緘黙と働く能力

更新日:2021年02月14日(投稿日:2021年02月14日)
アイキャッチ画像。
大人の場面緘黙症のトーキングサークル "SM Talking Circles" のお話を先日しました。イギリスのサークルです。

◇ 大人の緘黙サークル(英)
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その中で、このサークルが、就労や大学進学等の際に、緘黙を説明したり、合理的配慮を求めたりするのに役立つ文書のひな形を作っているというお話もしました。

↓ そのひな型です。英文。PDF。240KB。
◇ letter-template-teens-adults-applications-jobs-etc.pdf
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このひな型に、気になる文章がありました。仕事に応募する際に添える文書の一節です(6ページ)。「自分を売り込め!」(Sell yourself!)という趣旨で書かれています。

場面緘黙症は、私が働いたり、理解したり、あるいは、この役割を果たす全責任をとったりする能力には影響しないことを確約したいです。

I want to assure you that SM does not affect my ability to work, understand or take full responsibility for this role.

こう書かれてはいますが、緘黙は働く能力に大いに影響があるのではないかと私は疑問に思いました。具体的に言えば、言語コミュニケーション能力です。話せないと、仕事をする上で大いに支障があります(理解する能力には、確かに影響はないと思います)。

病気や障害の中には、働く能力にさして影響がないものもあります。ですが、緘黙はそうではなく、ここが大きな問題なのです。

しかし、よくよく考えてみれば、上の一文は、話すこと以外は働く能力に影響しないという意味ではないかとも思えてきました。緘黙だと話せないのは自明なので、そこを除いた話なのではないかと。このあたり、どう解釈すればよいのかは、はっきりとは分かりません。

最後に余談ですが、日本では、緘黙はその人が持っている力を発揮できない障害というような独特の認識がある程度広まっています。私はこうした認識は誤っていると考えます。これだと、理解力を含め、ありとあらゆる能力が発揮できないという誤解を与えかねません。