


国内


数々のイベントが中止になっています。国内では、私が確認しただけでも、以下のイベントが中止になりました。

○ 関東緘黙交流会(2月23日)
○ りんごの会・おはなし会(2月29日)
○ 場面緘黙・吃音交流会(3月8日)
○ つぼみの会・おはなし会(3月28日)
○ 場面緘黙を考える会 富山・交流会(3月)
○ 場面緘黙を考える会 富山・お花見会(4月)

以下のイベントは、オンライン上での開催となりました。

○ かんもくネットおしゃべり会(3月5日)

一方、予定通り開催されたイベントもあります。

○ かんもくミニライブフェスin京都(2月23日)
○ 場面緘黙を考える会 富山・ぷちランニングの会(2月29日)
○ ばめんかんもく飲み会(3月7日)
○ かんもくライブフェス第3回九州交流会in 福岡(3月8日)
○ かんもくラボ(3月15日)


海外


海外では、分かる範囲では、以下のイベントが中止になっています。いずれも、比較的規模の大きなイベントです。延期の可能性を滲ませるものもあります。

○ イギリスの緘黙団体 SMIRA の年次総会(3月21日)
○ ドイツの緘黙団体 Mutismus Selbsthilfe Deutschland e.V. の年次総会(6月27日)
○ ポーランドの Mutyzm wybiórczy - Poradnia Terapii Mutyzmu "Mówię" が主催する全てのイベント(確認できた限りでは、3月21日と22日に、ほぼ丸1日の講座が予定されていました)


医療機関の対応


医療機関も、対応を迫られています。

感染拡大が深刻なニューヨークで緘黙などを扱う Kurtz Psychology は全てのサービスをバーチャル上に移行、遠隔医療(telehealth)を行っています。もともと遠隔医療は2016年から行っていたそうです。Kurtz Psychology のトップページには所長のメッセージ動画が公開されたのですが、所長は海外で推進されている「社会的距離 (social distancing) 」という人と関わらない行動をとっているため、自宅で撮影していて、ちょっと異様な感じもします。

ペンシルベニアの緘黙治療研究センター SMart Center は、ウェブサイトのトップページ上段に新型コロナウイルスへの対応について記したメッセージを記載しています。それによると、感染拡大に関する情報を注視するとともに、労働安全衛生局のガイドラインやCDC(疾病対策センター)が勧める予防措置をとっているそうです。こちらも、遠隔医療や電話による支援、オンラインによるサポートグループの提供などを行っています。



情報提供


私は緘黙に関する様々な国や地域の Facebookページを見ているのですが、結構な割合の団体が、新型コロナウイルスに関して何らかの情報提供を行っています。そのうち、主なものをご紹介します。有用性が特に高そうな情報については、リンクを貼っておきます。

一般的な注意喚起


スペイン語圏で緘黙の治療や研究などを行う Mutismo Selectivo Internacional は、新型コロナウイルスに関する一般的な注意喚起を行いました。他にも、情報提供を続けています。


子ども向けの説明


ポーランドの団体 Polskie Towarzystwo Mutyzmu Wybiórczego は、子ども向けの新型コロナウイルス説明動画を紹介しています。


臨床家向けの情報


日本のかんもくネットは、臨床家向けに「新型コロナウイルス感染症対策 心理面接、希望者には電話やオンラインでの遠隔カウンセリングの検討を!」と題する投稿を行いました。

◇ 「新型コロナウイルス感染症対策 心理面接、希望者には電話やオンラインでの遠隔カウンセリングの検討を!」
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メンタルヘルスに関する情報


保護者向けに、子どものメンタルヘルスを意識した情報提供を行った団体がいくつもあります。

日本のかんもくネットは、WHOの発表文「コロナウィルス集団感染発生中のストレスへの対処について」(Helping children cope with stress during the 2019-nCoV outbreak)を翻訳し、公開しました。

