ウォーミングアップの必要性

更新日:2023年09月12日(投稿日:2023年09月12日)
アイキャッチ画像。
Psychology Today という、アメリカの心理学の雑誌があります。ここのウェブサイトでは、専門家が場面緘黙症について解説することが時々あります。

先日も、臨床心理学者の Veronica Raggi博士による緘黙の寄稿が掲載されました。同氏は特に緘黙に関心を持ち、治療を行ってきた方です。

↓ その記事へのリンクです。
◇ Empowering Your Anxious Child’s Voice | Psychology Today
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記事は、緘黙を改善させるための一つの方法を示したものです。具体的には、「親子相互交流療法」を緘黙に適用した PCIT-SM (Parent/Child Interaction Therapy for Selective Mutism)という技法の紹介です。この技法はアメリカを中心に世界で広がりを見せています。Psychology Today で取り上げられたのも、やはりアメリカでは有力視されている技法なのだと改めて感じさせられます。

PCIT-SMは日本ではまだあまり馴染みがありませんが、邦訳書『場面緘黙の子どものアセスメントと支援』には説明があります。また、以下のかんもくネットの記事にも、簡単な説明があります。

↓ そのかんもくネットの記事へのリンクです。
◇ おしゃべり会でPCIT-SMを紹介
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さて、その記事の中でも、次の箇所が個人的に印象に残りました。

いかなる新しい社会的環境でも、子どもには即座の質問を促さずに、ウォーミングアップの時間を与えてください。例えば、誕生日パーティーに到着したとき、子どもに「誕生日おめでとう」と言うように促さないでください。その代わりに、子どもとパーティーの場所を探検し、期待や要求をせずに、子どもに自由と肯定的な注意を与えてください。

Give your child time to warm up in any new social setting without prompting them with an immediate question. For example, when you arrive at the birthday party, don’t encourage your child to say "Happy Birthday." Instead, explore the birthday area with your child, giving them freedom and positive attention without expectation or demand.

緘黙児者は挨拶が苦手という話を、国内外で見聞きします。もしそれが事実なら、挨拶はウォーミングアップの時間がとりにくいことが一因ではないかと考えさせられました。イギリスのチャイルドセラピスト Lucy Nathanson氏も、そのようなことを話していました(関連記事参照)。

なお、別にPCIT-SMでなくても、緘黙児者に適切な方法で発話を促すためには、ウォーミングアップの機会が与えられることが望ましいでしょう。