緘黙と思ってたら、社交不安障害の診断
更新日:2021年04月15日(投稿日:2021年04月15日)

緘黙は知っていたが、社交不安障害は知らなかったという人
場面緘黙症だと思い込んでいたら、社交不安障害の診断を受けた--
そんな方のお話が、「障害者ドットコム」というサイトに掲載されました。この方、緘黙はご存じだったのですが、社交不安障害については「そういう病気があるのか」という認識だったそうです(つまり、知らなかったようです)。診断された時期は分からないのですが、現在50代の方です。
↓ 障害者ドットコムへのリンクです。
◇ 理解されない「社交不安障害」について
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これには、驚きました。社交不安障害は緘黙よりも有病率が高く、認知度もずっと高いだろうと私は思っていました。それだけに、こんなことがあるのかと意外に感じました。
実際のところ、緘黙と社交不安障害の認知度がどの程度かは分かりません。ただ、認知度とは違うのですが、インターネットの検索動向であれば「Googleトレンド」というサイトで分かります。それによると、社交不安障害は緘黙よりも検索頻度が多いわけではないことが分かりました。むしろ、緘黙の方が若干多いようにも見えます。
※ 社交不安障害は、社交不安症や社交恐怖、SADと呼ばれたり、社会不安障害という名称だったこともあるので、それら全てと、緘黙の検索動向を比較してみました。
↓ Googleトレンドへのリンクです。
◇ 「緘黙」「社交不安障害」その他の検索動向比較
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Googleトレンドで分かるのは、インターネット上(特にGoogle)の検索動向に過ぎません。とはいえ、社交不安障害の方が有病率が高いのにこの検索動向は、意外ではあります。緘黙の認知度がそこまで上がったかという思いとともに、確証はないのですが、もしかすると社交不安障害は緘黙以上に知られていなさ過ぎるのではないかとも思えてきます。
自分を緘黙と思い込んでいる人(特に大人)
もう一つ、今回の件で、私は「良いカウンセラー悪いカウンセラー」という十数年前のウェブサイトを思い出しました。そこには緘黙について、このようなことが書かれていました。
1%以下の非常に珍しい症状ですが、自分が場面緘黙症/選択性緘黙と思い込んでる人は多く存在します(特に大人の方)場面緘黙症の子供の90%以上が社会不安障害でも悩んでいます。社会不安障害は3番目に多い障害なのでそちらと勘違いしているようです。
https://web.archive.org/web/20080102160314/http://2.csx.jp/~counselor/SelectiveMutism
特に大人の方に自分が緘黙と思い込む人が多いとか、社交不安障害と勘違いしているという話の根拠は不明です。90%以上が社交不安障害というのも、今日までの様々な研究を見れば、ちょっと多過ぎの数字かもしれません(例えば、このメタ分析をご覧下さい)。ただ、冒頭でお話しした「障害者ドットコム」に寄稿された方は、まさにそう思い込んでいた方ではありました。
緘黙と社交不安障害の混同
緘黙の概念と社交不安障害については議論があり、難しいところですが、診断基準は別ですし、別の障害というのが今のところの一般的な理解です。緘黙と社交不安障害の認知度と混同について、考えさせられました。