仰天ニュースから10年

更新日:2023年02月15日(投稿日:2023年02月15日)
アイキャッチ画像。

緘黙を取り上げた放送


あの「仰天ニュース」の放送から、10年が経っていたことに気づきました。

2013年2月13日、日本テレビ系の番組「ザ!世界仰天ニュース」の中で、「静かな少女の秘密」と題するドキュメンタリーが放送されました。その内容は、場面緘黙症があったカースティ・ヘイズルウッドさんというイギリス在住の方のエピソードでした。

当時、日本のテレビ番組が緘黙を正面から扱うのは極めて異例でした。この頃、私は緘黙に注目して10年ほど経っていましたが、日本のテレビ番組が緘黙を正面から取り上げられるなんて、リアルタイムでは聞いたことがなかったのではないかと思います。

しかも、「仰天ニュース」は地上派の番組、ゴールデンタイムの放送です。当時はまだブログをする人が一定数いた時代でしたが、多くの緘黙関係ブログは「仰天ニュース」の話題で持ちきりでした。

放送の影響は大きく、緘黙関係ブログでは、放送中とその直後、それまでとは全く比べものにならないほどのアクセスが殺到したということを書く人が複数いたように記憶しています。また、「仰天ニュースで緘黙を知った」という話も、ネット上でちらほら見かけるようになりました

なお、番組でスポットが当たったカースティーさんは、後にミス・イングランドやミス・イギリスに輝き、そのことも話題を呼びました。


一つのターニングポイントだった可能性


この「仰天ニュース」の放送は、今にして思うと、一つのターニングポイントだった可能性があります。

一般の報道番組や「ハートネットTV」「バリバラ」など、日本のテレビ番組が緘黙をある程度コンスタントに取り上げるようになったのは、私が知る限りこの後のことです。「仰天ニュース」自身も、2017年に再び緘黙を正面から取り上げています(今度は日本在住の緘黙経験者のドキュメンタリーでした)。

また、ネット上の検索トレンドを知ることができるサイト「Googleトレンド」を見ると、「仰天ニュース」が放送された2013年2月以降、「緘黙」の検索トレンドが以前よりも高水準で推移するようになったようにも見えます。ただし、「仰天ニュース」放送前からもある程度検索トレンドは上昇傾向にあり、このあたりの評価は単純ではありません。

◇ Googleトレンド「緘黙」の検索動向
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認知度はまだまだ


とはいえ、私は2014年1月にこんなことを書いてもいます。

地上波の全国ネットのゴールデンタイムの番組で緘黙を取り上げたにもかかわらず、このような極めて限定的な影響しかないことに、緘黙の認知度向上の難しさを感じました。

いくら人気のテレビ番組とはいえ、緘黙がたかが1回取り上げられたぐらいで、緘黙の認知度が十分な水準にまで上がるわけがありません。

そしてあれから10年経ち、緘黙がテレビ番組等で扱われることも増えましたが、緘黙が十分知れ渡ったと満足している人はいまだにほとんどいないのではないかと思います。緘黙の認知度や理解を広げることの難しさについて、改めて考えさせられもします。