声が小さい!

更新日:2022年08月30日(投稿日:2022年08月30日)
アイキャッチ画像。

小さすぎる声しか出せない


場面緘黙症の問題は、話せるor話せないという二分法にとどまりません。話せるけれども、小さすぎる声しか出ないということもあります。

いったいどの程度大きな声で話すことができれば緘黙が治ったことになるのか、つまり緘黙の診断基準に当てはまらなくなるのか、それは専門家ではない私には分かりません。どちらにしろ、人前では小さすぎる声しか出ないというのも問題です。多少静かに話すぐらいなら個性の範囲と考えることもできるかもしれませんが……。

私の場合、この小さすぎる声しか出せない期間が相当長かったです。20歳になってもそうで、難儀しました(ただし、私は自分が話せないことについて医師に診てもらったことはなく、したがって緘黙の診断は受けていません)。当時は単に声が小さすぎるだけでなく、外では家庭と同じように振る舞うことができませんでした。緘黙?はある程度治っていたものの、完治にはまだ至っていなかったというのが、私の実感です。


拡声器やマイクを使ったら、どうなったか


当時、私が考えていたのは、拡声器やマイクを使ったらどうなるだろうということでした。学校行事や大学の講義で、先生が拡声器やマイクを使う場面を見ることがあったからです。ですが、先生ではない私が、そうしたものを使う機会はありませんでした。強いて言えば、高校時代に野球部の全校応援で、メガホンを使ったことがある程度です。

今思うと、このアイデアはまあまあ面白いような気もします。耳が遠い人が補聴器を使うのなら、声が小さすぎる人が拡声器やマイクを使ってもよいのではないかということです。実際、声が出づらい障害の人のための、携帯用会話補助装置は存在します。

小さすぎるけれども、何とか声が出せる段階の緘黙児者が、携帯用拡声器を使って人に声を聞いてもらうことは、より大きな声で話せるようになるためのスモールステップの取り組みの一つとして、どうだろうかと思います。いや、しかし、学校でそうしたものを使うのは現実的とは思えません。また、器具を使って目立ってしまうのを嫌う緘黙児者も多そうです。