海外:緘黙のためのクラウドファンディング(前編)
更新日:2017年11月05日(投稿日:2015年04月29日)

緘黙の治療費40万円近く集める
40万円近くも集まったそうです。
米国の Jack Jenkins さんという方が、「クラウドファンディング」により、場面緘黙症の子どもが民間治療を受けるための治療費を募りました。その民間治療とは、Confident Kids Camp という、米国で広まりつつある集中治療プログラムです。米国では緘黙に詳しい専門家などがいて、緘黙のための専門的な民間治療を受けられますが、保険が適用されずに負担が高額になる場合があるのです。
3,000米ドル(約36万円)を集めるのを目標として2014年6月24日にキャンペーンをスタートしたところ、10ヶ月間で3,225米ドル(約39万円)が集まり、その目標が達成されました。58人もの人が支援を行った(資金提供した)そうです。
↓ クラウドファンディング専門サイト GoFundMe へのリンクです。
※ Selective Mutism Treatment For Jack
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クラウドファンディングとは
クラウドファンディング(crowdfunding)とは、特定の目的のために、特にインターネットで不特定多数の人々から小口資金を集める資金調達の方法です。crowd(群集)と funding(資金調達)を合わせた語です。日本でも広まっています。
↓ 日本のクラウドファンディング専門サイトの一つ。クラウドファンディングがどういうものか、実際にこうしたウェブサイトを見れば分かりやすいと思います。
※ READYFOR
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緘黙関係でも、海外では、クラウドファンディングによる資金調達を見ることが2014年から増えてきました。日本では緘黙関係でこうした動きはまだ見たことがないのですが、海外の緘黙関係者の間では小さなトレンドのようです。
そこで今回の記事では、私が見つけた、特に英語圏での緘黙関係のクラウドファンディングを取り上げてみます(他の言語は分からないので)。
成功した例
緘黙の本出版のための資金30万円超集める
米国の治療専門家で、緘黙児の母でもある Donna Mac さんという方が、緘黙の本出版のため資金を募りました。目標額は2,500米ドル(約30万円)でした。
募集期間は2015年2月22日から翌3月24日までの30日間でした。その結果、2,651米ドル(約32万円)が集まり、キャンペーンを終了しました。32人が支援を行っています。本は今年の初夏に発売される予定だそうです。
↓ クラウドファンディング専門サイト Kickstarter へのリンクです。
※ Suffering in Silence: The Key to Unlocking Selective Mutism
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↓ その本に関するウェブサイト。
※ Suffering in Silence: Breaking Through Selective Mutism
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緘黙の啓発ドキュメンタリー制作費約20万円集める
オーストラリアの Baris Ulusoy さんという学生を中心としたグループが、緘黙の啓発ドキュメンタリー制作のための資金を募りました。目標額は2,000豪ドル(約19万円)でした。ドキュメンタリーの題名は Little Sister。制作グループの中に緘黙の妹を持つ方がいるそうです。
募集期限は2015年5月9日までですが、既に目標額を上回る 2,130豪ドル(約20万円)が集まりました。20人が支援を行っています。
↓ オーストラリアのクラウドファンディング専門サイト Pozible へのリンクです。
※ Suffering in Silence: The Key to Unlocking Selective Mutism
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↓ メルボルンのニュースサイト Leader の記事へのリンク。
※ Roxburgh Park filmmaker hopes documentary brings awareness to sister’s selective mutism
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絵本出版のための資金50万円近く集める
緘黙を主題としたものではないのですが、作者自身の緘黙経験をもとにした絵本を出版するための資金を、ニュージーランドの Kathryn Harper さんという方が募りました。
目標額は5,000ニュージーランドドル(約46万円)で、募集期間は2014年9月15日から翌10月10日までの25日間でした。その結果、5,125ニュージーランドドル(約47万円)が集まり、キャンペーンを終了しました。84人が支援を行っています。本は作者のウェブサイトから購入できるようになっていますが、日本からも購入できるかどうかは分かりません。
↓ クラウドファンディング専門サイト Kickstarter へのリンクです。
※ 'The Cat Got My Tongue!' Katie-Jane picture book
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↓ その絵本に関するウェブサイト。
※ http://kathrynharper.net
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目標額に届かなかったが、資金がかなり集まった例
緘黙の娘さんのための資金50万円近く集める
米国の Joel Elliott さんという方が、緘黙の娘さんのために資金を募りました。目標額は15,000米ドル(約180万円)に設定されています。募集期間は2ヶ月間で、2014年6月23日に募集は終了したのですが、4,145米ドル(約49万円)が集まりました。46人が支援を行っています。
↓ クラウドファンディング専門サイト Indiegogo へのリンクです。
※ I Am Hannah's Voice
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この資金を募った方は、昨年5月「娘の緘黙のため、自転車で530キロ走破」でご紹介した方です。娘さんの緘黙の認知のために、328マイル(約530キロ)を24時間で自転車で走破するキャンペーンを行いました。328という数字は、娘さんが適切な支援を得られなかった日数を表しているそうです。なお、328マイルは東京ー岡山間の直線距離に匹敵します。
また、40万回以上再生されたこの動画に登場した男性でもあります。
↓ YouTube へのリンクです。緘黙の娘さんのために頑張る男性の動画です。有名な緘黙支援者 Elisa Shipon-Blum(エリザ・シポンブラム)博士も後半に登場します。
※ Deserving Dad's Life-Changing Father's Day Surprise
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記事が長くなりそうなので、前・後編に分けます。(続く)
[続きの記事]
◇ 海外:緘黙のためのクラウドファンディング(後編)
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