二重人格?
更新日:2023年11月07日(投稿日:2023年11月07日)

経験者の話
「自分は、二重人格ではないか」
場面緘黙症を経験した人の中には、こう考えていたという人がいます。家と学校などでは行動が全く違うわけですから、無理もありません。中には、二重人格かもと思い悩んだり、周囲からそう言われたという人までいます。
念のために書いておきますが、緘黙と二重人格は異なる概念です。専門的には多重人格障害、今日では解離性同一症(解離性同一障害)と呼ばれる概念があるそうですが、もちろん、それとも緘黙は異なります。また、解離性同一症(解離性同一障害)を併せ持つ緘黙児者が多いという話は、特に聞きません。
私の場合は……
私の場合は、どうだったのでしょう。私も学校で長期間話せない経験をしています(ただし、私は学校で話せないことについて医師に診てもらったことはなく、したがって緘黙の診断も受けていません)。
確かに私も自分が二重人格ではないかと考えたことはありますが、軽く考えたことがある程度です。真剣に二重人格の可能性を疑ったこともありません。
むしろ、あれからうん十年経った今の方が、あれはある意味では二重人格でもあったのではないかと思います。ここで言う「二重人格」は、専門用語の「解離性同一症(解離性同一障害)」とは違い、単に二つの異なる人格が交互に現れることを意味します。
というのも、私は学校に行くと単に話せなくなるだけでなく、周囲から「真面目」と言われる行動をとるように変わってしまっていたからです。私は学校で「無口」と言われたことは意外に少なく、むしろ「真面目」と言われたことの方が多かったほどです。おそらく学校場面では不安が強くなりすぎるあまり、周囲の評価を過剰に気にして、真面目な行動をとってしまったのだろうと思います。
ただし、あくまで私の場合は、こうだったという話です。一般論として、緘黙は二重人格だという主張をするつもりはありません。