今年の啓発月間は、やりにくい

更新日:2020年04月26日(投稿日:2020年04月26日)
アイキャッチ画像。
今年の場面緘黙症啓発月間は、やりにくいです。始まる前から機運に水を差すようで申し訳ないのですけれども。

5月開催の根拠


場面緘黙症啓発月間はもともと海外で始まったものです。海外では10月の実施です。それを私が「日本では5月にしよう」と言い出して広まり、今日に至っています。

↓ 2011年公開の記事。
◇ 10月は、場面緘黙症の啓発月間(海外ニュース)
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↓ 2012年公開の記事。
◇ 5月は場面緘黙症啓発月間です
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私が5月にしようと言い出した理由は、上の記事に書かれてある通りです。繰り返すと、

(1) 緘黙は入学など、子どもが新しい環境に入ったときに問題化することが多い。
(2) 緘黙は早期発見・早期介入が望ましい。
(3) 日本の学校は4月に始まるので、4月に啓発月間を行い、早期発見・早期介入につなげればよいようにも思える。だが、4月では早すぎる。米国精神医学界の「選択性緘黙」の診断基準は、少なくとも1ヵ月症状が続くことを要件としているので、1か月後の5月の方がよい。


新型コロナで、5月開催の根拠が揺らいでいる


ところが、今年は状況が違います。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、臨時休校が全国的に広がっているのです。このため、5月に実施する根拠が揺らいでいます。

例えば、コロナ収束の見通しがない中ですから、5月中に臨時休校が解除されない学校が今後増えてくるかもしれません(既に5月末まで休校を延長した学校もあります)。学校が休みだと、緘黙が問題化する場面が大幅に減少します。こうした中、緘黙の理解を集中的に訴えるのは、タイミングが悪いです。

また、希望的観測かもしれませんが、感染拡大が深刻でない地域などでは、5月中に臨時休校が解除される学校が相次ぐかもしれません。ですが、新学期に入って休校が続いてきた中、急に学校に通うことになったら、緘黙だけでなく、単に慣れが遅いスロースターターの子も学校で話せなくなっているかもしれません。ここで緘黙の理解を集中的に訴えるのも、いささか早いように思われます。


啓発月間の真意「啓発活動は戦略的に」


「5月の場面緘黙症啓発月間」の言い出しっぺは私ですが、実は私自身は、5月にはあまり拘りはありません。私が緘黙啓発月間を言い出した真意は、緘黙の啓発活動を戦略的に行うことの必要性を訴えることでした。

5月の啓発月間を行う根拠が揺らいだことにより、戦略の立て直しを考えることはできないだろうかとも思います。例えば、啓発月間を延期することも選択肢の一つです。


開催中止まで主張する気はないが、今年はやりづらい


とはいえ、5月の啓発月間は毎年の恒例行事としてある程度定着しています。コロナはいずれ収束する短期的な問題なので(短期的といっても、収束まで少なくとも1年はかかりそうですが)、わざわざ習慣化しているものを変えなくてもよいだろうという意見もありそうで、それももっともだろうと思います。

また、コロナはいつ収束するか分かりません。5月がタイミングが悪いのであれば、いつがよいのかと問われると、答えようがありません。さらに、休校措置がとられていない地域もあります。

戦略の立て直しといっても、今のところ私には適当な案が思いつきません。

ですので、今年の啓発月間は延期すべきとか、中止すべきとまで主張するつもりもありません。ただ、5月開催の根拠が揺らいでいるだけに、どうも今年はやりづらいなと感じます。

新型コロナウイルスの感染拡大により、これまで私たちが前提としてきた社会状況が揺らいでいます。この影響で、緘黙に関する様々な事柄が存在意義を問われているように思います。