緘黙児者の兄弟姉妹の人生
更新日:2022年08月08日(投稿日:2022年08月08日)

「きょうだい児」
「きょうだい児」という言葉が、ほんの少しずつですが、広まりを見せてきたように思います。
きょうだい児とは、障害がある人たちの兄弟姉妹のことです。きょうだい児には特有の悩みがあります。親が障害児にかかりきりで孤立感を覚えた、自分は二の次の存在なのかと感じた、障害児の分まで頑張りすぎてしまう、同じ学校に通いたくない、親亡き後の面倒を見なければならない、結婚で不利な扱いを受けるほか、様々です。
最近では、ヤングケアラーと関連付けて論じられることもあります。障害がある兄弟姉妹の世話をしている人もいるのです。「きょうだいケアラー」という呼び方をすることもあります。
緘黙児者の兄弟姉妹は
場面緘黙症の本の中に、『負けたらあかん!』(1995年)という本があります。場面緘黙症を克服した少女と、その少女に寄り添った母親の実録です。この母親は、緘黙の娘のことを優先するあまり、弟(緘黙ではない)に寂しい思いをさせたり、精神的に追い詰めたりする場面もありました。緘黙の娘は弟に、「我慢させてごめんね」と書いています。
緘黙児者のことに親が心を配るのはもっともなことです。ですが、親には、その兄弟姉妹のことに心を配ることも忘れないで欲しいです。私自身、学校で話せなかった経験を持つので、かえって、私のような者ばかりが配慮されて、他の人が蔑ろにされるようなことになるのは耐えがたいです。
今のところ、緘黙児者の兄弟姉妹が、そうした悩みを持っているという話はあまり耳にしたことはありません。そのためか、緘黙児者の兄弟姉妹については、特に議論になっていないように思います。今回の記事が、私の杞憂ならよいのですけれども。