治療プログラム「SPACE」

更新日:2022年05月19日(投稿日:2022年05月18日)
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注意すべき「配慮」


臨床心理学者の Veronica Raggi 氏が、場面緘黙児など、子どもの不安への「配慮」について論じています。特に、親が行う子どもへの「配慮」についてです。

↓ その記事です。アメリカの雑誌 Psychology Today ウェブサイトのブログ。英語。
◇ Addressing Child Anxiety by Reducing Accommodation 
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例えば、誰かが緘黙児に発話が必要な場面に直面した時、親がすぐ代わりに答えたり、うなづきやジェスチャーを促したりするのではなく、緘黙児が答えるまで5秒待つとか、質問を繰り返すといった適切な調整を行って、返答できるよう促します。このあたりは子どもにもよりますが、いずれにせよ、不適切な「配慮」は、状況を悪化させる可能性があります。こうして不適切な親の配慮を減らし、子どもが不安に対処できるスキルを身につけるよう支援する必要性を説いています。

[追記(2022年5月19日)]

「配慮」と書きましたが、ここでは「巻き込まれ」の方が適切かもしれません。英語では accomodation と呼びます。


SPACEプログラム


この種の議論は、英語圏の緘黙支援ではよく聞きます。ただ、上の論考が他と違うのは、Supportive Parenting for Anxious Childhood Emotions (SPACE) という治療プログラムにまで言及されている点です。著者の主張は、このSPACEプログラムの考え方に沿ったものとみられます。

SPACEプログラムは、不安症や強迫症がある子どもや若者を持つ親をベースにした治療プログラムです。親の行動を変えることによって、子どもの不安症などの改善を図ります。これはランダム化比較試験という信頼性の高い方法で有効性が検証されています。北米ではメディア(大手含む)で何度も取り上げられるなど、少なくとも一定の注目度はあるようです。開発者はエール大学チャイルド・スタディー・センターのEli Lebowitz准教授です。

といっても、私は専門家ではないので、詳しい説明をするのは難儀です。そこで、SPACEプログラムの詳しい情報を解説したものを、いくつかご紹介したいと思います。

↓ 日本の学会でSPACEプログラムのお話を開発者から聴かれた方の報告。
◇ 認知療法学会・認知行動療法学会に参加しました 前編 - あらたまこころのクリニック | 名古屋市瑞穂区の心療内科・精神科 
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↓ 東京大学の大学院生(当時)による説明。論文。199ページ後半をご覧ください。PDF。1.2MB。
◇ 強迫性障害の患者に影響を与える家族の要因と家族に対する支援に関する研究の動向と展望 
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↓ SPACEプログラムの公式サイト。英語です。
◇ About SPACE - SPACE Treatment 
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SPACEプログラムについては、開発者がアメリカ最大の緘黙団体 Selective Mutism Association の年次総会(2019年)で基調講演を行うなど、北米では緘黙支援でも注目されているようです。