コストをかけて、緘黙を知って頂いている

更新日:2020年11月11日(投稿日:2020年11月11日)
アイキャッチ画像。

緘黙を知るには、時間やお金がかかる


私が場面緘黙症の啓発動画を初めて公開したのは2007年のことです。心がけたのは、短い動画にしようということ。35秒の動画として完成させました。

↓ その動画です。補足コメントの通り、今となっては古い説明になっています。
◇ 場面緘黙症Journal~SMJ制作動画
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緘黙を知って頂くために、視聴者に多くの時間を割かせてしまうのは申し訳ない--これが短い動画にした理由です。私は人に迷惑をかけるのを、とりわけ嫌う性格なのです。

これは、緘黙を知るためのコストの問題です(今にして思えば)。長時間の動画だと、緘黙を知るために、時間というコストをそれだけ視聴者に負担して頂くことになります。かっこよく経済学の用語で言えば、「機会費用」がかかるわけです。視聴環境によっては、通信料もコストとしてかかってきます。これを軽くすることにより、多くの人に動画を見て頂こうという狙いが、当時の私には無意識のうちにあったのでしょう。

その後の私が啓発目的で公開した文章や新動画も、短い時間で読んだり見たりできる傾向があります。


様々なコスト


緘黙を知るための手段は様々で、そのためのコストも様々です。

緘黙理解のための本を買って読もうとすると、本を読む時間だけでなく、書籍代もかかります。緘黙の講演会に行こうとすると、交通費や参加費がかかります。オンライン講演会だと交通費はかかりませんが、インターネットが苦手な方だと時間や心労がかかりそうです。そして、本や講演会のために費やした時間もコストです。

これらのコストは、誰かが代わりに負担できる場合もあります。例えば、緘黙理解のための無料講演会が催されることがあります。無料での実施の陰には、参加者ではない誰かが講演会の費用を代わりに負担しているはずです。主催者や講師が講演料や交通費を受け取らずに自ら負担しているのかもしれませんし、協賛者(行政機関、民間企業等)が負担しているのかもしれません。


コストがかかっている意識


私は何年か前から、ゲーム形式で緘黙を知ることができるコンテンツを出してきました。ゲームで楽しみながら緘黙を知ることができるのであれば、実際のプレイ時間などのコストはともかく、コストがかかっているという「意識」を減らすことができる効果が見込まれるかもしれません(今にして思えば)。

ですが、例えば「場面緘黙症を知ってね」(音声ご注意)というそのものズバリのタイトルのゲームだと、プレイする前から「場面緘黙症啓発のゲームか……緘黙を知るために時間をかけてしまうことになるな」と、コスト意識を感じさせてしまいそうです。

以前、日本テレビの「ザ!世界仰天ニュース」という番組で、緘黙が扱われたことがあります。こういう番組で扱うと、視聴者にあまりコスト意識を感じさせることなく、緘黙のことを知らせることができるのではないかと思います。


コストをどれだけ払ってよいかと考えているかは、立場による


緘黙を知るためのコストをどれだけ払ってよいと考えているかは、その人の立場によって変わってきそうです。

■ 緘黙を知るためのコストをある程度払ってでも、緘黙のことを知りたいと考えていそうな人たち

仕事上、緘黙児者と関わる人
当事者や経験者
保護者
似た障害や病気を持った人

■ 緘黙を知るためのコストを、特に払いたいと考えていなさそうな人たち

上記以外の人

※ 個人差あり。

前者の人に対しては、ある程度コストを負担して頂いてでも、緘黙のことを詳しく知ることができる内容を提供できそうです。ただし、こうした人でも、コストが少ないにこしたことはないと考えていることでしょう。

後者の人に対しては、コストを少なくするとか、コスト意識を感じさせないとか、インセンティブ(誘因)を付与するとか(ゲーム形式とか?)、そうしたかたちで緘黙を知って頂けるよう工夫することがより重要になってくるのではないかと思います。

今回の記事は、緘黙を「知って頂く」という書き方で通しています。そんな下手に出たような書き方をしなくてもという方もいらっしゃるでしょう。ですが、私としては、コストを負担して緘黙のことを知って頂いているという意識があるため、こうした書き方になってしまいます。やはり、私は、人に迷惑をかけるのを嫌う性格のようです。