英緘黙団体SMIRA30周年
更新日:2022年10月13日(投稿日:2022年10月13日)

登録慈善団体になって30年
イギリスを代表する場面緘黙症団体SMIRAが、今月で誕生30周年です。
◇ 30周年について伝えるSMIRAウェブサイト
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SMIRAは、Selective Mutism Information and Research Associationの略です。「場面緘黙症情報研究協会」といったところでしょうか。ロゴとしての表記は "SMiLA" と、iを小文字にします。
1992年にイギリスの登録慈善団体になりました。活動拠点はレスター。
SMIRA創設メンバーの Alice Sluckin(アリス・スルーキン)氏は、遡ること1960年代から緘黙と関わり、1969年には専門誌 British Journal of Psychiatric Social Work に論文 A behavioural approach in the treatment of elective mutism を発表しています(Derek Jehu氏との共著)。同氏は緘黙に対する長年の活動が評価され、2010年に大英帝国四等勲士(OBE)を受章。バッキンガム宮殿で、エリザベス女王から受章したそうです。2019年に亡くなられています。
SMIRAはイギリスを代表する緘黙団体として、存在感を発揮しています。Facebookグループには現在1.9万人が登録しています。登録者の居住地はイギリス国内にとどまらず、50以上の国に及ぶそうです。
◇ SMIRAのFacebookグループ
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SMIRAはまた、ウェブサイトや様々なイベント等を通じて、緘黙の理解促進に大きな役割を果たしています。過去には、ウェストミンスター宮殿(国会議事堂)内での緘黙の啓発イベントを共催したこともあります(2016年)。最近では、緘黙児者が "reluctant speaker" や "reluctant talker" と呼ばれることが増えていることに対して、それは緘黙への誤解を招くという趣旨の声明を出しています("reluctant" とは、「渋々~する」といった意味です)。
私から見た、これまでのSMIRAの印象
インターネット上で日本の緘黙の情報が出始めた2000年代前半頃、SMIRAは、日本で紹介されるのがやや遅れたように記憶しています。早い段階から紹介されていたのは、アメリカの緘黙団体 Selective Mutism Group(現在の Selective Mutism Association)の方でした。このアメリカの団体はウェブサイト上で緘黙に関する豊富な情報を提供しており、その情報を通じて、存在が紹介されました。
一方の SMIRA はウェブサイトを持たず、Yahoo!で非公開コミュニティを持つにとどまっていました。2008年にはウェブサイトが開設されましたが、簡素なものでした。
その後、2009年にSMIRAの本の邦訳『場面緘黙へのアプローチ』が出版され、2017年にはウェブサイトが全面リニューアルされて情報が充実し、私のような日本の部外者にも活動状況がある程度つかめる団体という印象に変わりました。
場面緘黙症Journalとしては、SMIRAの資料等を、2006~2007年に公開しています(現在はかんもくネットのウェブサイトで公開)。