◇ 子どもたちのメンタルヘルス「コロナウィルス集団感染発生中のストレスへの対処について」
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ポーランドの Polskie Towarzystwo Mutyzmu Wybiórczego やスペイン語圏の Mutismo Selectivo Internacional は、子どもを支援し、安心させる電子絵本を紹介しています。

一方、アメリカの緘黙治療研究センター SMart Center は、この状況でのストレス対処方法についてオリジナルの動画を公開したり、CDC(疾病対策センター)の情報を紹介したりしていますが、子どものストレスに限った情報ではなく、大人も意識した内容のようです。


特に、不安に関する情報


緘黙は不安症と考えられているとあって、特に不安に関した情報発信を行う団体も多いです。

アメリカの SMart Center は、「新型コロナウイルス感染症を前にした不安の扱い」(Managing Anxiety in the Face of COVID-19) と題するオリジナル動画を公開しています。動画を見るには、登録が必要です。

また、アメリカの Selective Mutism Association やニュージーランドの VOICE は、「コロナウイルスの不安の扱い」 (Managing Corona Virus (COVID 19) Anxiety) と題する保護者と子どもに向けた説明画像をシェアしています。この画像は人気ですが、出所がちょっと分かりません。


この状況での緘黙支援の情報


緘黙児を、このような状況の中、どう支援するか説明する専門家もいます。

イギリスの Confident Children は、「コロナウイルスのパンデミックが発生する中の場面緘黙児への支援」(Helping children with Selective Mutism during the Coronavirus pandemic) と題し、具体的な支援方法をウェブサイト上で一般公開しました。

◇ Helping children with Selective Mutism during the Coronavirus pandemic
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アメリカの SMart Center は、この問題に関するウェブセミナーを開催。Mutismo Seletivo Brasil も、インスタライブやFacebookライブでこの問題を取り上げるそうです。

感染拡大が特に深刻なイタリアでは、緘黙団体 AIMUSE が、「コロナウイルス感染拡大の中の場面緘黙症」(il Mutismo Selettivo nel tempo del Coronavirus)と題する教師向けのメッセージをウェブサイト上に公開しています。


オンラインラーニングの情報


台灣選擇性緘默症協會は、かねてより緘黙のオンラインラーニングサイトを運営していますが、改めてそのサイトの紹介を Facebookページで行っています。


Facebookグループの開設


スペイン語圏の Mutismo Selectivo Internacional は、今の状況を踏まえた新たなFacebookグループを開設しました。「COMUNIJUGANDO」と題するグループですが、何と訳せばよいか分かりません。


コメント


以上は、私が確認した情報のうち、主なものをまとめたものです。感染拡大は世界的な現象とあって、何らかの対応をとる緘黙関係者が世界中にいるようです。

感染拡大は、すぐには収束しないでしょう。あまり考えたくありませんが、緘黙関係者の中から、感染者が出てきても不思議ではありません。そうなると、さらに踏み込んだ対応が必要になってきそうです。

イベントが中止になることにより、緘黙の理解向上や、関係者同士の交流を図る場が多数失われている状況です。一方、開催されたイベントもあります。どちらにしろ、今後のイベントの開催にも影響があるものとみられます。日本では例年7月頃に、日本緘黙研究会による定員200名前後の研修講座が開かれ、4月から5月にかけてその予定が発表されてきましたが、これはどうなるのでしょうか。

緘黙児者にとっては、学校が休みであるなど、緘黙になる場面が減っています。当事者にとってはある意味楽ではありますが、これは「エクスポージャー」を通じて緘黙を治す場面が減っていることをも意味します。支援を通じて改善に向かっていた緘黙が、後退する懸念があります。このため、専門家からは、今の状況で緘黙を治療するにはどうすればよいか説明する動きもあります。

こういう時に強いのが、インターネットです。海外では緘黙のウェブセミナーや専門家によるライブ配信が以前から行われていて、この状況で真価を発揮しています。また、遠隔医療も一部で行われています。緘黙を治す場面が減っていることについても、インターネットなどの技術を使って、エクスポージャーを図る方法が提案されています。