男性の経験者として

更新日:2021年04月28日(投稿日:2021年04月28日)
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「男性経験者ならではの視点や感性で、場面緘黙症について語ることはできないか」

このようなことを考えることがあります。

男性の緘黙児者や経験者は少なめ


女性の方が目立つ


というのも、男児や男性の緘黙児者は、どちらかと言えば少数派のようだからです。緘黙は女児や女性の方がやや多いようです。例えば、茨城県南部の幼稚園~中学校を対象に最近行われた大規模調査 (n=21,092)では、男女比が1:2.1だったそうです(Matsushita et al., 2019)。もっとも、その比率は調査によって違いますが、大体女児や女性の方が多いと見てよいのではないかと思います。

出版の世界では、緘黙経験者の女性優位が顕著に表れています。紙の本として出版された緘黙経験者の和書の著者は、石川麻利さんさくらかよさんらせんゆむさんモリナガアメさん入江紗代さんと、悉く女性です。

緘黙経験者として日本史上最も露出が高かった人物は、日本テレビ系のゴールデンタイムの番組「ザ!世界仰天ニュース」で取り上げられたカースティー・ヘイズルウッドさんと、入江紗代さんの女性お二方ではないかと思います。視聴率はおそらく10%前後(関東地方)で、実に1,000万人前後の人が、彼女たちのストーリーを見たものと思われます。

一方、男性のテレビ出演者だと、NHK Eテレの「バリバラ」で大阪旅行をした加藤諄也さんが特筆するべき存在ですが、「バリバラ」の視聴率は2016年当時、0.3%程度。加藤さん出演当時は放送時間変更により視聴率が多少変わった可能性も考えられますが、さほど大きな時間変更ではなく、大差ないでしょう。視聴者数は「仰天ニュース」とは全く比べものになりません。

2020年には、CBCテレビ制作による緘黙のドキュメンタリー番組が話題になりましたが、タイトルは「声なき声~場面緘黙症の女性たち」。同年、パティシエで各種メディアで話題になった「みいちゃん」も、女の人です。

沈黙の螺旋仮説」ではありませんが、少数派の意見は言いにくいです。孤立を恐れてしまうためです。それだけに、少数派の男性ならではの視点や感性で発信していきたいと感じることがあるのです。


余談:保護者や専門家は


なお、緘黙児者の支援に積極的な保護者は、大抵が母親です。保護者についても、女性が目立ちます。

ただ、緘黙の情報発信に積極的な専門家は、男性が多いです。例えば、緘黙の本を著したり、本の解説を書いたり、洋書の翻訳で中心的な役割を果たしたりしている専門家は、ほとんどが男性です。一般に、研究職や医師には男性が多く、このことが緘黙関係にも表れているということではないかと思います。女性の社会進出が、この分野でも遅れているのでしょう。なお、これは日本の話で、欧米だと、緘黙の情報発信に積極的な専門家は、女性が目立ちます。

緘黙と性差というのは、難しい


実際のところ、緘黙の当事者や経験者の話を読んで、自分とは考え方が違うな、感性が違うなと感じることは結構あります。もしかしたら、性差が一因かもしれないと思うことはあります。

ですが、これはなかなか難しいです。緘黙と性差というテーマは、緘黙についてある程度深い関心を持つ人なら、いかにも一度は考えたことがありそうなテーマですが、議論は深まっていません。それだけ、深掘りしにくいのかもしれません。

そして、現代では、男がどうの女がどうのと、一括りにして論じにくくなってきています。特に、緘黙関係者は、進歩主義的というか革新主義的というか左派的というか、そういうイデオロギー傾向を持つ人が比較的多いと感じます。こうした人たちは、ジェンダーの問題にとりわけ敏感です。それだけに、なおさら、うかつに一括りに論じづらいです。


とりあえずは、自分が思うところを素直に発信


とりあえずは、自分が思うところを素直に発信していくことだろうかと思います。男性ならではの視点や感性といったものが私にあるとすれば、自分で強く意識しなくても、自然ににじみ出てくるでしょう。

※ 私は学校で長期間話せないことについて、医師に相談したことはありません。このため、緘黙の診断は受けてはいません。